2020年05月20日

時代に翻弄される環境問題…経営者のビジョンの変化とは?

ノンフィクション作家・児玉博さんをゲストにお迎えしています。
▷最新著書『起業家の勇気 USEN宇野康秀とベンチャーの興亡』

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※今回はリモートでのご出演になります。

小黒「児玉さんの著書で、元東芝社長の西田厚聰さんについて書いた
『テヘランからきた男 西田厚聰と東芝壊滅』読ませていただいたんだけど、
西田さんって海外で育ったからか、
当時、こんなに環境問題に関心のある
経営者っていなかったんじゃないですかね?」
児玉「後に東日本大震災の原発事故と一緒くたにされて、
かなり非難されることになるんですが……
西田さんが、原発導入に舵を切った大きな背景のまず一つは、
アメリカのオバマ・ブッシュの二政権続いた、地球温暖化対策の中で、
エネルギー対策として原発が見直されたということ。
西田さんは『+6℃ 地球温暖化最悪のシナリオ』って本が2008年に出るんですけど、
その原書をいち早く持っていて、
『児玉さん、これ読んでますか?』と聞かれて
『もちろん、読んでおりません』と答えたのを今でも覚えています。
環境への配慮、環境をどのように経営に取り組むことができるのか、
それ無くして今後の経営は成り立たないと西田さんは真剣に考えていました。
その意味では、東日本大震災があったりと、
時代に翻弄されてしまったのかなという思いは持っていますね。」

小黒「90年代終わり頃から、環境問題は大きなテーマになったんですが、
それ以前は、経営者が環境問題を意識したことなんて
なかったんじゃないですかね?」
児玉「日本は環境問題というより公害の方に目がいってました。
サウジアラビアの人に取材していると、
日本がどのようにして公害を乗り越えてきたのか
自分たちにぜひ、教えてくれと言われます。
そういう意味では、日本がまだまだ貢献できる分野はありますよね。

児玉「また図らずもこのコロナ禍で、色んな価値観が変わるだろうと…。
SDGsに関係してくるんですが、今、地方で働ける可能性が出てきてですね、
働き方改革の最たるものだなと言われ始めてるんです。
そういう意味で企業のあり様、あり方っていうのを見直すきっかけにもなってますし
一極集中していたものが、地方に分散していく。
地方っていうのは可能性の宝庫なので。
その意味では、違うフェーズの成長を
模索する準備ができたんじゃないかなと思っています。」

今夜の選曲… I SHALL BE RELEASED / BOB DYLAM

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2020年05月19日

『起業家の勇気 USEN宇野康秀とベンチャーの興亡』のお話から、時代の寵児と呼ばれる経営者とは?

ノンフィクション作家・児玉博さんをゲストにお迎えしています。
▷最新著書『起業家の勇気 USEN宇野康秀とベンチャーの興亡』

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※今回はリモートでのご出演になります。

小黒「本の帯に「ヒルズ族の兄貴分と呼ばれた男」と
書かれているんですけど、
年齢も宇野さんの方が上なんですか?」
児玉「ヒルズ族と言われる、堀江貴文さんとか、藤田晋さんとかは、
ある意味才覚があれば、一夜にして億万長者になれるというのを
体現された人たちなんですが、宇野さんはそれより前の世代なんですよね。
宇野さんの時代は簡単には上場させてもらえない時代だった。
堀江さんや藤田さんが才覚で、一夜にして、赤字会社でも
上場できるぞっていう環境とは、丸っ切り違いました。
その辺が世代としても上になりますし、企業の見る視線、
社員を見る視線っていうのはちょっと違うのかなと思います。」

児玉「奇しくも、本が出たのが4月10日だったんですが、
まさにコロナウイルスで企業の活動が止まり、
社会活動が止まっているところで。
宇野さんって男前でスマートな印象とは裏腹に、
経営者としては逆境の連続。
そういう方の本を4月10日に出せた。

宇野さん自身も
『自分が苦難を乗り越えてきて、
今なんとかやらせてもらってる。
そうした、ささやかな経験や体験を、
多くの企業が苦境に立っている今、
伝えることができるのは本当にこの本の運命かもしれません。』
『この経験を1人でも多くのベンチャーの方に伝えることができれば』
と非常に好意的に取っていただけました。」

今夜の選曲… SUBTERRANEAN HOMESICK BLUES / BOB DYLAN

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2020年05月18日

最新著書『起業家の勇気 USEN宇野康秀とベンチャーの興亡』

ノンフィクション作家・児玉博さんをゲストにお迎えしています。
▷最新著書『起業家の勇気 USEN宇野康秀とベンチャーの興亡』

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※今回はリモートでのご出演になります。

最新著書『起業家の勇気 USEN宇野康秀とベンチャーの興亡』が4月10日に発売になりました。
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児玉「この本は丸三年、取材にかかりました。
宇野さんを取材する前に、
ソフトバンクの孫さんの話を書いていたので、
ベンチャーには土地勘があったんですよ。
リーマンショックが終わって一年くらい経った後で、
とあるところで、宇野さんの会社が立ち行かないかもしれない、
追い詰められてしまって酒の飲み方が尋常じゃない、と聴きまして。
その時は、非常に痛ましい話だなと思って聞いていたんですが、
数年経った後で3社目の上場を果たしたというの聞きました。
宇野さんはフェードアウトしたものだと思っていましたので。
なぜ一度舞台から降りた人間が、また上場を果たせたのかなと…
…単純にそこを聞きたいと思ったのがこの本のきっかけですね。」

小黒「こんなあけすけに父親の話とか、
自分の失敗談とか話してくれるものなんですか?」
児玉「これは中々その…なんで話してくれたのか
分からない部分なんですが。
今回の本の表紙は宇野さんの写真なんですが、
彼の食い入るような目っていうのは、
『聞いてくれ』と訴えているようで、
自分はそれを真摯に受け止めますと思っていました。
時に、自分が手塩にかけた会社が切り売りされる、社員が自分の元を離れていく…
特に会社が切り売りされる時などは涙ぐまれてもいました。
印象としてはいろんなものに対して逃げない。
色んなものに立ち向かうぞ、という印象が非常に強いですね。」

今夜の選曲… THE MIGHTY QUINN / BOB DYLAN

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2020年05月14日

5月18日から21日は…

ノンフィクション作家・児玉博さんをゲストにお迎えします。
最新著書『起業家の勇気 USEN宇野康秀とベンチャーの興亡』

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1959年大分県生まれ。早稲田大学卒業後、フリーランスとして
取材や執筆活動を行い、月刊「文藝春秋」や「日経ビジネス」などで発表。
2016年、第47回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。
主な著書に『堤清二 罪と業 最後の「告白」』
『テヘランからきた男 西田厚聰(あつし)と東芝壊滅』
『日本株式会社の顧問弁護士 村瀬二郎の「二つの祖国」』などがあります。

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2020年05月14日

『一緒に作り上げる』をコンセプトに、地域コミュニティを元気付ける活動とは?

向日葵設計・代表で建築家の新田知生さんをお迎えしています。

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※電話でのご出演になります。
小黒「奥様でいらっしゃる作家・コンセプターの杉浦愛子さんと、
Project AICHI を発足されていると言うことですが、これは?」
新田「私も愛子も愛知県生まれで、名前の命名のされ方も同じだったんです。
愛知で生まれたので、愛知の“知”を取ってそこで“生”まれるということで『知生』というんです。
愛子は、愛知県の“愛”をとってるということで。
2人で何かプロジェクトをやるときはこの“愛知“って名前でやろうかって
冗談半分でやり始めたんですけど。2人は全然違う性格なんですが、折り紙とオニギリの様に全然違うものがかけ合わさって、
何か新しいものを勢いでやってしまうというか。
そういう活動を続けていくと、自分もポジティブでいることができて、
人生がなぜか豊かな方向に行き始めて。去年、娘を授かったんです。
愛知県の“愛知“という名前をつけました。」
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【奥さんの愛子さんと一緒に】

小黒「デザイン折り紙『オリニギリ』から派生して次はどんなことを考えているんですか?」
新田「私がやりたいことは、みんなで集まって何かを食べたり、
楽しむということなんですけど、今それがやりにくい状況になっている。
この状況がいい方向に行った後で、どんどん積極的にやっていきたいと思っています。
2ヶ月くらい前から事務所にイベントスペースを作りまして、
そこにいろんな人を誘って、一緒に棚を作ったり、
イベントをやったりしていきたいです。
みんなで作り上げるスペースということで、周りの商店街の人も一緒にやってくれると
言ってもらえてまして地域コミュニティを元気つけられる様な活動を事務所の周りでやっていきたいなと思っています。」

今夜の選曲… SAVE THE LAST DANCE FOR ME / DRIFTERS

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2020年05月13日

誰でも簡単に作れるデザインおにぎり『オリニギリ』とは!?

向日葵設計・代表で建築家の新田知生さんをお迎えしています。

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※電話でのご出演になります。

小黒「新田さんは、これまでにも、一枚の紙を折り曲げてデザインして、中国の国際コンペで
一位を受賞されたことがある?」
新田「中国貴州省に立てた520メートルのタワーだったんですが、
一枚の紙から折ってデザインしていったんですが。
構造的に安定するのではないかとか、建材のコントロールがしやすくて
省エネに繋がるのではないかとか、お年寄りから子供までわかりやすく
愛される建築になるのではないかと提案して当選しました。」
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小黒「新田さんはそのアイデアが元になって、デザインオニギリ『オリニギリ』というプロジェクトで、グッドデザイン賞を受賞されています。」
新田「先ほどのタワーのデザインのスタディをしているときに、
偶然紙がおにぎりみたいな形に変化したんです。それがきっかけで、
『オリニギリ』というのは、折り紙をしたものを一度広げ、
その上にラップを敷いて海苔とご飯を平らに満遍なく敷いて
最初の形に折り上げるとおにぎりが出来上がるというものです。
512メートルのタワーのスタディの時にできたのが
1番最初にできた形なんですけど、
二つの山ができるもので、シェアという形なんです。」
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新田「今新型コロナの影響でご家庭にいることが
多くなっていると思うんですが、
家族のコミュニケーションや団欒が重要になっていると思うんです。
今ちょうど、配布プロジェクトというものを始めています。
江崎グリコとのコラボレーションで、幼児飲み物のおまけとして
5月31日まで配布しています。また、旭化成さんとのコラボレーションで、
保育園や幼稚園でのオリニギリの配布を予定しています。」

今夜の選曲… UP ON THE ROOF / DRIFTERS

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2020年05月12日

二枚の紙から発想した、巨大なバリアフリーセンター

向日葵設計・代表で建築家の新田知生さんをお迎えしています。

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※電話でのご出演になります。

小黒「新田さん、今年中国の深センの国際コンペに参加されて、
上位3社に残ったと聞いたんですが、これはどんなコンペだったんですか?
新田「13万平米という巨大な障害者福祉施設のコンペです。
障害者のリハビリや生活だけでなくて、
補助となる様なものを研究開発したり、
その企業をサポートするというものです。」
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【深セン創新創業障がい者福祉センター】

小黒「中国でのこういう国際コンペというのは初めてなんじゃないですか?」
新田「おそらく、世界的にも例がないものだと思うんですけど。
中国ではバリアフリーとかが遅れていると言われていたり、
障害者への対応があまり考慮されてない社会らしいんです。
深センという何か新しいことをやりたいという場所、そこでこう
もっと今の時代バリアフリーとかについて考えるべきなんじゃないかと
いうことで始まったみたいです」

小黒「今回も新田さんのコンセプトである紙一枚からできてるんですか?」
新田「自分でもどういう方向性に行くか分からない中で、今回は二枚の紙が
ダブルスパイラルで重なっているという構成の施設を提案しました。
コンペの要項に障害者と健常者を融合させて何か新しいものを作るという
テーマがあったんですけど、単純に同じ場所にいるというだけじゃなく、
設計者として空間で仕掛けを作ることができないかと思ったんです。
今回は二つのゾーンがあったんですけど、障害者の多いリハビリテーションゾーン、
と健常者の多いイノベーションゾーン。
この空間をダブルスパイラルで重ねるという提案をしたんです。
それぞれが重なって行き来ができるとか、お互いに見合えるとか、
そうしたことで新しい何か関係性ができると思ったんです。」
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【深セン創新創業障がい者福祉センター】

今夜の選曲… GET IT UP FOR LOVE / BEN E.KING

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2020年05月11日

『一枚から作り上げる』…多岐にわたる発想と建築

向日葵設計・代表で建築家の新田知生さんをお迎えしています。

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※電話でのご出演になります。

小黒「新田さんのデザインコンセプトが、
『一枚から作り上げる』これはどういうことなんですか?」
新田「私のデザインスタディは、必ず紙を折ったり切ったりするところから
始まるんですけど、勝手に手が動き始めるんです。
そして、ある形に自然とたどり着くというか…」
小黒「子供の時からそういうことして遊んでたんですか?」
新田「特にそうではなかったんですが、器用だなとは言われてました。」

小黒「新田さんが設計なさったもので僕たちが見れるものってないですか?」
新田「人形町に、Mad Monk Barというお店が
去年の11月に竣工したんですけど、
一升瓶を構造体にした、世界のお酒を陳列する棚があるんです。
今は営業していない状況だと思いますが、状況が良くなると見ることができます。」
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【Mad Monk Bar】

新田「あと、一年半前に浜松で
たけし文化センターという障害者福祉施設を設計していました。
その施設の長が久保田翠さんという方で、
健常者が罠にハマったかの様に入ってくる障害者福祉施設とかを
都心に設けて、ホテル業として障害者の生活を一緒に経験するという
そこはいつでもウェルカムという施設なので浜松に行かれることがありましたら、
そちらの施設は面白いかなと思います。」
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【たけし文化センター】

今夜の選曲… THIS MAGIC MOMENT / DRIFTERS

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2020年05月07日

5月11日から14日は…

向日葵設計・代表で建築家の新田知生さんをお迎えします。

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1971 年生まれ。九州芸術工科大学を卒業後、アメリカの大学       
ロードアイランド・スクール・オブ・デザインにて学び、坂茂建築設計を経て、   
2014 年、向日葵設計を設立。国内外の公共建築からプロダクトデザインまで、   
様々な空間のデザインを手がけ活躍していらっしゃいます。

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2020年05月07日

Stay Home、お家で読むオススメの一冊

有限会社BACH代表で、
ブックディレクターの幅允孝さんをお迎えしています。

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小黒「ぜひ、オススメの本を教えていただきたいんですが」
幅「そうですね、何冊かお持ちしたんですけど、
コロナウイルス関連で言うと、
『ウイルスのウイルスの意味論――生命の定義を超えた存在』(みすず書房)
山内一也さんという東大の名誉教授の方が2018年に書かれた本なんです。
山内さん自身は、ウイルスの研究に関しては第一人者で、自身が天然痘とか
牛疫の根絶に参加するなど、50年以上現場でやってた方なので、
その方が第一線を退いてまとめられた一冊ですね。
すごく基本的なこと…例えば、ウイルスや最近の違いとかが
ちゃんとまとめてあります。
ウイルスは中空に浮いていると無生物に近いのが、
体内とか増殖できるところに入るとすーっと増えていく。
しかも増えるスピードが速いので、間違ったコピーが生まれて
変異が生まれやすい。
そういったウイルスの基本的な考え方はなにか、から
21世紀に入って発展したゲノム解析とかの最新の成果、
そういったことまで伝えつつ…しかも、文学作品とかとウイルスの関係とか、
研究書というより、読み物として面白く読んでもらえると思いますね。」

小黒「せっかくこうだらけた時間があるから、もっとだらけることができる様な
本があれば…」
幅「これですね。
大橋裕之さんの『音楽』(太田出版)という漫画を持ってきました。
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これ実は2020年の1月にアニメーション映画にもなったんですが、
あるヤンキーの男の子がある日、音楽に目覚めて、やめるっていう…
までを書いたお話なんですが。
大橋裕之さんという作家の方が、僕がすごく好きな作家で。
とにかくダメな人間を書かせたら、日本一と言いますか。
人間の良き所と言うよりは、暗がりとか、やろうと思っても一歩踏み出せないとか、
言おうと思っても言えないとか、そういうものが凝縮している。
それが悪意とかでなく、純粋ゆえに踏み出せない一歩とか言うものを書く作家なんですけど、
ダメな人間を描きながら、人間の深淵にタッチしてくれる感じは常にあって。
今、なるべく努力して無為な時間を過ごそうと多いと思いますので、
そう言う人には、大橋さんの漫画はちょっとカッと晴れるものがあると思います。」

今夜の選曲:STOP THAT TRAIN / SPANISH TOWN SKABEATS

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