2006年05月09日

【第11回】「築地の朝めし」 トミーナ

女性と行く築地
 築地に来る素人さんたちを見ていると、カップルでやってきるのも少なくない。モノを食べることは、人間が生きていくためには毎日欠かせないことだ。食の相性があうかどうかは、カップルが長続きするかどうかを決める重要なポイントかもしれない。他の相性も重要だけどね。
 魚河岸は、ちょうどいい「テスト」になる。魚はもちろん、野菜もある。肉も多少はある。なにより、独特の雰囲気がある。相方が、「汚い、臭い」などといい始めたら、即刻分かれなさい。私たちが食べるものは、いろいろなところから巡り巡ってやってくる。その過程を知ろうとしないで、食べ物についてあれや、これやというのは意味がない。
 説教臭くなったが、今日の築地ルール「たまには築地でデートしなさい」。逢瀬の後で、朝から築地で朝めし、というのも色っぽくていいネ。


第11回 場内のイタリアン食堂 トミーナ
 朝、編集部に行くと、女性編集者がいた。なんだかんだで、付き合いが長いのだが、この女性とは食の好みが合わない。彼女は無類の「肉好き」。築地に編集部があるのが、かわいそうになるくらい。
「おう、おはよう」と声をかけると、
「小黒さん、今朝の“朝めしブログ”もう行きました? 一緒にいきませんか?」
このブログ初となる、同伴者ありの朝めしだ。肉好きの彼女でも平気な店、場内の「トミーナ」に行く。

生たらこの和風醤油だし風味 1500円

2006年05月08日

【第10回】「築地の朝めし」 長生庵

築地にある「秘密の花園」
 早いもので(遅々として進まず、ともいう)、このブログも10回目だ。改めて、築地の朝をウロウロすると、気持ちのいいもんだ。連休中も、朝からハラが減って仕方がない。で連休明け、私もみなさんもお待ちかねのブログ再スタートだ。
 本日、築地は連休明けで大にぎわい。曇り空もなんのその、怒号うずまく場内を避けて、本日はとっておき、秘密の花園を教えちゃおう。

 外から来た人にとって、市場の一番の問題はトイレ。清潔でゆっくりできるとこがない。というワケで、めし屋以外にも、私は秘密のトイレを隠しもっているワケだが、波除神社ワキの冷蔵倉庫街をぬけたとこに、厚生会館がある。勝どき橋のすぐ近く。ゆっくりトイレで思索もできる。ここには、いいめし屋がある。ガイドブックにも載っていない。こういういい話は、すぐには教えてあげない。明日行くことにしよう。明日のブログを楽しみに。

 さて、すっきりしたところで、晴海通りを銀座方面へ。昔は川だった名残を残すあたりに駐車場がある。ここにもトイレがあって、タクシー運転手がよく利用しているが、よほどの緊急事態じゃない限りは、やめた方がいい。その脇を入っていくと、そばの店、「長生庵」がある。


第10回  市場でゆっくりそばをすする 長生庵
 市場の喧騒もいいけど、ちょっとゆっくりしたいとき、この「長生庵」に来る。穴子南蛮なんかが人気メニューなんだが、私の好みは「冷かもせいろ」。やっぱり、ソバは「ズゾゾ」とすすって食べるもので、熱いツユにつかったやつを、「フーフー、ズルズル」なんて食べ方は粋じゃない。と私は思う。

冷かもせいろ1100円

2006年05月02日

【第9回】「築地の朝めし」 虎杖(いたどり)

ダイヤの波動の効き目とは?
 昨日の夜はちょい飲みスギ。なにせ、日本のダイヤ王、今野さんと福岡先生、川島先生の鼎談だ。テーマは、「ダイヤは波動を発しているか」。その波動で元気になったり、運が好転するかといった、私の大スキな「未知との遭遇」。この企画は、ソトコト7周年の7月号で、なんとダイヤ100コをプレゼントするという、大盤振る舞い。ダイヤに囲まれた昨夜の晩餐、なぜか皆、興奮していたネ。

 お酒を飲みすぎた次の日は、ちょっと朝寝をしてみる。連休の狭間に働くなんて、ロクでもない。でも今日は、ソトコト6月号の発売日。書店や売店をのぞきながら、編集部のある築地へ向かう。


第9回 京の錦市場からきたカレーうどん 虎杖(いたどり)
 “ダイヤの波動”が頭から離れない。さらなる、「未知との遭遇」を求めて、ロハスの聖地・熊野古道の名物でも食べようかと店に行く。なんと、連休でおやすみ。この店のレポートは、またの回のお楽しみ。
 しょうがないので編集部に戻るが、やっぱり“ダイヤの波動”が気になる。理論的に説明できないこと、理解できないことというのは、ものすごく人間の興味を引くものだ。そういう不思議な力を持つ場所といえば熊野古道だが、今日は休み。替わりに、京都からきたカレーうどんを食べることにする。

あなご天入りうどんは1300円

2006年05月01日

【第8回】「築地の朝めし」 東都グリル

根津、築地。ノスタルジー考
 根津の谷って知ってますか。きのうもフラフラ行っちまったんだが、最近私がハマっている下町散歩で必ず寄る店。オーガニックな、ロハスな店で、置くに自然食レストランもあり、こちらは未食。とにかく、店に入った瞬間、異次元。店の主の視線と合ったときには、昭和30年代にいっきにタイムトリップできる。

根津で買った梅ガム。5月2日発売のソトコトもよろしく

 魚河岸も、優れた外国人観光客にはそんなとこなんだろうな。はるかボストン、NYという世界の知性の頂からやってきた人にとって、今の東京にはアジアのカオスとサムライ文化へのノスタルジーを感じさせる場所が唯一築地なんだろうネ。ベスターというハーバード大学の人類学者が昨年出版した、「ツキジ」には、たっぷりと彼の感じる時空を超えた異国情緒がつめこまれてます。もうすぐ出版するから待っててネ。今日は、そのベクター博士がおススメする店、東都グリルで朝めし。


第8回 築地の社食で、朝からがっつり大ジョッキ! 東都グリル
 晴海通りから、波除神社へ向かう右側地下1階が「東都グリル」。店に入って、いきなり目に入ってきたのが、飲み干した大ジョッキと赤ら顔のおじさん。「朝からいいなあ」と思っちゃいけない、彼らは少なくとも5時間は労働している。築地と日本には、5時間の時差があるんだから。

2006年04月28日

【第7回】「築地の朝めし」 ザ・うどんや大将

築地までゆっくり、ゆっくり歩く。
昨夜は、久々「だるまさん入眠法」をやったおかげで、朝スッキリ。気功の先生に教わったんだが、寝る直前、あぐらをかいて手を組んで、アゴを前につきだすように背骨ゆらしを5分から10分。最初はあくび、その後涙、鼻汁。体ゆるんで、頭の芯までまっ白けになったところで床に入る。
安くてカンタン。ただし、ティッシュはネピアのソフトにしてネは、ソトコト・ルール。

元気な日は、銀座から築地までゆっくり歩く。ロハスの聖地、ボールダーにある、コロラド大学生理学研究所によれば、最新の研究では速く歩くより、ゆっくり歩くほうが身体の燃焼効率が高いことが実証された。
東海岸、ニューヨークでは、まだまだ走っていますが、西の聖地はスロー・ウォーク。高橋尚子ちゃんはしってんのかナ。


第7回 東京初、の讃岐うどん「ザ・うどんや大将」
抜けるような青空。築地まで気持ちよく、ゆっくりと歩く。築地4丁目の交差点が見えれば、あたりも市場らしくなってくる。私なんかは、銀座と築地の境目はニオイで分かる、本当に。ほっとすると、のどが渇いた。塩気も欲しい。今日の朝めしはうどんに決めた。
私が知る限り、東京で最初に「讃岐スタイル」のうどんや始めた「ザ・うどんや大将」へ向かう。1階にマクドナルドが入っている、雑居ビルスタイルの共栄会ビルの2階へ向かうエスカレーターを降りれば目の前が「ザうどんや大将」だ。

うどん(中)290円、タマゴ50円、桜海老かきあげ150円、明日葉てんぷら100円

2006年04月27日

【第6回】「築地の朝めし」 はいばら1号店

雨の築地はどうなのか?
朝から雨だ。築地にとって、雨はあんまり歓迎するものではない。場内なんか、ただでさえ水気が多くて、うっかりしていると小さな水溜りに足を滑らせてしまう。雨なんざ降った日は、ターレが水をはねるは、店の軒先から雨がたれてくるは。傘をさしていると狭い通路ですれ違うのが大変。とあまりいいことがない。
市場の人は、あんまり気にしないのかもしれないが、素人さんにはおススメできないな。
観光客が少ない分、実は散歩しやすいかもしれないが。何事も経験なので、一度雨の築地に行ってみるのも悪くない。
朝まだき、雨降りでもやがかかった築地に、ターレの音が響き渡る。築地が起きようとしている雨の朝、幻想的でなかなかいいもんだ。


第6回 築地4丁目交差点の名物「はいばら1号店」
とはいいつつ、雨の中をうろうろするのはイヤなので、アーケードがついたもんぜき通りへ。ウナギのいい香りが漂ってきた。動物は、雨が降ると嗅覚が鈍るそうだが、人間は逆だな。今朝は、ウナギを買って帰ることに決めた。

うなぎ弁当小890円、串焼き200円

2006年04月25日

【第5回】「築地の朝めし」 センリ軒

築地の朝は、時差+5時間

深夜12時になると、築地周辺には全国の港からお魚つんだ長距離トラックが集まってくる。築地の朝は、実はここから始まっているのだ。お魚を岸壁に並べて、セリは4時半頃から始まる。一般人が9時始業だから、この時点で5時間のズレ。そして、10時過ぎるころには、商売手じまいのまったりした時間が流れている。ほとんどの外部の観光客は、そんなたそがれ時の市場を眺めて、こんなものかと勘違いして帰っちゃう。一度でいいから、日が昇る前、暗闇で懐中電灯もってゴリゴリやっているセリ人の真の姿を見てから築地を語って欲しい。どうも私が、世の中をまっすぐ見られないのは、小さいときのそんな原風景のすりこみのせい。明るい日中からよっぱらっている父親の姿を見るたび、この人のやっていることはまっとうなことではない。深夜にマジメに働く人は、皆悪い人。どろぼうと同じだ。私を教えた教師達の世界観が狭かったんだナ。

子供をまかせる教師は、かくも長きにわたって、影響を与えつづける。教師が教えた共産党の戦略は、正しかったんだけど、アジアの心はもともと原始共産主義だからなじまなかったんだ。そんな築地に今や働く中国人諸君はいったい何人いるんだろう。軽子に、コンビニ店長に、めし屋。喫茶店だけは、まだイナイ。中国人はコーヒー嫌い?


第5回 築地市場より古い喫茶店「センリ軒」

今朝は、天気もパッとしない。雨なら雨、曇るなら曇る、晴れるなら晴れる、はっきりしなさい。自然の摂理にたてついてもしょうがないな。
おまけに、酒が多少残っている。こちらも体の摂理、無理してはいけない。
食べやすくて、体によさそうということで、今日の朝めしは場内の喫茶店「センリ軒」に決めた。

タマゴサンド480円、シチュー460円、コーヒー380円。

2006年04月24日

【第4回】「築地の朝めし」 ととや

月曜の場内は立ち入り禁止!

月曜の築地は、気合いの乗りがいつもと違う。休養十分な、労働者諸君が、親のかたきを見つけるような目で、立ち働いていらっしゃる。こんな日は、メシだけ食いに来る軟弱者は、“場内立ち入り禁止”が築地ルール。


まずは波除神社でお参りし、市場に背を向け晴海通りに出て左折。1分もしないうちに、鶏の名店「ととや」がある。朝は9時から開店だが、早くも先客、ビール。お酒は1本だけよ、のお客さん。いつも不思議に思うのだが、朝からお酒を飲んでる方は、買出し後に朝寝をなさるのか。それとも、希少なエネルギー源で、朝の習慣なのかしらん。

焼鳥丼は1,000円。

2006年04月21日

【第3回】「築地の朝めし」こはく

昨日のフレンチ「ピエール・ガニェール」について

 昨日は、予約の取れない驚異の3ツ星、青山の「ピエール・ガニェール」で、カルチエ社長とご会食。お店は満杯。サービスよろしい。私の知っている料理記者はみな誉めるのだが、私にはクエッション。まずは、皿数多すぎ、ディナーでなんと23皿。パリとは違った現地の食材ということで、魚がけっこう出るんだが、鰹と、ホウボウ、車エビにマナガツオ、さらに貝類。しかも、東京で勉強したんだろうね、火の入りが微妙なレアを目指したんだろうが、ただの生焼け。魚の火の通し方は、“わかんねェ”というか、食文化の違いなんだから、日本流なぞ考えず、バッチリ火を通しておフランスでいいのでは。中途半端ね。決定的にダメなのが、色感。これまた吉兆でお勉強したのか知らんが、民族の違いだネ。一緒にいた狂牛病の専門家、福岡教授のご指摘とおり、毒キノコの色のとりあわせだ。ただし、あれだけ食べても、今朝は快調、おなかペコペコ。食材、油、全ていいものつかってらっしゃる。

 てなことで、今朝は“かるーく”おにぎりだ。『ソトコト』編集部近くにある、隠れた名店、「こはく」にしよう。

おにぎりは1個150円くらいから。この日は、5個で865円。

2006年04月20日

【第2回】「築地の朝めし」 中栄(なかえい)

水曜の築地は狙い目だ!

 水曜日は、市場は休み。閑散とした場外を外国人観光客がウロウロとまどう姿を見る度に、「ヴィジット・ジャパンはどうしたんだ、国交省」といいたくなっちゃう。でも、厳密には、場内は東京都、場外は民間、結構利権が複雑。カンタンにはいかないんですネ。そのうち、築地に編集部がある我が『ソトコト』で、海外からのお客さん向けにインフォメーション・センター作ってやろうと思っております。

 ところでこのお休み、毎週じゃないところが、ややこしい。従って、場内での買い物が楽なのは、営業している水曜日が狙い目。いつもは素人を相手にしてくれないお店のお兄さんが、この日ばかりは親切ですよ。けっこう、飲み屋もやってるし・・・


第2回 50代には理解不能だが、熱烈ファンも多い「中栄」
 今日は朝からカレーだ。朝から生暖かい風が吹き、嫌な雨が降っているこんな日は、スパイシーなカレーでも食べて気分転換したい。築地でカレーといえば、場内の「中栄」。とはいうものの、私はここのカレーが、控えめにいって“嫌い”。「築地の朝めし」第2回に選んだことを後悔しつつ、自分を鼓舞して店に入る。

合いがけ600円。水曜日は500円になる。



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