2019. 4.29 mon. 18:00-20:55
vol.5タイ・イーサーン地方
ナビゲーター
クリス智子
旅人
金沢雅美
古い一軒家を改造した、FM96.75。入り口には道路にむき出しでソファや椅子が並べてありましたが、扉を開けると意外にもしっかりとした放送ブースが。
ご挨拶をしたら、自然の成り行きで生放送に飛び入りすることに。
局のDJで、マネージャー役の女性、ジュムさんにもインタビュー。このFM96.75は、WEBサイトとFacebookからも聴くことができます。
タイには、日本のいわゆる『人間国宝』と同じような制度、『国家芸術家』があります。
過去に三人だけ、モーラムの世界から『国家芸術家』が誕生しています。その三人とも、ここウボン・ラチャターニー出身。
中でも唯一の男性が、ポー・チャラート・ノーイさん。今年72歳。現役で活動しています。ご自宅へ会いに行きました。
なんとご自宅で、私たちを歓迎するモーラムを披露してくれました。お弟子さんも、ばっちりスタンバイしてくれていました!
モーラムの継承に関しては、昔のように弟子入りし修行を積む若者はほとんどいないのが現状なのだそうです。
「時代には逆らえない」
「私がいなくなったら、モーラムは終わるのかも」。
ポーさんがそうおっしゃっていたのが印象的でした。
ウボン・ラチャターニーからバンコクへ移動。
モーラムをクラブ・ジャズとして解釈し、ヨーロッパや日本でも話題を集めているバンド、『パラダイス・バンコク』のプロデューサー、マフト・サイさん。
クラブDJでもあり、アジアや中東のレアなアナログレコードを扱うレコードショップやバーの経営者でもあります。
バンコク市街で日本人が多く住んでいるエリア、トン・ローへ。
マフト・サイさんのレコードショップ『ZUDRANGMA RECORDS』でインタビュー。
zudrangmarecords.comマフト・サイさんが経営するバー『STUDIO LAM』。
21世紀の今、マフト・サイさんが作ったバンド『パラダイス・バンコク』は、民族的なモーラムサウンドにクラブジャズやソウル、ラテンのエッセンスを融合させ、モーラムを世界中に広めています。
『パラダイス・バンコク』のベテラン勢、ピン担当のカムマオさんと、ケーン担当のサワイさん。マフト・サイさんのお父さんのような年齢です。
二人ともプロとしての活動をあきらめていたところにマフト・サイから声をかけられて、再び活動を始めたそう。
ケーン奏者のサワイさん。78歳。
「ストレートに思いを伝えるモーラム」の魅力を世界に広めたい、という思いを持って活動を続けるバンド『パラダイス・バンコク』。今年も、タイ国内だけでなくヨーロッパのフェスなどから、たくさん声がかかっているそうです。
そして、日本にも! 毎年、富山で開催され、今年で29回目となる、日本最大規模のワールドミュージック・フェスティバル「SUKIYAKI MEETS THE WORLD 2019」への出演が決まっているそうです。
SUKIYAKI MEETS THE WORLD 2019
開催日:2019年8月23日(金)24日(土)25日(日)
sukiyakifes.jp
最後は、バンコク市民に今も支持されるモーラムの現場、ラジオ局『FM90 トゥンラック・タイ』へ。
イーサーン出身で、モーラムのシンガーでもあるという、イケメンDJ、チャチャさんの生放送中のスタジオに入れてもらいました。
人間国宝のポー・チャラート・ノーイさんの心配を覆し、現代の若者の間でもモーラムの伝統が受け継がれているとのこと。
FM90 トゥンラック・タイ
90rakthai.com
イーサーン地方独特の音楽文化をめぐる旅。モーラムの未来も見えてきた三泊五日でした。