株式会社リンレイ

J-WAVE 30th ANNIVERSARY SPECIAL

RINREI NATIVE MUSIC JOURNEY

株式会社リンレイ

2019. 9.23 mon. 21:00-23:58

vol.6 総集編1台湾 台東・花蓮県

クリス智子

ナビゲーター
クリス智子

元 ちとせ

旅人
元 ちとせ

2018年、奄美大島のアーティスト・元 ちとせが、台湾東部を訪問。

伝統的な楽器を作り続ける職人、母語教育をしながら部族のアイデンティティを守る小学校、ブヌン族親子のスピリチュアルなハーモニー、伝統的な祭りや儀礼を歌で継承するアミ族などに出会いました。

旅人・元 ちとせが語る旅の思い出

山で暮らすアミ族の竹の楽器の工房を訪れたり、神聖な滝の下で布農族の家族にすばらしいコーラスを披露していただいた台湾の旅。

なんと言っても、アミ族のアーティスト、以莉・高麗(イーリー・カオルー)さんとの出会い! イーリーさんは美しい海岸線が見える場所に暮らす、海のアミ族です。初めて行った場所の気がしなくて、イーリーさんの歌声がものすごくスッと自分の中に入ってきました。

このご縁があって、東京でイーリーさんのライブに参加させてもらうことに。イーリーさんの曲を練習して、一緒に台湾語で歌いました。

イーリーさんは奄美の「島唄」を覚えてきてくれて。「島唄」の歌唱法「グイン(こぶし)」は島のなまりなのですが、イーリーさんが上手に表現されているのを聴き、何か繋がっているものがあるのでは?と感じました。

この旅をきっかけに、ルーツが音楽でどう繋がっているのかを、ぼんやりとですが考えるようになりました。台湾の方々と一緒に、ルーツが見つかるようなライブをもっとできたらいいな……と思いながらの楽しい旅でした。

みなさんも、音楽をたどっておいしい物を楽しむ旅をしてみてはいかがでしょうか?

 

元 ちとせ

 

舞台芸術チーム「Amis旮亙樂團(アミスカックン楽団)」を訪れた際、最初に大砲で歓迎されました。私が点火を命じられたのですが……どうしても怖くて出来ず、スタッフに点火してもらいました。それはもう信じられないくらい近所迷惑な爆音でした(笑)
〔元 ちとせ〕

カックンと呼ばれる竹を使って、いろんな伝統楽器を作るサウトゥエ・サイダイさん。鼻笛をレクチャーしていただき、私の演奏の後にサウトゥエさんが目をつむって一言……「君は右の鼻が詰まっている」! これは医療機器か!?(笑)
〔元 ちとせ〕

Savi(サヴィ)ファミリーに素晴らしい歌声を披露していただいた、布農族の聖地となる「南安瀑布」でパシャリ。
〔元 ちとせ〕

鹿のスープ。布農族の家庭で振る舞っていただいたのですが、そこのお父さんに「俺たちの部族だけ捕ることを許されている天然記念物の鹿なんだ!」と、後から説明されました……真相やいかに?
〔元 ちとせ〕

イーリーさんに歌っていただいたカフェの近くの海岸線。海の近くまで水田が広がっています。日本ではなかなか出会えない光景でした。
〔元 ちとせ〕

インタビュー以莉・高麗(イーリー・カオルー)

台湾の旅で元 ちとせは、アミ族アーティスト、以莉・高麗(イーリー・カオルー)さんと対面。帰国後の2018年9月、イーリーさんの日本でのライブにゲスト出演しています。

 

──元 ちとせさんと台湾で出会った感想は?

イーリー・カオルー(以下、イーリー):元 ちとせさんは台湾の東海岸に住んでいる原住民の私にとって、姉妹のような親しみを感じました。たぶん我々と同じように、島の海辺に住んでいたから、身近な存在に感じられたのでしょう。同じ黒潮が流れている海辺では、何千年前、何万年前に私達の祖先も知り合っていたのではないでしょうか? 思わず心の中ではるか昔のことを想像してしまいました。

同じ島国に住んでいても、奄美民謡はアミ族の音楽とはまったく違います。元 ちとせさんの独特な「奄美島唄」の歌い方を聴くと、彼女の故郷は海岸が折れ曲がっていて、綺麗な自然溢れる、美しい島なのでしょう。

音楽を通して、その世界に秘められていることに触れ合えることは本当に嬉しいです。また、この交流を通して、異なる文化には、音楽の表現と込められる意味合いがいかに違うのかということも分かりました。

──日本でライブを行った感想は?

イーリー:2018年9月の東京のライブでは、元 ちとせさんと一曲奄美民謡の唄をコラボしました。この滅多にないチャンスのおかげで、奄美大島の民謡をより一層認識できたことは本当に嬉しかったです。

また、私が一番印象に残ったことは日本のリスナーの集中力です。私は中国語や原住民の言葉で歌ったので、お客さんは歌詞の意味が分からなかったと思いますが、じっと集中して聴いてくださり、ステージ上のミュージシャンにとっては非常に大きな励みになりました。

──今後の活動は?

イーリー:今は新しいアルバムを制作しているところです。このアルバムでは、日本のミュージシャンを始め、他の国のミュージシャンともコラボします。アルバムをリリースしたら、日本でもライブツアーを企画する予定です。日本のみなさまにお会いし、新しい作品をたくさんの人たちに聴いていただけることを期待しています。

旅のコーディネーター青木由香

青木由香

黒潮文化で繋がる南の島台湾。中央山脈と海に囲まれた豊かな自然の地に台湾の原住民は多く生活しています。花蓮と台東は都心から遠く離れて開発が遅れているところがありますが、自然環境と豊かな部族文化を持っている地域の方々は、誇りを持ち世界に向けて前進しています。

若者は、都会に出て生活する傾向にありますが、政府と民間が力を合わせて、歌を通して世界と地域をつなぐ活動をされています。番組で紹介された『以莉・高露』さんやANUさんも、農業や漁業をやりながら歌う活動を行っています。

部落に伝承された竹の楽器の記録を残し、演奏を通じて、土地・人・生活・音楽の意味を伝える『AMIS旮亙樂團』のアトリエには、『技藝超群』と書かれています。

この番組では、歌の本質である、祝福・安らぎ・パワー・生命に喜びを与える事など、伝統を尊重し、新しい表現をする人たちの考え方や魅力を感じていただけます。

番組の中では、旅の様子を通じて様子をお伝えしましたが、ライブでも日本の皆様に魅力を伝える活動も行われています。昨年9月には『NATIVE MUSIC SHOWCASE~台湾編』と題して、東京で以莉・高露のライブが実現しました。

続いて今年9月に島嶼音楽季が沖縄で開催され、オープニングで紹介されたDifangさんの息子さんと世界中を回ったメンバーも訪れます。

10月には、滝の前で歌ってくれたプヌン族のSaviファミリー『小芳家族(シャオファン家族)』が沖縄で公演します。そのような台湾東部の音楽家たちと、奄美出身の元 ちとせさんが、近い未来に台湾で再び出会い、黒潮文化で繋がる奄美の『あさばな節』を届けることを楽しみにしています。

その時は、みなさまも台湾に足を運んでください。

 

青木由香

日本で楽しめる台湾!ライブ情報

小芳家族(シャオファン家族)

番組にも登場してくれた、ブヌン族の伝統を伝えるSaviさんと5人の娘たちの初来日公演が決定。

2019年10月26日「13th’ Jazz in Nanjo」
会場:沖縄県南城市文化センター・シュガーホール つきしろ広場(野外ステージ)
jazz-in-nanjo.com

2019年10月27日「第27回宜野座村まつり」
会場:沖縄県・宜野座村農村公園、宜野座村総合体育館、宜野座村立博物館
www.vill.ginoza.okinawa.jp

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