theme is PARIS
Theme is... PARIS
日本人の旅先として断然の人気がある「パリ」
訓市が初めて訪れた時のエピソード、
その後、何度も足を運んで感じた
パリの魅力について語ります。
MUSIC STREAMもフランス・セレクション!
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番組では皆さんの「旅と音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
番組サイトの「Message」から送信できますが・・・
ハガキ、手紙も大募集!
宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
Antenna TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
♪ Relaxin' With Cherry / Kid Loco
「ブリストル系」「トリップ・ホップ」と呼ばれるジャンルが人気を集めた1990年代初頭に登場したエレクトロニック系のミュージシャンでDJのキッド・ロコ。フランスのレーベル「Yellow Productions」からリリースされたアルバムに収録されている曲です。
♪ Paris, Texas / Ry Cooder
ヴィム・ベンダース監督による1984年制作のロード・ムービー『PARIS,TEXAS』のサントラで、全編、ライ・クーダーが音楽を担当しています。この「PARIS」はフランスの「パリ」ではありません... 念のため!
♪ Dis Lui Toi Que Je T'aime / Vanessa Paradis
フランスの女性シンガー、ヴァネッサ・パラディによる1994年リリースのライヴ・アルバムから。彼女は1992年にレニー・クラヴィッツをプロデューサーに迎えたアルバム『Be My Baby』が世界的に大ヒットを記録しています。なお、ジョニー・デップとの間に2人の子供も!
♪ Revenge Of The Flowers / Malcolm McLaren
多彩な才能を持ったイギリス人アーティスト、マルコム・マクラーレンが「パリ」をテーマにした1994年のアルバム『Paris(en)』に収録。
♪ L'hymne A L'amour / Edith Piaf
フランス・シャンソン界の巨匠エディット・ピアフ。邦題は「愛の賛歌」... 日本でも越路吹雪さんを始め、多くのアーティストが歌っているポピュラー・ソングです。
♪ Betty Blue / Gabriel Yared
1986年のフランス映画『Betty Blue』のサントラから。なお、映画の邦題は「愛と激情の日々」!でも、曲はクールです。
♪ Journal De Bord - Entertainment Sous-Marin / Francois De Roubaix
アラン・ドロン主演のフランス映画『冒険者たち』のサントラから。サントラを手掛けているのがフランス人アーティストのフランソワ・ド・ルーベです。
♪ In Love With You / The Paradise
♪ Riders On The Storm / The Doors
1960年代中期から70年代初頭にかけて活躍したアメリカの伝説的ロック・バンド、ザ・ドアーズ。1971年リリースのアルバム『L.A.Woman』はドアーズのヴォーカリストで、詩人のジム・モリソンが参加した最後の作品となっています。なお、彼のお墓はパリにあります。
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking...
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今夜はパリということで、誰もがロマンチックな街だと言いますけど、パリは昔から変わらない街並みで、小さいお店もたくさんあって、ヨーロッパの街はいろんな所に行きますけど、パリは目的なくぶらぶら歩いて一番楽しい街なのかなと思います。公園もたくさんあって、本当に自由にベンチとかで過ごしたりできるので、バゲットとかを買って、水代わりに安いワインを買って飲むと、本当に自分がパリジャンになったんじゃないかっていう気分になります。僕は文学とか、本が好きで・・・パリは昔から色々な人たちが移り住んでくるっていう歴史がありますよね。例えば、ヘミングウェイの「ロスト・ジェネレーションズ」とか、「ビートニク」というアメリカの詩人や作家たちがみんな移り住んだり、あとはアメリカで迫害されていた黒人のジャズミュージシャンがパリに行ったり、異端児というかボヘミアンな人たちにすごく優しい街なのかなっていう印象がありますね。パリの人というかフランスの人は芸術がやっぱり好きで、自分たちが認めるとその人たちがどこか来たとか、どこの国の人であるかということはあまり気にしないという話を聞いたことがあります。僕が最初にパリに行ったのは多分、10代のときで、ロンドンと並んで一番最初に行ったヨーロッパの街だと思うんですけど、とにかく誰も英語を話さないし、話したとしても訛りが酷いので、何を言っているのかさっぱり分からないんですよね。でも、こちらが分からないって言っても気にせず話してくるっていうのがフランス人で、ずいぶん強引な人たちだなぁ〜と感じた覚えがあります。当時は日本人で黒い服とかagnes b. みたいな服を着て、紙袋にバゲットを持って歩いている子がたくさんいたんですよね。一人でそんな食べられる訳ないだろうって不思議に思った覚えがありますけど、でも、そういう僕もカフェでカフェオレなんか飲んで小指を立てちゃったりして、気持ちは「なんとか画伯」みたいな感じで。パリって誰でもそういう風にうっとりさせるなにかがあるんだと思います。
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僕が一番パリというかフランスに行ってすごく強い印象を受けたのが、よく個人主義の国だって言われていますが、僕が友達と一緒に地下鉄に乗った時に、友達がチケットを買わないでゲートを飛び越えて行ったんです。隣に駅員さんがいるので、さすがにまずいだろうと思って「やめな、怒られるよ」って言ったら、「注意するのは彼の仕事じゃない」って言うんですよ。「給料をもらっているのは違う仕事の為で、注意する為じゃないから平気なんだ。注意するのは鉄道警察だ」って。確かに何も言わないんで、すごい国だな、と。その後バスに乗ったら、パリのバスは前が入り口で後ろが出口なんですけど、みんなお金払わないで出口から乗るんですけど、それも運転手さんがちゃんとドアも閉めずに待ってるんですね。「なんで平気なんだ。」って言ったら「運転手の仕事は運転だから、チケットのことには文句を言わない」って言うんです。こういう考え方もあるのかと。日本だと知らないおばちゃんとかにも説教くらったりしますけど、例えば、ごみを投げてる子供とか。個人主義っていうのはこういうことなのかと。自分の常識が通じないというか、そういう気分を味わえるのも旅の醍醐味なのかなあと思います。パリは古い街なので、色々な作家が住んでいた建物とかが残ってるんですよね。そういったものを探しながら歩いて行くと、もしかしたら当時住んでいた人達が見たのと同じ光景を自分も見て歩いているのかなぁ〜という気分を味わえます。僕はそれがすごく楽しくて、随分色々な所に行きました。一番のきっかけは多分、ドアーズのジム・モリソンとか、詩人のボードレールとか、そんなところから始めていって、ここにも家がある。あそこにも家がある。ここがみんなが集まった本屋だ、バーだ、とか。他の街ではなかなかできないような時間の過ごし方ができるのがパリなのかなと思っています。
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パリという街は、とにかく人によって色々な楽しみ方があるんじゃないのかなと思います。骨董品が好きな人たちは、「蚤の市」に行くと思いますが、僕も「蚤の市」で一つ好きな場所があって、セパレットっていうビルかな。そこの中には専門店が入ってるんですよね。そうすると昔の船長さんみたいな格好をした髭のおじさんがライターだけ売っていたり、昔の革の旅行カバンだけを売っていたり。最初は値段をふっかけてくるんですけど、僕は3日かけたら最初の言い値の1/3くらいになったかな。見ていたら、すごく高いカバンをお店の人が売っていて・・・上機嫌でワインを飲みだしたんですよね。そして、「もう今週は商売しなくていいから何もしなくていいんだ」って言うんで、「じゃあこれを安くしてくれてもいいよね?」と言ったら、ものすごく安くしてくれまして。急いで買わないで時間をかけるっていうのが多分、パリで安くアンティークやビンテージのものを買う肝だと思いますね。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。