ON AIR DATE
2015.02.22
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  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54

Wes Anderson

TUDOR logo

Theme is... Mr. Wes Anderson

テーマは「ウェス・アンダーソン」

日本時間の2月23日に発表される
『第87回アカデミー賞』で最多の
9部門にノミネートされている映画、
『グランド・ブダペスト・ホテル』...



その監督ウェス・アンダーソンと
野村訓市は10年来の知り合いで、
訓市は映画にも出演しています。

ウェスとの出会い、その後の交流、
『グランド・ブダペスト・ホテル』の
撮影エピソードについて
訓市が語ります。



2月22日・日曜日の夜8時から・・・
check it!!!

★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージを
お待ちしています。

番組サイトの「Message」から
送信してください。
また、ハガキ、手紙も大募集!

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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
Antenna TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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スタッフ一同、お待ちしてます!!!

2015.02.22

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

Beautiful Love / Myron & The Works

米クリーブランド出身で、フィラデルフィアをベースに活動しているR&B系のシンガー、マイロン。2008年にリリースされた本アルバム『Myron & The Works』は女性ベーシストのミシェル・ンデゲオチェロ、キーボードのロバート・グラスパー、ドラムスのチャールズ・ヘインズといった錚々たるミュージシャンとのセッションから生まれた作品です。

2

Gymnopedie No.1 / Erik Satie

1800年代中期から1900年代初期に活躍したフランス人作曲家、エリック・サティの代表曲。ウェス・アンダーソン監督の2001年作品『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』の中でこの曲が使われています。

3

Look At Me / John Lennon

ジョン・レノン・プラスティック・オノ・バンド名義で1970年にリリースされたアルバム『ジョンの魂』に収録されている曲。ウェス・アンダーソン監督がニューヨークへの思いを描いた映画『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』の中で使われています。

4

Fly / Nick Drake

アジア系のイギリス人シンガー・ソング・ライター、ニック・ドレイクのアルバム『Bryter Layter』に収録されている曲で、これも『ザ・ロイヤル・テネンバウム』のサウンド・トラックに入っています。なお、ドレイクは僅か3枚のアルバムを残し、1974年に26歳という若さでこの世を去っています。

5

Runaway / Kanye West feat.Pusha T

米シカゴ出身のラッパー、プロデューサーのカニエ・ウェスト。2010年にリリースされた5枚目のアルバム『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』に収録されている曲で、訓市は飛行機内のラジオでたまたま選局したチャンネルで耳にして・・・イントロ・パートの「ピアノ」に痺れたとか…

6

Everybody's Changing / Lilly Allen

イギリスの女性シンガー・ソング・ライター、リリー・アレン。この曲はUKのオルタナティヴ・ロック・バンド、キーンが2003年にシングル盤でリリースし、2006年にヒットを記録。その直後にリリーがカバーしました。シンプルなアレンジにより歌詞がストレートに耳に入ってきます。

7

Protection / Massive Attack

UKブリストル出身のユニット、マッシヴ・アタックは1990年代に一世を風靡した「トリップ・ホップ」と呼ばれるジャンルの中心的存在でした。その絶頂期に当たる1994年にリリースされたアルバム『Protection』は名盤です。アルバム・タイトル・トラックではエブリシング・バット・ザ・ガールの女性ヴォーカリスト、トレイシー・ソーンをフィーチャーしています。

8

Everybody Had A Hard Year / Marz

ドイツのフォーク・トロニカ・デュオ、マーズ。2002年にリリースされたファースト・アルバム『Love Stream』に収録されている温もりを感じる曲です。寒い時期、寒い場所におススメ!

2015.02.22

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。

Kunichi was talking...

★★★★★★★
ウェス・アンダーソン監督というのはとにかく映像に凝っていてですね、撮り方も独特なんですけども。カメラが常に水平に動いたり、ストーリーのほうもすごくオフビートな作風で、映画業界の人が惚れ込むタイプのカルト作家っていうジャンルの人だったと思います。それが最近どんどんメジャーな感じになってきまして、去年公開された『グランド・ブダペスト・ホテル』は本当に予算は小さいですけど世界中で大ヒットしまして、日本でもカルト作家から脱却したのかなっていう感じになりました。「第87回アカデミー賞」では最多の9部門にノミネートされていますし、先日の「ゴールデン・グローブ賞」ではコメディorミュージカル部門の作品賞を獲りました。ウェスという監督の特徴は多数のキャストが出てそれがすごく豪華なんですけども、『グランド・ブダペスト・ホテル』でもジュード・ロウからエドワード・ノートン、ハーヴェイ・カイテル、ビル・マーレイなんかも出演しているんですけど、ほとんどみなさんノーギャラというか、出られるんだったら自費でも来るくらい支持されている人です。僕はその撮影に行くことになったんですけど。というのも、個人的にウェスという人と10年前に知り合ったからなんですね。知り合ったきっかけというのはソフィア・コッポラという監督がいるんですけど、彼女とはそれ以前からの友達で、自分の友達が日本に来るとよく僕の連絡先を渡して「面倒みてやってくれ」と言われるんですけども、ある日短いメールがきまして、「友達が行くから面倒みてくれ」と。そうすると2〜3日してからウェスっていう人が「こんにちは、僕、日本に明日行くからホテルで会いましょう」って一言くらいのメールが来たので、のこのこ出かけました。今、みなさんも見たことあるかもしれませんけど、いつもスーツを着てマフラーを巻いている人がロビーで立っていて、誰だかよくわからないまま2人で出かけまして。買い物をしたりご飯を食べたりお酒を飲んだりして。次の日もまた連絡があって「今日も会わないか」って。また2人で出かけて仲良くなったんですけど、何をやっている人なのかさっぱりわからなくてですね。「ところで、何しに来たんだ?」っていう時に「映画のプロモーションで来てて」・・と。「ああ!あのウェス・アンダーソンか!」っていうことになりまして。そこからの付き合いで、今でもニューヨークに行ったりパリに行ったり、彼と同じ場所にいる時は連絡をとってご飯を食べたりしています。

★★★★★★★
彼はすぐに引っ越してしまうし、大の飛行機嫌いで、撮影でヨーロッパに移ったらそのまま家を買ってしまったり、すごい変わった人なんですけども。3年前の年の暮れに「久しぶり」っていうメールが突然きたんですよね。「1月くらいにヨーロッパに来ないの?」っていう内容でしたので、「パリに行きます」と、用事があったのでそう言ったら、「ドイツにいるから会いに来てくれよ」っていう返事だけ来たんですよ。経由便で行こうと思っていたので、まあベルリンくらいにいるんだろうと思ってかるく返事をしたらその後から知らないアシスタントからガンガンメールがくるようになりまして。「髪の毛の長さはどのくらい?」「髭は生えてるのか?生えてるなら剃るな」とか。なんなんだこの人は、と。聞いてみたら「ウェスから聞いたけど、あなたは新作に日本人の芸術家だか俳優で出る」って聞いたって言うから「ああ、そういうことなんだ」と。そこから一悶着ありました。「1月の頭に来い」とか。「僕は 仕事があるから行けない」と言ったら「俳優はみんなコスチュームフィッティングに来るのに、プロじゃない」みたいなことを言われて、「いや、こっちはプロじゃないよ!」みたいな。とにかく向かうことになりました。すごい辺鄙な場所で、ドイツとポーランドの国境近くの街でして、もう寂れてるんですけども、昔の建物がたくさん残っていて、だからそこをロケ地に選んだらしいんですけども。僕が着いた時は真夜中で吹雪いていて、ホテルに着いても誰もいなくてですね。ここ、本当にあっているのかな?ってちょっと不安になりましたけど。そこから3日間いたのかな。撮影で寒い中シャツ1枚で冷たいスープを啜らされたりですね、とても友達に頼むこととは思えないというか、この仕打ちは何なんだろうと思って、実際寒すぎて途中で帰ってしまったんですけども。でも、その撮影というのは本当に素敵で、キャストが全員同じホテルに泊まるんですね。で、夕飯時になるとウェスは食べ物にもうるさいのでシェフを呼んでまして、その人が作った料理をキャスト全員で食べるんですよ。なので、それこそ毎晩、隣がジュード・ロウでしたり、ジェイソン・シュワルツマンっていう、ウェス組と言われている人ですけども、ロッキーのエイドリアンの息子ですね。あと、レイフ・ファインズという主役の人もいましたし、もちろんウェスもいたし。そこで毎晩ワインを飲みながら「ああでもない、こうでもない」という話を何時間もしながらご飯を食べるんですよ。なので、僕にとって「グランド・ブダペスト・ホテル」というと、そのみんなで泊まったホテルのことを思い出します。

★★★★★★★
撮影自体、今となっては面白い思い出なんですけどね。自前のスーツを持っていって丈、短く切られてしまったりですね、考えてみるとひどい人なんですけども、この間ニューヨークで会ったらごちそうしてくれたので良しとしていますけども。ご馳走といえば、僕がウェスの話で強い思い出というと、昔、彼がパリに住んでいた時に連絡してご飯を食べに行こうということになったんですよ。初夏で本当に晴れて温かくて。これ以上気持ちのいいパリの日はないっていう日でした。待ち合わせになぜか上下シアサッカーのスーツに傘を持って現れまして。「メリー・ポピンズ」かなぁ、みたいな。傘を持っている人なんて1人もいないですからね。で、ちょっとオシャレなフレンチのレストランに連れて行かれましてメニューを見ても一つもわからないんですよ、当然。で、ギャルソンが寄ってきて「今日のメニューは・・・」みたいなのを説明してるんですけど、「ウェス、フランス語、喋れたっけ?僕。全く分からないから教えてくれ」って言ったら「僕は一言も喋れない。二年も住んでるのに。」「どうすんの、このメニュー」って言ったら「大丈夫。魔法の言葉を知ってるから・・・」って。そのギャルソンがずーっと一生懸命説明しているのを、さも理解したかのように頷いているんですよ。全部ギャルソンがメニューの説明をし終わって、さあどうします?って言った時に、ウェスがなにか一言言ったらギャルソンが満足そうにうなずいて戻っていったんですね。「今、なんて言ったんだい?ウェス。」ってい言ったら「おまかせって頼んだ。」って。最初から言えよって思いましたけど、すごい使える言葉ですね。レストランにしてみるとやっぱりシェフにおまかせっていうのは1番喜ぶらしいんですね。なので、みなさんもこれからいろんな国に旅行に行くと思いますけども、「おまかせ」っていう言葉を現地語で知っておけばですね、したり顔で頷いていればいいんですよ。最後にその一言を言うと、お店の人は喜んで良い料理を作ってくれるそうです。