「ライヴ」
ホームタウンでのライブはやはり格別だ。
いろんな街を旅したバンドが町に戻ってくる。
思い出のかけらが あちこちに落ちている町へ。
今夜はとことん楽しもう。
素晴らしいときは、すぐに消えてしまう。
夏の終わりは、以外に早い。
いまこの瞬間は 二度と戻らない。
Theme is... LIVE
夏本番! 世間は音楽フェス盛り!
世界各国、各地で開催された「夏の音楽フェスティバル」で
訓市が体験したエピソード、そこで感じたことを語ります。
ミュージック・ストリームは彼が「ライヴ」を観て
印象深かったアーティストの曲を中心にセレクト!
★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
「こういった特集をやってほしい」「あの国の話が聞きたい」
というリクエストも随時募集しています。
番組サイトの「Message」から送信してください。
ハガキ、手紙も大歓迎!
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
Antenna TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Love Is Stronger Than Pride (Mad Professor Mix) / Sade
リミックスを手掛けているマッド・プロフェッサーはアフリカ出身の黒人アーティストで、活動のベースはイギリス、ジャンルはレゲエ。「ダブ」と呼ばれる手法を駆使したこのミックスは名作。
Film / Aphex Twin
アイルランド出身のテクノ、エレクトロニカ系アーティスト、エイフェックス・ツイン。彼は様々なタイプの作品を作るので、美しい曲もあればノイズのような曲もあり、万人ウケじゃないのかな。最近、また新譜を沢山リリースしているのでぜひ聴いてみてください。
Hyper Ballad / Bjork
アイスランドの歌姫ビョーク。1995年にリリースされた3枚目のアルバム『POST』に収録されている曲で、当時、日本でも大ヒットを記録しました。名作!
Around The Bend / Pearl Jam
訓市によれば・・・「ライブですと演奏や歌が下手だったり、CDで聴いたのとはチョッと違うな〜って思うアーティストも多いんですけど、このパール・ジャムのエディ・ヴェダーは本当に声がよく出て、声がナチュラルに震えていて、とにかくそれが何か突き刺さるものがあって聞き惚れてしまうボーカリストの一人だと思います」。
Every Breath You Tale / The Police
訓市がアメリカ留学していた時に当時の彼女と一緒に観に行ったのがスティングのテキサス公演。本人曰く、「あまり期待していなかった」のことですが、「とにかく素晴らしいステージで感激した」とのことです。
Soothe / Smashing Pumpkins
訓市がロンドンに住んでいる時に生で観たスマッシング・パンプキンズ。その当時の彼らは人気絶頂期で、爆音のノイズが凄かったとのこと。ただ、彼はアコースティック系の大人しい曲により魅力を感じるとか。
I Can't Make You Love Me / Bonnie Raitt
「スライド・ギター」の名手、ボニー・レイットが1991年にリリースしたアルバム『Luck Of The Draw』に収録されている曲で、失恋した人にこれを聞かせるとさらに落ちるっていう究極の失恋ソング!名曲です。
One / U2
アイルランド出身の世界的ロック・バンド、U2。訓市は彼らのライヴではギタリストのエッジの音だけを聴いていて・・・それだけで丼3杯いけるとか(笑)。
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking...
★★★★★★★
夏といったらとにかくライブ、コンサートですよね。スタジアムとか大箱で聴くのもすごく楽しいんですけど、季節柄やはり野外でビールを飲みながら音楽を聴くっていうのが一番楽しい季節だと思います。夜、空には星や月がぽっかり浮かんで、風が気持ち良かったりすると、知らない曲がかかっていてもあんまり気にならないというか、一番リラックスした気分で音楽が楽しめるんじゃないのかなと思います。実際、旅先でも機会があると僕はよく見に行くんですけど、一番最初に海外でライブを見に行くきっかけになったのが、10代に初めてロサンゼルスに行った時のことです。泊めてもらっていたのが母親の幼馴染みの家で同年代の子供がいまして、「ライブに行くから一緒に行くか?」って連れて行ってもらったのが一番最初です。自分が選んだライブじゃなかったので、バンドの名前がOINGO BOINGOというニューウェーブバンドですね。向こうのKROQというラジオ曲で人気があったバンドで、それを見に行きました。ただ、音楽は全然わかんなかったんですけど会場がすごく素晴らしくって、ハリウッドの山を上がっていくとグリフィスパークっていう大きい公園と天文台があるんですけど。多分ジェームズ・ディーンの「理由なき反抗」を見たことがある人がいたらわかるかな。そこに出てくる有名な公園なんですけど。そこに野外ステージがあるんですけど、着いたら親が連れてきてる人たちからティーンエイジャーが自分で車に乗って来てる。それが自分にとって生まれて初めて見る夜のカリフォルニアのティーンエイジャーたちでして。「なんなんだ、ここは。」って。今まで見たものとは全く違う光景でして、サンダルにカットオフしたジーパンにTシャツ着た金髪の女の子とかがギャーギャーやってるわけですよ。なんか突然、青春映画のワンシーンに放り込まれてしまったような、疎外感があるような。でもすごく好奇心を駆り立てられるというかですね、その後の曲っていうのは一曲も知らなかったんですけど、周りがものすごく盛り上がるので最後はその輪の中に行って、楽しむことができました。海外のライブというのはとにかく、全体的に言えると思うんですけど、異常にノリが良くてコール&レスポンスですか。ミュージシャンが何か語りかけるとものすごい返るっていうのがすっごい面白いですね。あとは格好も年齢もバラバラの人たちがいるので、そういうのもなんかフラって行っても中に入れるというか。日本だとジャンルに合わせて格好が一緒の人たちが多いじゃないです。僕、Guns N’ Rosesのライブに張り切って行ったら、東京ドームの前に何百人だか千人だか、偽アクセル・ローズがいて、全員ライダースの上にカットオフのジージャンにズボンはカウボーイブーツの中にインしてですね。おでこにバンダナを巻いてるんですよ。前が見えないんですよね。僕が行った時に偽アクセルが2人隣に立ってて、10分くらいしてから「おお、タカシ。来てたのか!」みたいな。待ち合わせの友達が見えてなかったっていう。ああいう格好をしないと中に入れないっていうよりは、誰でも楽しめるっていうのがすごくいいんじゃないかと思いますし、バンドの人たちも地元でやってたりするとすごくリラックスしてたりするので、地産地消じゃないですけど、見たいバンドはその彼らの出身の場所で見るのがすごく楽しいんじゃないかと思います。
★★★★★★★
ライブっていうと友達と行ったり彼女と行ったり一人で行ったり、様々な行き方があると思います。例えば、パンクのライブなんか行く時は騒ぐ男友達と行ったりするのが一番たのしいですし。音楽が大好きっていう人と行くのが一番僕は好きなんですけども。よく思い出すのはテキサスに住んでた頃にその当時の彼女と一緒に行ったライブですね。すごく音楽が好きな女の子だったんですけどあまり音楽の趣味が合わなくてですね、一緒に音楽を聴くのがものすごく苦痛だったんですね。ある時、Stingがテキサスに来るっていう話がありました。彼女はもうStingが死ぬほど好きで、「もちろん行くわよね?あなたも大好きよね?」って言われて「もちろんさ、スイートハート!」みたいな。チケット代は高いし、どうしようかなこれ。みたいな。ただの商業ロックだろ、くらい思ってたんですよ。もちろんそんなこと言えないですからね。「楽しみで寝れないよ!」みたいな、嘘のオンパレードでした。とりあえず夏だし、一緒に行けば楽しいかなって思って、友達の古いアメ車で友達のカップルと僕ら4人ででかけました。よく覚えているのは行きの高速で、テキサスは広いので高速がカーブを曲がるなんていうことがほぼなかったですね。ずっと一本道で上がったり下がったりで。インターセクションや合流のところは曲がるんですけど。古いアメ車で冷房もなかったので、三角窓があってそれを全開にして、それを逆に向けると風がものすごく入ってくるんですよ。それでずっと走ったことをすごくよく覚えています。
ライブ。期待しないで行ったら素晴らしかったんですよね。やっぱりヒットソングがいっぱいあるっていうのは何かがあるっていうことなんだなってすごく思いました。スタジアムで何人人がいたのかわかんないんですけど、全員ずっと合唱なんですよ。それってこれだけの人がいて一緒に歌って、夕日が射して、演奏もうまくて。これはなんかあるなぁとすごく思いました。そしてベースを弾くStingを見て、そういえば小さい時Policeのビデオを見て、スタンディングベースって言うんですか?立って弾くベースなんですけども。それに憧れて軽く親に買ってくれっていうジャブを振ったら相手にもしてもらえなくてですね、諦めた記憶が蘇りました。その時にPoliceの「Every Breath You Take」をライブでやりまして、あの曲本当に素晴らしいですよね。帰りも車で聞いたんですけど、歌詞の内容っていうのが日本のタイトルですと「見つめていたい」。要は、君が吐く息全て、動く全てを見ていたいっていう歌詞なんですけども。留学期間中ですから、限られた時間しか一緒にいない彼女をなんとなく見つめたのを覚えています。
★★★★★★★
地元で見るライブっていうのがどれほど素晴らしいっていうのは、小さい時の親友のお母さんにいろいろ話を聞いて行ってみたいなと思っていたんですね。彼女はものすごく豪快な人で、歳も随分年配の人で。それこそ戦後の渋谷にいた学生の愚連隊とかも知り合いで、僕らがちょっとグレたというか、渋谷で遊んでいると「あの辺の人たちに怒られるわよ。」とか言いながら、すごく面白い力道山の話をしてくれたり、いろいろあったんですけども。彼女は本当のプレスリーのファンで、昔、何年もかかって貯めたお金をラスベガスのホテルの3日間のディナーショーに全て突っ込んでしまったというお母さんで。子供心に「そんな!全財産をコンサートに使っちゃったの?」って。そしたら「そうよ。それが正しいお金の使い方なの。」って。無一文で帰ってきて、その後働こうっていう気になったって。それくらい本場で見るのは素晴らしいんだって言われまして。そういうのがどこか僕の記憶にあるのかもしれません。だから、物を買うよりやっぱり旅に行ったり、生の現場で音楽を聴いたり、そういう事にすごく価値があるんじゃないかって今でも思っています。どうせ死んでも物は持って行けないですからね。できれば持てる限りの思い出というか、何を見たかっていう経験を持って死にたいなと思ってます。可能だったら、もっともっといろんなライブを地元でみたいなっていうのがありますけど、たまに「そんなにいいモンじゃないのよ」っていう話をしてくれる人もいるので、ちょっとその話をしようかなと思います。
知り合いにTom Waitsが好きすぎてっていう人がいました。僕もTom Waitsは大好きでまだ見た事がない一人です。酔いどれ詩人でヨレヨレのスーツ着て、拡声器持って喋ったりトランペット吹いたり。その人もニューヨーク3日間という、マディソン・スクエア・ガーデンかな。Tom Waitsがあるってお金全部突っ込んで見に行ったらしいです。最初からセットも舞台のようで凝ったセットになってるらしいんですよね。まあ、盛り上がるというか知ってる曲のオンパレードでもう涙、涙で聴いていると、途中一番盛り上がったのがなんの曲だか忘れたんですけど、ピアノソロになって、それからピアノの端にずっとウィスキーがグラスに注がれていたそうなんですけど、ピアノをバンバンバンバンバーン!て弾いて最後にそれを持ってTom Waitsがクイっと一気に煽るらしいんですよ。で、それ頭を上げて一気に飲んで倒れたかと思うとバーン!とピアノを弾くらしくてですね。もうヤンヤヤンヤの歓声で、そのファンの人も涙、涙というか。さすが酔いどれ詩人!みたいな。興奮冷めやらぬ中、次の日見に行ったら、同じセットが進んで同じ場面でまたそのウィスキーを飲んだらしいんですよ。あれ?みたいな。で、3日目もそうで。聞くところによるとTom Waits随分前から禁酒をしているらしくてですね、あのグラスの中もアイスティーかなんかだったらしいんですけど、それを知ってものすごく冷めてしまったという。本場で見たから嫌だったというのではなくてですね、そこまでわざわざ見に行ったのに!っていう、ガッカリ度がハンパなかったらしいんですけど。ただ、Tom Waitsという人はすごく舞台というかシアターっぽいエンターテイメントとしてライブもちゃんと作られているらしいので、それはそれは完成度はすごく高いらしいんですけど。お金全部使って1年の休みを全てその3日間に突っ込んで、毎日一緒だったらちょっと残念は残念ですけどね。ただとにかくライブを海外で見るというのは楽しいものです。夏休み、お盆をずらしてこれから休むっていう人がいたら、海外行ってもやることないし。ということがあったらネットでライブスケジュールを見てみてください。夏っていうのはいろんな人たち掻き入れ時です。いつもどこかで誰かが演奏しています。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。