「鎌倉・葉山」
東京からすぐ近くなのに、そこは異国の香りがした。
細い道と洋館と 映画の看板。
静かな海で過ごした日々。
それから多くの月日が過ぎた。
大人になった少年が口ずさむのは、
忘れられたビッグ・ウェーヴ。
メロディがあの頃の風を運んできた。
Theme is... KAMAKURA・HAYAMA
★★★★★
訓市の記憶の中にある最初の海は、「湘南」。
鎌倉、葉山・・・ そこで体験したエピソード、
今、改めて感じる魅力とは?
さらに、鎌倉を舞台にした映画『稲村ジェーン』について語ります。
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番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
「こういった特集をやってほしい」「あの国の話が聴きたい」
というリクエストも随時募集しています。
番組サイトの「Message」から送信してください。
ハガキ、手紙も大歓迎!
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Tears For Affairs / Camera Obscura
スコットランド、グラスゴー出身の男女混成5人組バンド、カメラ・オブスキュラ。結成は1996年で、この曲は2006年にリリースされた3枚目のアルバム『Let’s Get Out of This Country』に収録されています。
Ain't That Just The Way / Lutricia McNeal
アメリカの女性シンガー、ルトリシア・マクニールのデビュー曲でリリースは1997年。当時、日本を含め世界中で大ヒットを記録しました。
La La Means I Love You / Swing Out Sister
女性ヴォーカリストのコリーンと男性キーボーディストのアンディからなるイギリスのデュオ、スウィング・アウト・シスター。1990年代に日本でもヒットを連発し、絶大な人気を誇りました。この曲はアメリカのソウル・グループ、デルフォニックスの代表曲をカバーしたもの。
Alison / Everything But The Girl
アンニュイなヴォーカルが魅力のトレイシー・ソーンとギタリストのベン・ワットからなるイギリスの男女デュオ、エブリシング・バット・ザ・ガール。1992年にリリースされたコンピレーション・アルバム『Acoustic』に収録されている曲で、エルヴィス・コステロのカバー・ヴァージョンです。
元気を出して / 竹内まりや
竹内まりやが薬師丸ひろ子に書き下ろした曲をセルフ・カバーしたヴァージョン。後半部で薬師丸ひろ子のコーラスがフィーチャーされています。
I Will Remember You / Sarah McLachran
カナダ出身の女性シンガーソングライター、サラ・マクラクラン。1999年のアルバム『Mirrorball』から。
No One Said It Would Be Easy / Sheryl Crow
アメリカの女性シンガーソングライター、シェリル・クロウのデビュー・アルバムで、1993年のリリース当時、世界的にヒットした『Tuesday Night Music Club』に収録されている隠れた名曲。
Baby Mine / Bette Midler
ベット・ミドラー自身も出演している1988年の映画『Beaches(邦題:フォーエバー・フレンズ)』のサントラに収録されている曲で、ディズニー・アニメ『ダンボ』のテーマ・ソング。
Let's Wait Awhile / Janet Jackson
ジャネット・ジャクソンの一躍ポピュラーにした1986年の大ヒット・アルバム『Control』に収録されている曲で、全米R&Bチャートでナンバーワンを記録。当時、一世を風靡していたジャム&ルイスがプロデュースを手がけています。
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
★★★★★★★
僕が葉山や鎌倉を好きだというのは東京生まれで近くにあるっていうのもあるんですけど、自分の一番最初の海の記憶というのが多分ここだったからかもしれません。昔は生垣の古い日本家屋というのがたくさんありまして、その中の一つを自分の親の知り合いが持ってまして、夏の間はよく遊びに行ったものでした。そこの庭でスイカ割りをしたり、庭にトンビが飛んできて餌付けをしたりとかですね、周りでずっと蝉が鳴いていて。和の世界なんですけど、どこか海外の思い出のような、思い出すとフィルターのかかった写真のような光景が浮かびます。僕の母親なんていうのはよく海に行って「浜辺の歌」なんかを歌ってましたね。多分、自分の小さい時を思い出してたのかもしれません。子供心に、浜辺というのは大人が急にどこかぼんやりしながら昔を思い出しては寂しくなる場所なんだなぁと思ってました。葉山というのはそういう気分にするのにぴったりな場所だと思います。僕が小さかった頃は70年代の後半とか80年代なんですけども、バブルが起きる前で本当に大きいお屋敷とか洋館というのがたくさん残ってました。ちょっとした細い路地っていうのもたくさんありまして、それを抜けると裏に山が見えて、さらに抜けていくと海が見えてっていうすごく映画のシーンみたいで。あと葉山は昔米軍キャンプがあったので、まだところどころ英語のサインなんていうのが残ってまして、どこかハイカラなイメージがありましたね。僕が一番好きだったのは一色海岸という葉山にある浜なんですけども、すごく静かで。夏の間いろんな素敵な海の家が出て賑やかですけど、今の時期ちょっとデートで行くっていうのであれば一色なんかを歩くのがいいと思います。
★★★★★★★
僕があっちの方に行く時に観光スポットとかオシャレな海の見えるレストランなんかには絶対行きません。何をするかというと、散歩して古い家を探したり、建物を見たりするのがすごく好きです。結構なくなってしまったんですけども、未だに平屋の米軍ハウスのいいのが出てきたり、友達がすごく古くて味のある家を見つけて住んだりするのを見るとまだまだ残ってるんだな、と思います。一番印象深いのは昔、もう10年以上になるのかな。今は鎌倉でパラダイス アレイというパン屋をやっているじゅんぺいという友達がいて、海の家のコックだったんですけども。彼が「くんちゃんが好きそうなすごい古い家に友達が住んでいて、もうすぐ取り壊しになるから見に行こう」って言うんで行ったんですよね。それは逗子にありまして、本当に素晴らしい家でした。もともと昔、木場にいた材木商の方の別荘だったらしいんですけど。それは門が山門のような和洋折衷の家でして、すごい細い路地を入った先にあったんですけども。まず母屋が和風建築ですごく素晴らしいんですよ。そしてその奥に大正時代に建て増ししたっていう洋風の居間がありまして、そこからドアを開けると芝生の庭に出るんですね。そのまま芝生の土手が逗子の川にまで伸びてそこにその家のためだけの桟橋があって、ヨットで海に出れるっていうね。本当に素晴らしい家でした。で、これはフランス人の人が住んでたんですけどもヨットが趣味で。ある日、逗子らへんをヨットで回って川を遡ってたらたまたま鬱蒼としたその土手が唯一残った家を見つけてですね、大家さんを探して交渉して住まわせてもらってたらしいんですよ。その家はずっと残ってたんですけど、手前の家が売れてしまって、工事車両が入るようになったとたんに買われてしまって、そのフランス人も出ていかなければならなかったらしんです。彼はそこに週末来ると、庭に面した洋風の居間に古い大きなスピーカーとレコードのコレクション、それとターンテーブルを持ち込んで週末になるとそこに一人で泊まってレコードを、ジャズらしいですけど、それを聴いていたそうです。それが壊されるっていうときに値段を聞いたりして、そんなに高くなかったんですよね。と言っても高かったですけど。一時はみんなで借金して買った方がいいんじゃないかと思いましたけど。まあ貯金が200円とかで当然無理でして、壊されてしまいました。壊すのは簡単ですけど、もう二度とああいう雰囲気というか昔の鎌倉みたいな、まあ逗子なんですけど、イメージというのはもう作れないのかと思うと寂しいんですけど。まだまだ探せば必ず出てくると思います。住む目的じゃないにしても、そんな雰囲気の場所を探すと昔の逗子とか鎌倉のイメージが湧くと思うので、デートの際にはぜひそんな建物探しをしてみてください。
★★★★★★★
小さい時の思い出もたくさんあるんですけど、僕は昔の鎌倉や葉山のイメージが好きです。そういう景色が見える映画として皆さんも覚えていると思いますけど『稲村ジェーン』という映画がありました。公開されたのが僕が高校生の頃で、ちょうどアメリカに留学する年の夏だったと思います。公開前からあの主題歌がじゃんじゃん、「真夏の果実」ですか、かかってて。当時も大人気だったサザンの桑田さん初監督ということで随分騒がれましたね。サントラは大ヒットしましたし。僕も当然アメリカ行く前に映画をみたりしたので、今でも「真夏の果実」がかかると甘い思い出がよみがえってしまってしばらくヨダレを垂らす感じになってしまうんですけど。映画は賛否両論というかかなり否定的な意見が多くて、僕もはっきり言うとエンディングとかはそんなに好きじゃなかったんですけども、それを別にすると実はすごく好きなんですよね。なぜかっていうと、昭和40年の鎌倉が舞台の映画なんですけども、そのセットとかロケ地っていうのが多分、自分が初めて行った頃の鎌倉や葉山のイメージとすごく近かったからだと思います。そのあとどこがロケ地かって結構調べて、友達の車で回ったことがあります。実は鎌倉とか葉山のシーンというのはすごく少なくて、伊豆白浜かな?結構いろんな広い範囲で撮ったりしてるんですけども。出来上がったものは僕が記憶に持っている鎌倉や葉山に近くて、今でもまた見たいなと思うんですけども、DVDが出ません。アミューズさん、是非出してください。しかも完全版があるって聞いたことがあるんですよね。1時間くらい公開されたものより長い。そうするとだいぶイメージが違うらしいっていうのを聞いたことがあるんですけども。もしVHS、たまにレンタルビデオ屋さん流れで売ってたりしますけども、機会があったら見てみてください。で、もし気に入ったら僕と同じようにどこがロケ地かっていうのを探してみるのも面白いと思いますよ。きり通しとか逗子の方にあった給水塔の跡ってもうなくなってしまいましたけど、畑の真ん中を走る道なんているのは走ってすごく気持ちがいいと思います。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。