「ファッション」
旅先の街に溶けこめる恰好が好きだ。
普段の自分は脱ぎ捨てて、見知らぬ風景のなかに入っていく。
世界のどこへでも、身軽に旅をする。
財布も持たず、お金はポケットに突っ込んで、
今夜も バーをたずねよう。
Theme is... FASHION
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世界約50ヶ国を旅した経験から行き着いた
現在の訓市スタイルについて語る。
今、こだわりを持って愛用しているメガネ、デニム、Tシャツ…
インド旅行の際にオススメのスポット「仕立て屋さん」も紹介!
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番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
「こういった特集をやってほしい」「あの国の話が聴きたい」
というリクエストも随時募集しています。
番組サイトの「Message」から送信してください。
ハガキ、手紙も大歓迎!
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Blame Game / Kanye West feat. John Legend
米シカゴ出身のラッパーで、他アーティストのプロデュースなども数多く手掛けているカニエ・ウェスト。全米チャートでNO.1を記録した2010年のアルバム『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』に収録されている曲で、黒人R&Bシンガーのジョン・レジェンドがゲスト参加。
I've Been In Love Before / Cutting Crew
1986年のデビュー・アルバム『Broadcast』に収録されている曲「(I Just) Died In Your Amrs(邦題:愛に抱かれた夜)」が全世界で大ヒットを記録したイギリスのロックバンド、カッティング・クルー。この曲は同アルバムから。
Time After Time / Cyndi Lauper
アメリカの女性ヴォーカリスト、シンディ・ローパーが1983年にリリースしたデビュー・アルバム『She’s So Unusual』に収録されている永遠の名曲!
Goodbye / Night Ranger
1982年結成で、ギタリスト2人、ヴォーカリスト2人というユニークな編成が魅力のハード・ロック・バンド、ナイト・レンジャー。1985年リリースのアルバム『7 Wishes』に収録されている切ないバラード。バンドは4人編成となって現在も活動を続けています。
Rosemary / Lenny Kravitz
1989年にリリースされたレニー・クラヴィッツの記念すべきデビュー・アルバム『Let Love Rule』に収録されているこの曲は、当時の奥さんだったリサ・ボネットとの共作。
Love's In Need Of Love Today / Stevie Wonder
1976年にリリースされた歴史的名盤『Songs In The Key Of Life』のオープニングを飾る曲 。
Love Foolosophy (Mondo Grosso Love Acoustic Mix) / Jamiroquai
ヴォーカリストのジェイ・ケイを中心としたイギリスのバンド、ジャミロクワイ。2001年にリリースされた5枚目のアルバム『A Funk Odyssey』に収録されている曲をモンド・グロッソこと、大沢伸一がリミックスしたヴァージョンです。
Daughters / John Mayer
アメリカ人シンガソングライターでギタリストのジョン・メイヤー。2003年にリリースされたセカンド・アルバム『Heavier Things』に収録されている名曲。なお、彼はジョン・フルシアンテ、デレク・トラックスと並んで「現代の3ギタリスト」の一人に選ばれています。
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking...
★★★★★★★
僕はファッション誌で原稿を書いたり連載をもっているので、ファッションの人だと勘違いしている人が多いですが、基本的にもう関心がないというかですね、夏はビーサンにTシャツ、短パン。ほぼ毎日それで過ごしてますし、Tシャツもだいたい無地のものしか着てないので、どこがファッションの人なのかわからないんですけど。肌寒くなった今の季節っていうのはいろんな服が着れるのでファッション好きの人にとっては本番だと思います。僕も小さい頃は逆にファッションが好きというか、小学校の頃にBMXとかスケートボードにはまりまして、海外の雑誌なんか見るうちに同じ格好がしたくなりまして。というのも、それを着ればうまくなるんじゃないかと勘違いしたからなんですけども、当時はちょっとませてまして。探し出してVANSのスニーカーとか、今は安いですけど当時はすごく高くて。Tシャツはスケートブランドのものを着て、パンツはジミーズという。当時クリスチャン・ホソイっていうスケーターがすごく人気でして、彼が履いてたパンツを履いて喜んでました。中高の頃っていうのは好きな音楽・ミュージシャンの格好もマネしましたけど、アメカジ・渋カジの全盛期でして僕も全身古着でした。ファッションというのは数字だと勘違いしてるくらい、みんな年号にこだわってましたね。何年型のLevi’sは66がいいんだ、ジージャンはセカンドじゃないとダメだ、とか。僕もその一人で。テキサスに留学した時に、当然気張って一番おしゃれな服で行かなければ!と思って、全身お金のかかったLevi’sを着てレッドウィングのエンジニアにレイバンのサングラスなんてかけて学校に行ったんですけど、お前の家は貧乏なのか?と言われました。ファッションはそういうことがあります。僕のアメリカの幻想はそれで打ち砕かれました。日本で何か見て、こういう格好で海外に行こうって、それをおしゃれだと思って行くと、実は現地で全く違う意味があったりして問題になったりとか。楽しくないことになったりするので気をつけてほしいですね。例えばパンクスがよく履くドクターマーチン。僕も大好きでよく履くんですけど、あの紐を白い紐に変えてる人がいてかっこいいんです。日本でなら問題ないんですけど、例えばそれでロンドンなんか行ったりしますとその白い紐というのは白人至上主義の人たちのシンボルだったりして、日本人がそれを履いてると「お前なんだ?」なんて因縁つけられた人も実際にいます。ファッションは楽しむものですけど、自分が何を着るかっていうのを少し勉強してから着るっていうのも、たまには必要なのかなと思います。
★★★★★★★
アメリカから帰ってきて旅をするようになって、昔自分がすごく毛嫌いしていたヒッピーみたいな格好をして過ごすようになってしまいました。バックパッカーの頃ですけど、デニムならベルボトムなんか履いてズルズル引きずって、足元はビルケンシュトックとか、結構長い間裸足で過ごしていたこともありました。それにボロボロのタイダイのTシャツを着たり、行く先々で手に入れた民族衣装なんかを着てましたね。インドにいた時はよく、自分の服を仕立て屋で作ってました。デリーとかポカラという街は仕立て屋街がありまして、自分で好きな生地を持って行きますと型をとって3日くらいで作ってくれるんです。だいたい次の日に行ってもできてないんですけど、「できたか?」って聞くとお茶を出してくれるんですよ。それをタダで飲んでおしゃべりするのが楽しくて毎日行ってました。もしインドに行く方がいましたらぜひ記念に仕立て屋さんで自分の服を作ってみてください。お気に入りの服なんかを持って行ってこの通りに作ってと言うとちゃんと作ってくれます。バックパッカーの時っていうのは荷物を増やしたくなかったので、必要な服があると物々交換で自分が着てた服を渡して交換してましたね。なので、当時の服っていうのはないんですけど、それでも何着か持ってまして。捨てられずに家にとってあります。たまに色褪せて穴の空いた服を見ると、当時のことをすごく思い出して懐かしくなります。そしてそれと同時に、こんな格好でよくもまあ空港なんか行ってたなあと思って信じられないです。今思うと空飛ぶちんどん屋みたいな感じでした。今はそんな格好当然しませんが、ファッションは洋服ですけど、それは着てる人がどういう人で何が好きで、どこに属しているかっていうのを一番簡単に知らない人に教えてくれるパスポートなのかなって思っています。だからこそ、自分がまだわからないとか不安だったりする時に、みんな身だしなみというか自分が何を着るかっていうのにすごい関心とお金を使うんだと思います。僕がヒッピーの格好をしていた時にやっぱり簡単に同じような格好のヨーロッパの旅人とかと仲良くなりました。多分、向こうも「あ、俺と同じやつがいるぞ」って親近感というか、軽く信用するんでしょうね。だからファッションというのはあながち意味のないことではないと、そういう時にすごく思いました。
★★★★★★★
歳を取るにつれてだんだん格好が普通になってくるというか、奇抜な格好はしなくなりましたね。もう自分が誰だと、いちいち知らない人に知ってもらう必要もないですし、また証明する必要もないと思います。そしてよく旅に行きますけども、そこで目立った格好をするよりはその街に住んでる人間の誰か一人に溶け込めるような格好の方が今はすごく好きです。ローカルが行くお店で「あ、観光客だ」っていう特別な扱いをされなくて、一人でほっとかれるというのがすごく好きです。とはいえ、ぱっと見誰が見ても違いがわからない格好をしながら自分だけ気づいてニヤニヤするこだわりみたいなものはもちろんあります。例えばデニムですね。A.P.C.のものが多いんですけど、毎日同じデニムを履いてると思われていると思いますが、実はいろんな型違いのが4種類くらいありまして。そのサイズ違いっていうのをまた2・3本ずつ持ってて。格好によってちょびちょび変えてるんですよ。誰もわからないけど自分だけ喜んでる。それから僕は黒めがねの人という印象が強いらしくて、いつも同じものをかけてると思われてるんですけど、多分家に10数個、もっとあるかな。それが家中に置いてあります。というのも、朝起きるとどこに置いたか忘れまして、めがねを探そうとすると目が悪いので見えないんですよ。なので、いろんなところにめがねがあるんですけど。僕のめがねはずっとアメリカン・オプティカルっていう、昔からあるアメリカのめがね屋さんのめがねを使っています。これはウェリントンという形の原型なんですけども、どこのものでもいいじゃないかと思いきや、昔ケネディがかけていたり、マルコム・Xがかけていたやつもここのだったりして、中古で買ってるので人と被らないというのがいいですね。あとは普通にレイバンなんかもかけますけども。それにヘインズのTシャツ。捨てられないので100枚くらいありますが、本当に汚くなると雑巾になります。それと、これまた誰も違いがわからないバンズやコンバースのスニーカーがい100足くらいあるのかな。でも自分ではちょっとこっちの方が色が濃くていい、とかを喜んでます。とにかく格好は好きなものを着ればなんでもいいんですけど、一つ思うのは何かおしゃれな服を着たからといって人間の質が良くなるわけではないといいますか、素敵な人が着てたらなんでも素敵だと思うので、あまり余計にお金なんかかけずに、まあまあ自分が満足できる格好だったらそれ以上買わなくてもいいんじゃないかと思います。そしてシンプルな格好で一度すきな街に旅にでてみてください。日本人の人でよくテキサス行った時の僕じゃないですけど、気張った格好をしてカメラ持ったり、余計なカバンを持ってフル装備。でも旅はとにかく身軽であればあるほど持って帰れる思い出も量が多いと、僕は思っています。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。