ON AIR DATE
2015.11.15
BACKNUMBER
  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54

「バイク」


退役したパイロットは、バイク乗りになる。

そんな話を聞いた。

風をきる。

すべてのしがらみから自由になる。

恐いものなんて、何もない。

バイクは、飛行機に 似ている。


それは、自由な旅の象徴。

まっすぐな道をバイクで走ろう。




TUDOR logo

Theme is... BIKE

★★★★★
テーマは、「バイク」。
大のバイク好きでもある訓市が世界各地で体験した
「バイク旅」のエピソードを語る。
高校時代にオクラホマで眺めたバイカー達、インドで遭遇したバイク族...
そして、今、訓市が思い描いている「バイク旅」とは?



★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
旅に紐付いたリクエスト曲を採用させていただいた方には
図書カード1,000円分をプレゼントします!

例えば・・・
「ロンドンの街角のカフェでコーヒーを飲んでいる時、
 この曲が流れてきて・・・思わず聞き入ってしまった」
「トランジットで過ごした空港でこの曲を聴いて以来、
 これを耳にすると、◯◯を思い出す」
「この曲を耳にすると、一度も行ったことが無いのに
 あの場所が頭に浮かんでくる」  などなど

番組サイトの「Message」から送信してください。
ハガキ、手紙も大歓迎! ←番組での採用率高し?!


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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2015.11.15

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

イージューライダー / 奥田民生

今年、50歳になった奥田民生が「イージュー」=30代だった1996年にリリースしたシングル曲。

2

Don't Get Me Wrong / The Pretenders

女性ヴォーカリストのクリッシー・ハインドを中心としたイギリスのバンド、プリテンダーズの代表曲で、1986年のアルバム『Get Close』に収録。

3

Two Gunslingers / Tom Petty & The Heartbreakers

1970年代半ば、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ名義でデビューを果たし、今も現役で活躍しているアメリカン・ロック・アーティスト、トム・ペティ。1991年にリリースされたアルバム『Into The Great Wide Open』に収録されている曲です。

4

Open Your Eyes / Snow Patrol

スコットランドのグラスゴーを本拠とする5人組ロック・バンド、スノーパトロール。2006年にリリースされたアルバムのタイトル・トラックです。

5

Motorcycle Emptiness / Manic Street Preachers

英ウェールズ出身のロック・バンド、通称マニックスの記念すべきデビュー・アルバム『Generation Terrorists』に収録されている曲の別ヴァージョン。

6

The Fall / Rhye

ヴァーカル担当のカナダ人と楽器担当のデンマーク人からなるデュオ、ライ。シャーデーを連想させる歌声ですが、男性です!2013年にリリースされたアルバム『Woman』から。

7

Bessie Smith / Bob Dylan & The Band

絶頂期にあったボブ・ディランが1966年のオートバイ事故により一線を退き、療養生活を送っていた時期に「ビッグ・ピンク」と呼ばれる「地下室」で行われたザ・バンドとのセッションの模様を収めたアルバム『The Basement』から。

8

Running To Stand Still / U2

アイルランドのダブリンで結成されたU2が世界最高峰に上り詰めるきっかけとなった傑作『The Joshua Tree』に収録されている曲です。

9

Goobye Lucille #1 (Johnny Johnny) / Prefab Sprout

マクアルーン兄弟を中心としたイギリスのロック・バンド、プリファブ・スプラウトのセカンド・アルバムで1985年にリリースされた『Steve McQueen』から。

2015.11.15

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。

Kunichi was talking...

★★★★★★★
バイク、いいですよね。すごく欲しいんですけど、僕は今免許がないのでバイクには乗っていませんが、もちろん過去は乗っていました。今は車族というやつで毎日車に乗っていますが、車の気持ちよさとバイクの気持ちよさというのは、ちょっと比べようがないんじゃなかと思っています。バイカーのルーツというのは第二次世界大戦の後の飛行機に乗れなくなった退役したパイロットという話があります。戦後に自分の思うままに飛行機に乗れなくなった荒くれ者のパイロットたちが風を切る感覚を忘れられなくて飛行機をバイクに乗り換えたと言う話なんですけども。すごく気持ちがよくわかります。バイクであたりに何もない荒野みたいな一本道をぶっ放すと、本当にこの世に怖いものなど何もない、と勘違いするくらい気持ちがいいですね。僕もそうやってすっ飛ばして「俺は世界の頂点だ!」なんて思っていると、轍にハンドルを取られたりして、ビビってその後トロトロ15kmくらいにスピードを落として走ったりというのが何度もありましたけど。僕が高校の頃、テキサスに住んでいた時に隣のオクラホマ州でたくさんバイカーがいるのを見ました。隣同士というのは必ず中が悪いですよね。オクラホマの人間はですね、テキサスをレッドネックと言ってすごい馬鹿にするんですよ。テキサスの人間はオクラホマの人たちを田舎者“オーキー”と言ってすごく馬鹿にするんです。僕も1年しかいませんでしたけど自称テキサス人としてオクラホマ、オーキーを馬鹿にしていたんですが、バイカーだけは別でしたね。なんでオクラホマにバイカーが多いかというと、アメリカでも僕が行くちょっと前かな。ほぼ全ての州でヘルメトロー、ヘルメットを絶対に被らないといけません、という法律がどこの州でも通過してしまったんですが、オクラホマにはそれがなかったんですね。もともとテキサスにバイカーが多かったんですけども、その中の荒くれ者が「ヘルメットなんか被ってたら風を感じられないじゃないか!」ということでみんなオクラホマに引っ越してしまったんですよ。友達とよく州境を超えてオクラホマにバイカーを見に行きました。とにかく何もないところなので、道がひたすら一本真っ直ぐ伸びるだけでカーブなんかないんですけども、丘陵地隊なので上下にうねってるんですね。トラックを走らせてAC/DCなんかを爆音で聴いてると、やがてバックミラー越しに小さい点が見えてきて、上下して姿が見えたり消えたりしながらバイカーが見えるんですよ。「あ、バイカーだ!」と思うとだんだんその姿が大きくなってきて、AC/DCの音が聞こえないくらい、直管のマフラーなのでバリバリバリバリって。ハリウッド映画に出てくる悪者ですよね完全な。サングラスかけてカットオフしたジージャンとか革のものを着てですね、だいたい2台とか3台で走ってるんですけど、トラックの両脇から抜いていくんですよ。どういう気持ちで乗っているのかわかりませんけど、抜くときに顔を覗き込むと「どうだ、クソガキ。かっこいいだろ?」みたいな。口元がニヤリとしているのを僕は忘れてません。


★★★★★★★
今、若い人たちはバイクに乗ったりするんでしょうかね。昔に比べて姿が減ったような気がするんですけど、僕が高校くらいのときというのは若い人はバイクに乗るものだというのがまだありましたね。当時の高校生にとってバイクを買うというのは人生の中で一番高い買い物だったと思うんですけど。このバイクがあると世界が広がるというかですね、夜中に意味もなく集まったり、楽しかったですね。この意味もなく集まるというのが青春の特権だと思います。人生の黄昏期に突入しつつある自分はですね、この“意味もなく集まる”というのをすごく欲してますね。今、友達に「集まろうぜ」って言っても「なんで?」とか「誰かの誕生日?」とか理由がないとみんな集まらないですよね。昔は違います。意味もなく「今日集まろうよ」って言うと、全員バイクで集まってきます。で、集まってからその日集まった理由を作る。素晴らしいと思います。バイクがあると行動範囲が広がるというか、初めて自分が行きたいところに好きな時間に行けるというのをもたらしてくれるのがバイクで。例えばファミレスでご飯を食べようとなると、なぜか行き先が逗子になったり、何をやっているのかわからないんですけども。そういう無駄だけど楽しい時間が持てたのは全てバイクのおかげだったと思います。今、日本車のバイクのストローク、エンジンの形式が変わってしまいましたけど、2ストの甲高いエンジン音とオイルが焼ける匂いというのは、本当に男の子だったら絶対ブルってくるような、甘美な匂いがします。それをアクセル全開で走ったり、集団でタラタラ走ったり、楽しかったです。旅行してた時もバイクによく乗りました。特にアジアというのは長期レンタルができてそれが自分の行動の足となります。お金があれば少しはいいバイクが借りられるんですけども、僕の財力だと大体は型落ちのスクーターとかでしたね。たまにHONDAのキャブもありました。スクーターはモッズじゃないですけど、ベスパとかだったらもう少しかっこいいというか、スピードも出るし楽しかったんですけどもね。ベスパといえば先週お話したアートの話になりますけども、サンフランシスコにツイストとい呼ばれるバリー・マッギーというアーティストがいます。彼はもともとグラフィティーライターで壁に絵を描くところから、今、全米のトップアーティスト50というのがあると必ず入ってくるくらい大物になってしまいましたが、彼がカッコよくて。90年代に出てきた時に、グラフィティーライターというとみんなだぶだぶの服を着てバンダナをつけたり顔を隠したりしたんですけども、彼一人モッズのような格好をして、ベスパに乗ってモッズコートを着てたんですよ。コートをバッと開くと中にスプレー缶が特製のポケットの入っていて、それで絵を描いていたという。あれを見てからベスパだったらいいかなと思うんですけど。バイクに乗りたいけど怖くて乗れないという女の人もすごく多いと思いますが、ベスパならいいんじゃないでしょうか?一度乗ったら本当に風を感じて病みつきになると思います。


★★★★★★★
インドにいた頃にはヒッピー垂涎の品というのがありました。それはロイヤルエンフィールドという、もともとはイギリスの会社なんですけど、本国ではとっくに倒産したものがインドでは継続して生産しているというバイクで、単気筒の60年代の英国バイクが新車で買えるっていう形でずっと売ってたんです。それをインドにいるヒッピーが改造してチョッパーにして乗っていました。これがもう乗っているやつの気分が最高にノッているなというのが一目でわかる改造と乗りっぷりで、だいたいイスラエル人とかが多かったですけど。まず長髪でノーヘル、それにサングラスがなぜかオークリーだったんですけど、上半身裸でズボンが民族衣装みたいな。足がビーサンか裸足という無謀な兄ちゃんたちが直管のマフラーでアクセルを吹かすとマフラーの先から火が出るんですど、バックファイヤーで。その火をガンガン出しながら路面の悪いインドの海岸線をぶっ放すんですよね。事故も多かったですし、危ないなあと思いながら見てましたけど。ただ危ないとわかってても止められないんだろうな、というのは顔を見ればわかりますよね。本当に気持ちいいというか、一生に一度はこういうバイクの乗り方ができたらいいよねって思える理想の乗り方でした。インドには実はいろんな人がバイクで来ていて、印象深いのがフランスから来たカップル。昔HONDAがパリ−ダカール・ラリーという1ヶ月くらい砂漠で走る用に作ったバイクを市販で売っていて、アフリカツインていうのかな。それに荷物を全部つけてフランスからインドまで来たという人たちに会いました。服も汚れてるんですけども、貴族みたいな雰囲気の人たちで陸路で山を越えてきたというのが本当に羨ましてくてですね、いつかやりたいなと思ってたんですけども。今はもう内乱やテロが続く中東とか、いろんな問題があるので、ヨーロッパからインドまで陸路で行ける道というのはひょっとしたらないのかもしれません。ラリー用のバイクというのは大きいんですけども、すごくスピードも出るし、長距離用に作られているのでライディングポジションというのがすごく楽なんですよね。僕はそういうのは全く好きじゃなかったんですけども、最近ハーレーとかじゃなくてこっちでもいいのかなと思っています。僕はニューヨークにシェイディという名前の親友がいます。彼はフォトグラファーで、もともとはHouse Of PainのJump AroundとかBeastie BoysのVIDEOとか監督していた、とても才能のある人なんですけども。最近ほぼ50歳になる直前にして突然バイクにはまりまして、やっぱりパリダカ用に作られていたBMWの大きいバイクを買ってニューヨークの町中を走り回ってるんですね。そのバイクを買ってからシェイディはいろんなところに荷物を付けて行ってしまいます。今週末はマイアミだ、とかシカゴに行ったりLAに行ったり。いつも同じ格好でバイクの前で同じ姿勢で写真を撮るんですけど、背景が毎回全然違うんですよ。「今どこにいるんだ」って聞くと「昨日ニューヨークを出て今日はデトロイト、シカゴ。楽しいぞ!」って。50歳を前にしてバイクを持ったことですごく行動範囲と世界が変わったって彼も言っていて。今、僕とシェイディの夢というのが、いつか2人でバイクでアメリカを横断しようっていう話をずっとしています。