M9は旅での移動を終えて「飛行機」から降りた時の訓市の心境... です。
Theme is... AIRPLANE
★★★★★
番組前半はリスナーの皆さんから寄せられた
メッセージとリクエスト曲をオンエア!
後半のテーマは「飛行機」。
旅の手段として、これまでに数えきれない程、利用している
「飛行機」での忘れられない体験について訓市が語ります。
★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
旅に紐付いたリクエスト曲を採用させていただいた方には
図書カード1,000円分をプレゼントします!
例えば・・・
「ロンドンの街角のカフェでコーヒーを飲んでいる時、
この曲が流れてきて・・・思わず聞き入ってしまった」
「トランジットで過ごした空港でこの曲を聴いて以来、
これを耳にすると、◯◯を思い出す」
「この曲を耳にすると、一度も行ったことが無いのに
あの場所が頭に浮かんでくる」 などなど
番組サイトの「Message」から送信してください。
ハガキ、手紙も大歓迎! ←番組での採用率高し?!
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Say It Isn't So / Hall & Oates
ダリル・ホールとジョン・オーツのデュオ、ホール&オーツ。結成は1969年で70年代から80年代にかけてヒット曲を連発!今年、来日公演も実現し訓市も堪能しました。
North Marine Drive / Ben Watt
女性ヴァーカリストで妻のトレイシー・ソーンとのユニット、エブリシング・バット・ザ・ガールでお馴染みのギタリスト、ベン・ワット。本作は1983年にリリースされたソロ・アルバムで、ドライブのBGMにもおススメです。
I'm Yours / Jason Mraz
アメリカの男性シンガーソングライター、ジェイソン・ムラーズのアルバム『WE SING, WE DANCE, WE STEAL THINGS』からシングル・カットされ世界各国で大ヒットを記録。
Everlong (Acoustic Version) / Foo Fighters
ニルヴァーナの元ドラマー、デイヴ・グロールを中心としたアメリカのオルタナティヴ・ロック・バンド、フー・ファイターズ。1997年のあるバム『The Colour and The Shape』に収録されている曲のアコースティック・ヴァージョンです。
時間よ止まれ / 矢沢永吉
1978年にリリースされた4枚目のアルバム『ゴールドラッシュ』にされている矢沢永吉の代表曲のひとつ。
She's Always A Woman / Billy Joel
Mr.ニューヨークことビリー・ジョエルの大出世作、1977年にリリースされたアルバム『The Stranger』に収録されています。本作には「Just The Way You Are〜素顔のままで」など名曲が多数!
Life Is Better / Q-Tip feat. Norah Jones
1980年代後期から90年代にかけて大活躍したヒップ・ホップ・グループ、あ・トライブ・コールド・クエストのMCでプロデューサーのQ-Tipが2008年にリリースしたソロ・アルバム『The Renaissance』に収録。今年はATCQのファースト・アルバム登場から25周年にあたり盛り上がりを見せました。
La La Means I Love You / The Delfonics
数多くのカバー・ヴァージョンを生んだ名曲「La La (Means I Love You)」のオリジナルで、リリースは1968年です。
Never Never Never (Groove Armada Mix) / Shirly Bassey
1950年代から活躍する英国ミュージック・シーンの超大御所女性ヴォーカリスト、シャーリー・バッシー。オリジナルは1973年リリースで、同じくUKのユニット、グルーヴ・アルマダがリミックス。
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking...
★★★★★★
夏から秋にかけてとにかくよく仕事で海外に行かなければならなかったので、いま一番やりたくない事は旅に出る事です。特に飛行機。昔は乗る度にものすごく興奮していましたが、今は飛行機に乗るというだけで気分が憂鬱になってきます。
旅に出ると必ずトラブルというのがありますよね。それは小さいものから大きいものまで、逆にそういうトラブルがあるとその旅の思い出としてたのしかったことよりも色濃く覚えていたりすると思います。僕も事故って病院送りになったり、いろんなトラブル・問題を抱えたことがあるですけども。その中でも一番怖かったのは飛行機でした。おっかないギャングみたいのが道の奥にいて睨まれて走って逃げたとか、そういうものよりも何よりも怖かったのは飛行機です。二十歳くらいのときかな。ニューヨークいて、パリの友達に会いに行こうと思ったんですけども、直行便の飛行機が高いので経由便で行きました。当時はワシントンD.C.までシャトル便というのがニューヨークから飛んでまして、小さいプロペラ機で20〜30人乗りですかね。40分毎くらいに飛ぶんですよ。それでワシントンD.C.に飛んでからパリに行く飛行機に乗ることになっていました。空港を離陸しまして、僕は翼の付け根の席に座ってたんですけども、外を見てました。隣はビジネスマンの方が英語の新聞を読んでいて、スチュワーデスさんも金髪の美しい方で、通路を歩きながらプロフェッショナル!という感じの雰囲気を醸し出していました。機内もほぼ満席だったと思います。プロペラ機の先をみながら「これからパリかー」なんて思ってたらですね、“プスン”という音がしてプロペラがだんだん止まっていって飛行機が左に傾いたんですよ。僕は、「プロペラ機というのは曲がるときにプロペラを止めるんだ」ってポジティブに考えてたんですけど、そのうちツーッと黒い煙が出てきたんですよね。「あれあれ?」なんて思って隣のビジネスマンを見ると、窓の外の黒い煙に目が釘付けなんですよ。手もちょっとプルプル震えてる。スチュワーデスさんも全然落ち着いてなくて手を胸に当ててすごい顔をしてるんです。そうこうしているうちに緊急放送が入りました。エンジン火災というやつでこれから離陸した飛行場に緊急着陸する、というアナウンスでした。
★★★★★★
その緊急放送の後からJFK空港に戻るまでというのは5分だったのか10分だったのか、あるいはもっと長かったのか覚えてません。それくらい怖かったですね。とにかく何が怖いって、周りの客の顔が楳図かずおの漫画に出てくる「ヒーッ」っていう、全員顔に斜線が入ってて、まずあれを見るだけで落ち着かない。見ない方がいいとは思うんですけど窓の外を見てしまうんです。そうするとみるみるうちに地面が近づいてくるんで「これ、本当に操縦してるの?」みたいな。当時はまだテープのウォークマンだったんですけど、僕はそのボリュームを最大にしてヘッドホンをつけてそれを聞いて「助けて、助けて、助けて!」みたいな。降りたときに気づいたんですけど、ウォークマンが防水じゃなかったら壊れてたっていうくらい手に汗かいてましたね。ベッタベタで。降りて航空会社の方たちから「申し訳ありません、トラブルで。」僕らみんな興奮してますから、助かった瞬間に今度はワシントンからパリに行く飛行機に乗り遅れるのが嫌なんですよ。「どうしてくれるんだ。」「ご安心ください。すぐに代わりの飛行機をご用意します。すぐに出て、必ず間に合いますから。」用意されたのが同じ型のプロペラ機だったんですよ。今度は周りにいたご年配のおば様方がヒステリーを起こしまして「ジェットを出せー!プロペラは嫌じゃー!」みたいな。それはそうですよね。今嫌な思いをしたのに、同じ型で「今度は安全です。」と言われても信じられないですよね。とはいえ、向こうもその飛行機しかないと。40分くらいの飛行だったんですけども、その40分の長いこと長いこと。今まで気にしなかった飛行機がとたんにものすごく意識してしまうんですよ。同窓会で会った、昔好みじゃなくて突然可愛くなった子、みたいな意識の仕方です。ほとんどの方がパリ行きの人だったんで、全員でニコニコ走りながら「着いた!今度はジェット機でパリに行ける!」飛行機に乗り込んで離陸、というタイミングでアナウンスが入って、「コックピットのガラスが割れているので一度降りてください。」と。また乗るのが怖くなっちゃいまして、本当に辛かったですね。その飛行機も大西洋で乱気流に巻き込まれまして。パリには着いたんですけども、着いた時はもうみんなぐったりしっちゃって。僕にとっても思い出深い旅で、その時パリで何を見たかというのは覚えてなくって、その行きと帰りの飛行機が嫌だったということしか覚えていません。ただ、不思議なもので、旅に行く前にお守りをくれた友達がいたんですけども、パリに着いた後に見てみたら首から下げてたビンテージのアクセサリーだったんですけども、それがなかったんですよ。だから、守ってくれたのかなと思って東京に帰ってそれを話したら「身代わり地蔵みたいなものだから、私に感謝しろ!」って言われてご飯をご馳走させられましたけど。旅行の時はなにかゲン担ぎかそういうものを持っていくっていうのもいいんじゃないかと思います。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。