ON AIR DATE
2015.11.29
BACKNUMBER
  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54

M6とM7は訓市がハタチそこそこの頃、
ご飯を食べに行く時に車の中で流れていた曲。
そして、今はM8を聴きながら穏やかに...

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Theme is... MEAL

★★★★★
番組前半はリスナーの皆さんから寄せられた
メッセージとリクエスト曲をオンエア!
後半のテーマは「食べ物」。
訓市が旅先で無性に食べたくなるものとは?


★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
旅に紐付いたリクエスト曲を採用させていただいた方には
図書カード1,000円分をプレゼントします!

例えば・・・
「ロンドンの街角のカフェでコーヒーを飲んでいる時、
 この曲が流れてきて・・・思わず聞き入ってしまった」
「トランジットで過ごした空港でこの曲を聴いて以来、
 これを耳にすると、◯◯を思い出す」
「この曲を耳にすると、一度も行ったことが無いのに
 あの場所が頭に浮かんでくる」  などなど

番組サイトの「Message」から送信してください。
ハガキ、手紙も大歓迎! ←番組での採用率高し?!


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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2015.11.29

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

Bitter / Staycool

台湾・台北をベースにしたオルタナティヴ・ロック・バンド、ステイクールの日本デビュー・アルバム『Urban Canyon』から。

2

Hey There Delilah / Plain White T's

アメリカの5人組ポップ・ロック・バンド、プレイン・ホワイト・ティーズ。2007年にリリースされたこの曲は全米チャートでナンバーワンを記録!

3

What Am I To You / Norah Jones

2002年リリースのデビュー・アルバム『Come Away With Me』が世界各国で大ヒットを記録し、グラミーの主要4部門独占を含む8部門を受賞したノラ・ジョーンズ。

4

If We Hold On Together / Diana Ross

1960年代からミュージック・シーンの第一線で活躍しているアメリカR&Bのディーヴァ、ダイアナ・ロス。この曲は今井美樹と石田純一が主演した1990年のトレンディ・ドラマ『想い出にかわるまで』の主題歌として日本で大ヒットを記録しました。

5

赤黄色の金木犀 / フジファブリック

2000年結成のロック・バンド、フジファブリックがメジャー・デビューの年にあたる2004年にリリースした3枚目のシングル曲。

6

Everything / Jody Watley

元シャラマーのメンバーで、1987年以降はソロ・アーティストとして活躍している女性R&Bシンガー、ジョディ・ワトリー。1989年リリースの代表作『Larger Than Life』に収録されているミディアム・テンポのトラックです。

7

Feel So High / Des'ree

英ロンドン出身の黒人女性シンガー、デズリーのデビュー曲で代表作。1992年のアルバム『Mind Adventures』に収録されています。

8

Car Song / Kama Aina

リトル・クリーチャーズでお馴染みの青柳拓次さんによる別プロジェクト、カマナイアのアルバム『club KAMA AINA』から。繊細!おススメ!

9

Hungry Heart (Live Version) /Bruce Springsteen

Mr.アメリカ=ブルース・スプリングスティーンの全盛期にあたる1975年から85年のライヴ・テイクを集めたアルバムから。気持ちがアガります!

2015.11.29

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。

Kunichi was talking...


★★★★★★★
食べ物。ご飯というと、もちろんみなさん旅先で「あれが美味しかった、これが素晴らしかった」という話を考えると思うんですけど、僕は大したものを食べてなかった時が長いので、日本に帰ったら何を食べようか、というのにいつも捕らわれていました。今となってはもう長旅をすることがないので、飢えにも似た「あれ食べたい!!」っていうのは無くなってきているんですけど、昔は違いました。とにかく現地の一番安いものとか、缶詰とかをひたすら毎日食べたりしていたので急に日本食を思い出すと、生姜焼きのタレをお風呂にして身を漬けたい!とか、それくらい食べたくなりましたね。僕は一点主義になってしまうので、よく思い出していたのが東京・戸越にあるじゅうじゅう焼きの千徳というお店です。ここは高校のときから行ってるんですけど、じゅうじゅう焼き。どういう料理かと言いますと、熱く焼いた鉄板がありまして、それが十分に熱されると刻んだキャベツを乗っけるんですよ。その上に濃い味付けで炒められた薄切りの豚ばらを乗っけて生卵を最後に落とします。その上に秘伝ソースっていうのがかかるんですけど、この秘伝ソースっていうのがくせ者で、20数年食べてて味を解明しようと思うんですがわかりません。すっぱくって醤油もあってなんかマヨネーズみたいな。なんなんでしょう。これをインドで思い出してしまってインドで発作を起こしたことがあります。毎日同じものを食べてて「もうカレーなんか食べたくない!!」という時にたまたま頭に浮かんじゃったんですよ。そこから「今、このタレがあったらこのチキンにかけるのに」とか「付け合わせのキャベツにかけるのに」とかずっとそれを考えてました。あと僕は白金にあるお蕎麦屋さんの出し巻き卵が好きでした。お蕎麦も有名らしいんですけどお蕎麦よりも出し巻き卵で。すごいじゃないですか、出し巻き卵って。よくきいたお出汁とほんのり甘い砂糖、大根おろしと醤油。旅行に行くと僕だいたい毎日目玉焼きを食べるんですけど、それが一ヶ月を超えた時にお皿を投げたい衝動にかられまして。「こんなもの食べられるか!!」みたいな時にこの出し巻き卵を思い出してしまいました。そうなるともう食べたくてしょうがなくて。ある時インド帰りで所持金が交通費抜きで1000円ちょっとあったときに、この白金の高級住宅街地の蕎麦屋に駆け込んだことがあります。80L入るリュックに紙のように薄いサンダルに長髪、真っ黒な顔でそのまま入って「出し巻き卵ください。」その最初の一口の美味しさたるやないですよ。自分の好きなものを究極に美味しく食べたいなら、そのご飯断ちをするために長い旅に出るべきだと思います。


★★★★★★★
とにかく旅先で食べられないものがあるとそれを強烈に食べたくなりますよね。例えば、インドにいると牛が食べられないので牛を目にしながら「ステーキが食べたい」と思うようになりますし、ムスリムのところだと豚肉が食べられないですから「生姜焼き食べたいな」とか、罰当たりなことを考えているんですが。僕は食べたくなるとどこでこの料理を食べたいっていうのが決まっていて、帰国してそこで食べるまで絶対口にしません。例えばとんかつだとすずき、生姜焼きだと恵比寿のこづち。それはたとえ空港でそういう料理をサーブしているお店があったり、街を歩いている時に換気扇から誘惑の煙がもくもくと流れてきても、己の中の悪魔に打ち勝って絶対食べないんですよ。そうするとやっぱり目的のブツっていうのは目的地で食べなきゃいけないっていう。その食べた瞬間の喜びっていうのは本当にうまい。僕が今まであげたご飯屋さんは決して高いところじゃなくて1000円以内で食べられるんですけど、値段ではなくて本当においしい。食べ物が持つフルポテンシャルを味わうには断食するしかないんですよ。困るのはじゅうじゅう焼きみたいな店のオリジナルメニュはそこに行くしかないじゃないですか。だからそういうところはちょっと離れてたりすると本当に困りますね。そういう厄介なお店の一つが青梅街道、吉祥寺のほうにある梁山泊というカウンター一発のラーメン屋のような佇まいですが中華屋です。そしてここに来るお客さんは全員、あんかけチャーハンを頼みます。そうすると付いてくるスープをお店のご主人が「燃えてます」という、どこで笑っていいかわからないギャグを30年以上ありとあらゆる人に言うんですよ。それにクスリともせず待っているとあんかけチャーハンがやってきます。これは玉子しか入っていないチャーハンに豚肉の細切れが入ったあんかけで、チャーハンの表情を伺うことができない状態で来ます。これをレンゲで同量ずつあんかけとチャーハンをすくって一口食べたら、もう止まらないですね。僕がここで学んだことは、成蹊大学が近いので体育会系のお兄さんたちが多いんですけど、チャーハンというのは食べ物じゃなくて飲み物なんだという。みなさん噛んでないですね。レンゲですくって飲んでます。喉越しなんですね、あんかけチャーハンは。こっちが一口食べて「うまい!うまい!!」ってやってるうちに、そういうラグビー部みたいなお兄ちゃんは完食してますよね。飲んでます。それほど美味しいですね。こうやって苦労すればするほど最初の一口がおいしいです。これから長く旅に行かなきゃいけない、不本意ながらとか単身赴任とか留学、転勤でこれから1年2年離れるのが辛いという人たちというのはたくさんいると思うんですけど、喜ぶこともあると心に刻んでおいてください。それは間があけばあくほど帰ってきて大好きな食べ物を食べた時の感動はものすごいっていうことです。