M6は焚き火に当たりながら...
ウィスキーを飲むときに訓市がオススメする曲です。
Theme is... TAKIBI
★★★★★
番組前半はリスナーの皆さんから寄せられた
メッセージとリクエスト曲をオンエア!
後半のテーマは「焚き火」。
世界各地で「焚き火」を囲み、炎の前で体験した様々な人たちとの
コミュニケーション、そこで感じたことを訓市が語ります。
★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
旅に紐付いたリクエスト曲を採用させていただいた方には
図書カード1,000円分をプレゼントします!
例えば・・・
「ロンドンの街角のカフェでコーヒーを飲んでいる時、
この曲が流れてきて・・・思わず聞き入ってしまった」
「トランジットで過ごした空港でこの曲を聴いて以来、
これを耳にすると、◯◯を思い出す」
「この曲を耳にすると、一度も行ったことが無いのに
あの場所が頭に浮かんでくる」 などなど
番組サイトの「Message」から送信してください。
ハガキ、手紙も大歓迎! ←番組での採用率高し?!
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
It's A Fine Day / Opus III
The Weight / The Band
Got My Sunshine / Mojave 3
Don't Kiss Me Goodbye / Ultra Orange & Emmanuelle
バラの花 / くるり
Five String Serenade / Mazzy Star
Wonderful Tonight / Eric Clapton
Dark Was The Night - Cold Was The Ground / Blind Willie Johnson
Where's My Mind? / Pixies
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
★★★★★★★
僕はもう焚き火は大好きですね、本当にいいものです。ただそれは家がおしゃれな人とか、いい環境でいいお酒があるときに限るのかなと。本当に凍えていて、焚き火がないと死んでしまうとかそういう状況だと、心の底から楽しめなかったりします。
焚き火といえば忘れられない話があります。昔、友達の紹介でえらく仲のいい2人組に出会いました。その二人は本当にウマが合うというか仲がいいんですけど、ある時お酒を飲んでいて、冗談ながらその2人が言い合いになったんですよ。そのときに片方が「なんだよ、俺の家を燃やしたくせに。」って言うと、「いやいや、それを言うのは反則だって。」みたいなやりとりが耳に入ったんで「どういうこと?家を燃やしたって。」と聞いたらその話をしてくれたんですけども。片方の友達というのは、よく家が嫌いで家出をしていたらしいです。もう片方の友達の家に空き家があって、よくそこに潜り込んでは勝手にみんなで騒いでたらしいんですけど、ある日その家が燃えたっていうんですね。「すごく寒くてさぁ。寒いから焚き火をしたんだ。」って、その家の中で。結局、暖かくて寝てしまって、気づいたらあたり一面火の海で、彼は走って逃げたらしいです。大問題になりまして、当然、親友の家も焼け落ちたと。誰も怪我人が出なかったのが不幸中の幸いなんですけども。国にも怒られてしばらく遠いところにいたらしいんですが、それでも中がいい二人というのがすごくいいなあと思いました。焚き火は本当に眠くなるので、火の始末だけはみなさん必ず気をつけてください。消したと思っても種火が残っているかもしれません。
僕も世界各地で焚き火をしてきたんですけど、一番たくさんやったのは昔、湘南で海の家をやっていたときです。毎日ビーチクリーンでゴミを拾っていたんですが、流木がたくさんあって。それを集めて夕方、美しいサンセットがあると必ずそれに合う音楽をみんなでかけて、日が落ちる頃に薪に火を入れて焚き火をしていました。そうすると「仕事しろ」って言ってたのに隠れて出てこなかったスタッフがマイグラスに大五郎を入れて、焼酎ですね、集まってくるんですよ。囲炉裏の周りにみんな思い思いに座ってずっと火を眺めてました。焚き火を見るときの時の流れ方って普段と全く違うというかですね、なんなんでしょうね。誰かが話してたんですけど、これはきっと昔、動物だった人間が夜をすごく恐れてたらしいんですけど、火を発明して危ないとか獣が寄ってくるっていう恐怖から解放されたらしいんですね。なので、焚き火を見るとすごく安心するっていう太古からの記憶がDNAに残ってるからだ、という話をしたことがありますが、本当にそうだと、僕は思います。
★★★★★★★
焚き火というのは人と仲良くなるというか、距離が近くなる手っ取り早い一番の方法なのかなと思います。初対面の人が集まったり、隣の人との会話が手詰まりだなと思うときでも、焚き火さえあれば間に困りません。沈黙とパチパチという火が燃える音が全てを埋めてくれるような気がします。そしてそれが寒い夜だったりして、ギターやジャンベみたいな太鼓、あとはお酒さえあれば万事オッケーですね。僕らも海の家をやっていたときも、仲間だけでやってるとどんどん知らない人が入ってきて、そこでいろんな歌を一緒に歌ったものです。渋い歌を歌いたいんですがだいたい誰もがサビの部分だけは知ってるような曲をギターで弾くのが一番楽しくて。そうするとどんなに無口な人でも酒の酔いがすすむにつれて大声で絶叫し始めますよね、目を閉じて。それは相手が日本人だろうが外国人だろうが全く変わらないですね。なので、焚き火とお酒とギターがあれば喧嘩している国同士でも休戦するんじゃないかって僕は思っちゃうんですけどね。とにかく何回歌ったか覚えてないですけど、例えばベン・E.キングの「スタンドバイミー」とかジョン・レノンの「イマジン」みたいなのは焚き火でやると「待ってました!」みたいな、どんな人でも歌ってきます。あと焚き火でギターをしていて面白いのは、友達や初めてあった人ですごくおとなしい人の隠れた才能を発見する機会が多いということですね。黙ってたとっつぁん坊やみたいな人が「ギターを貸してくれ」って言ったらもうバカテクで、突然スライドギターをギュンギュン弾いたり。そうするとニコニコして聞いていたサラリーマンみたいなおじさんが突然アルペジオとか本当に上手くて歌い出したり、そういうのがすごく面白いですよね。気づくと交代制で朝までやって焚き火の周りで酔いつぶれてたりとか。今、いい歳になってくるとなかなかそんなことできないんですけど。「あんた昨日帰って来ないで何やってたの?」「ギター弾いて焚き火の横で寝てたよ。」なんて言ったら一緒に燃やされそうな人も多いと思いますが。やりたいですね、特に寒い時っていうのは体の前しか暖まらないじゃないですか。それでどんどん近づいちゃうんですよね。背中が寒いし。それで身を寄せ合ってウィスキーなんか飲んでると酔ってるのか、ただ火に当たって燻されてぼーとしてるのかわからなくなってきて、とにかく楽しいです。
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野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。