ON AIR DATE
2016.02.21
BACKNUMBER
  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54

Let's travel!

TUDOR logo

Theme is... HELP

『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。

★★★★★
番組前半はリスナーの皆さんからお寄せ頂いた旅のエピソードと、
その旅に紐付いた曲をオンエア!
後半は旅立ちの季節を前に、「旅のなかで助けられたこと」をテーマにお送りします。
留学していたころ、アメリカのホストファミリーの、いつもは無口なお父さんが
訓市のためにとった行動とは? 
そして、ヨーロッパで食べた訓市を救ったパスタとは?



★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
旅に紐付いた「リクエスト曲」をオンエアさせていただいた方には
図書カード1,000円分をプレゼントします!

3曲セットの「ミュージック・ストリーム」セレクションでもOK!
番組サイトの「Message」から送信してください。
手書きのハガキ、手紙も大歓迎! ←番組での採用率高し?!

訓市からのリクエストは「BPM120」以下。
日曜日の夜に聴きたい「ゆったりした曲」がベターです。

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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2016.02.21

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

Can We Talk? / Tevin Campbell

米テキサス州出身の黒人男性R&Bシンガー、テヴィン・キャンベルが1993年にリリースしたセカンド・アルバム『I’m Ready』に収録されている曲で、自身最大のヒットを記録しています。

2

Hand In Hand / Visti & Meyland

デンマークの男性二人からユニット、ヴィスティ&メイランド。

3

Love Letters / Alyson Moyet

イギリス出身の女性ヴォーカリスト、アリソン・モイエが1987年にリリースした作品で、多くのジャズ・ミュージシャンが取り上げているスタンダード・ナンバーです。

4

Say It (Over And Over Again) / John Coltrane Quartet

ジャズ史に燦然と輝く巨人、サックス・プレーヤーのジョン・コルトレーンの「静」の魅力が凝縮された歴史的名盤『Ballads』のオープニング・トラックです。コルトレーンをサポートしている3人のミュージシャンの演奏も絶品です!

5

ルーレット / 真島昌利

元ザ・ブルー・ハーツのギター&ヴォーカルで、現在はザ・クロマニヨンズとして活動している「マーシー」こと、真島昌利。1989年にリリースされたファースト・ソロ・アルバム『夏のぬけがら』に収録されている曲です。

6

Happy Ever After / Julia Fordham

イギリス出身のシンガー・ソングライター、ジュリア・フォーダムのデビュー・アルバム『Julia Fordham〜ときめきの光の中で』のオープニング・トラックで、1989年当時、テレビ・ドラマの挿入歌として使われ日本でも大ヒットを記録しました。

7

Bullet Proof... I Wish I Was / Radiohead

ヴォーカルのトム・ヨークを中心としたイギリスの5人組バンド、レディオヘッド。1995年リリースのセカンド・アルバム『The Bends』に収録されている曲です。

8

Any Other Name / Thomas Newman

米ロサンゼルス出身の映画音楽の作曲家、トーマス・ニューマン。1999年の作品でアカデミー賞の作品賞も受賞した映画『American Beauty』のサウンド・トラックから。

9

Closing Time / Tom Waits

米カリフォルニア州出身のシンガー・ソングライター、トム・ウェイツが1973年にリリースした記念すべきデビュー・アルバムのタイトル・トラックです。

2016.02.21

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。

■Kunichi was talking…


☆☆☆☆☆☆☆☆
旅の途中で誰かに助けてもらったことがあるか、ということですが、僕は一人旅が多かったので毎回あるというか、それなしでは生きていけません。僕の人生、周りの手助けのみで成り立ってるんですけども。旅は特にそうですね。なので、受けた恩をどうやって返していくかというのが僕のテーマにもなっています。貰いっぱなしじゃ江戸っ子が廃りますから。
思い出すときりがないんですけど。金がない、見知らずの僕をずっと泊めてくれたバルセロナで会った男の子。シスコでちょっと落ちていた時に突然、僕を車で山につれだして、ギターで歌ってくれた女の子。また、アメリカの高校に行った時は白人だらけで浮きまして、最初は歩いて学校から帰ってたんですけど、それを見ていきなり家に来て、「今日からお前のことはオレが送るよ」って言ってくれた、古いアメ車好きの友達。彼らは僕がどれほど感謝しているかというのはきっと気づいていないのかなと思いますが。あとは、アメリカのホストファミリーには本当に助けてもらいました。バリバリのクリスチャンで、あらゆることに厳しい家族でしたが、僕だけは多めに見てもらって、こっそり家を出てパーティーに行くのも許してくれていました。そして、アメフトをやってたんですけども、コーチが白人至上主義みたいな人で、長くいる学生たちにポジションを渡したいからお前は出せないって言われたことがあったんですが、その時は無口なお父さんが怒鳴り込みにいってくれまして。その夜、自分の実の息子も乗せたことがない大事なバイクの後ろに乗せられてツーリングに行きました。一言も口をきかないドライブでしたけど、背中を見ていれば「俺はお前の味方だぞ」っていうのを示すために乗せてくれたのがすごくよくわかりまして。血が繋がってなくても家族というのは本当にいるんだなっていうのを初めて知ったのがその時で、おかげで今は家族だっていう友達だらけの人生になりました。でも、そういう家族みたいな、互いが本当にそう思う仲間っていうのは旅先であったり、一緒に旅をした人が多いのかなって振り返るとそう思います。


☆☆☆☆☆☆☆☆
旅先というのは興奮してるから気持ちが少し子供っぽくなるというか。楽しいととことん楽しくなるし、反対に悲しくなるとすごく悲しくなるわけで、そういう時に受けた親切というのをものすごく鮮明に覚えているんですけども。一番覚えているのは僕が昔、イビザの山奥の屋敷に流れ着いたことがあったんです。一人知っている人がいて、そのツテでその屋敷に流れ着いてしまったんですけど。本当に山奥で、歩きではどこにも行けないという。10人くらいいましたが全員、スペイン人・イタリア人・フランス人とかで、ほとんどが英語を話さなかったんですね。隔離された場所で、英語も通じなくて久しぶりにアウェー感を感じまして。ただ、足がないのでご飯もみんなで作って食べて飲んで、いう感じで、結構つらいなぁと思ってたんです。その時ひとり、長髪でイレズミだらけのイタリア人の男の子がいました。彼は全く英語を話さないし、もともと口数が少ない人みたいでニターっと笑うだけの人だったんですけど、彼は料理がうまくてみんな朝ごはん・夜ごはんというのを彼にやらせたがってたんです。ご飯も一人でいたので最後に取るというか、最初に有り付けない感じだったんですけど。ある日、彼がご飯を作っている時に並んでいるみんなを押しのけて、大皿に僕の分のご飯を「食え!」って持ってきたんですよ。たぶん、なにか気づいたんでしょうね。すごくありがたくて。受け取って食べて、言葉が通じないので向こうが「うまいか?!」みたいな動作をするので「ベーネ!ベーネ!」って。おいしいって言ったらニカって笑ってそうかって満足気にキッチンに入って行きました。それからは、隣村の畑に野菜をもらいに行く時とか、生パスタを作る時には必ず呼ばれまして。全く会話はないんですが、ただ要所要所で相手が満面の笑みというか、見るとこっちもあったかい気分になるような笑顔の人で。その人の心遣いというか、こっちを見てくれてるのが本当に骨身に沁みまして。一週間以上いたんですけども、山を降りるっていう人に一緒に乗せてもらって降りる時には、家の外にそいつがいてこっちが見えなくなるまでずっと手を振っていて、それが本当に心に残っています。今はメールがありますしすぐ連絡がつきますがは、当時メールもないですし、彼も旅人でずっと転々としてる人で実家がない人みたいだったんですけど、どこで何をしているのかなって今でも思います。死ぬまでにもう一回会って、今まで食べた中でパスタ一番うまかったぞっていうのと、気遣いを本当にありがとう、というのをいつか伝えたいです。
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