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2016.03.13
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  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54

Find new people, new words through Travelling

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Theme is... A Part-time Job


『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。

★★★★★
番組前半はリスナーの皆さんからお寄せ頂いた旅のエピソードと、
その旅に紐付いた曲をオンエア!
そして、後半のテーマは「アルバイト」。
旅の資金を調達するために日本で働き、旅先でも役立った仕事、
バックパッカーとしてアジアに滞在していた時のユニークな仕事、
世界各地のゲストハウスでのバイトにまつわるエピソードなど・・・
訓市がこれまでに体験した「アルバイト」について語ります。



★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
旅に紐付いた「リクエスト曲」をオンエアさせていただいた方には
図書カード1,000円分をプレゼントします!

3曲セットの「ミュージック・ストリーム」セレクションでもOK!
番組サイトの「Message」から送信してください。
手書きのハガキ、手紙も大歓迎!

訓市からのリクエストは「BPM120」以下。
日曜日の夜に聴きたい「ゆったりした曲」をゼヒお願いします。


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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2016.03.13

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

Baby Come Back / Player

米ロサンゼルス出身で1970年代中期から80年代初頭に活躍したバンド、プレーヤー。「ブルー・アイド・ソウル」と呼ばれる白人ミュージシャンによるソウル・テイストが魅力で、この曲を1978年に全米チャートでナンバーワンを記録しています。

2

Blues Run The Game / Bert Jansch

スコットランド、グラスゴー出身のフォーク系ミュージシャンでギターのテクニックも秀逸!この曲は1975年のアルバム『Santa Barbara Honeymoon』に収録されています。

3

More Than Words / Extreme

ヴォーカルのゲイリー・シェローンとギタリストのヌーノ・ベッテンコートを中心としたアメリカのロック・バンド、エクストリーム。1989年にリリースされたデビュー・アルバム『Extreme』に収録されているこの曲はアコースティック・ギターをフィーチャーしたバラードの名作です。

4

Simple As It Should Be / Tristan Prettyman

米カリフォルニア州サンディエゴ出身の女性シンガー・ソングライター、トリスタン・プリティマン。2005年のアルバム『Twentythree』から。

5

孤独な旅人 / エレファントカシマシ

ヴォーカル&ギターの宮本浩次を中心とした4人バンド、エレファント・カシマシが1996年にリリースした11枚目のシングル曲です。

6

Soul Captives / Bob Marley & The Wailers

ジャマイカ、キングトン出身のレゲエ・ミュージシャン、ボブ・マーリー初期の名曲。

7

It's About Time / The Lemonheads

米ボストン出身のバンドで、ヴォーカル&ギターのイヴァン・ダルドはルックスの良さも相まって1990年代にアイドル的人気を誇りました。訓市がキュンキュンきたという女性コーラスは、当時、イヴァンが付き合っていたジュリアナ・ハットフィールドによるもの。

8

What's Up / 4 Non Blondez

サンフランシスコ出身のバンドで、女性ヴォーカリストのリンダー・ペリーが在籍していた1992年のアルバム『Bigger, Better, Faster, More!』に収録されている大ヒット曲。

9

Stay / Lisa Loeb

米テキサス出身の女性シンガー・ソングライター、リサ・ローブ。1994年の映画『Reality Bites』のサウンド・トラックに収録されたこの曲がヒット!その後、メジャー・デビューを果たしました。

2016.03.13

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。

Kunichi was talking…


★★★★★★★
なんの因果か、僕も仕事をして首がしまるような毎日を過ごすようになりましたが、旅をよくしていた頃もバイトをしていました。旅に出るにはお金がかかります。今は春休みかな。学生のみなさんも旅のためにバイトをしていると思いますので、今日はバイトの話をしようと思いました。いろんなバイトをしましたが、人気があったのはやっぱり配送の仕事です。さらにお金が必要な人は集積場で仕分けの方に行きましたね。だいたい一晩やると次の日、体が動かなくなったり大変な仕事でした。長くやったのはバーテン。やったことなかったんですけど、面接に行って「君、酒は作れるか?」「いいえ、作れません。」「経験は?」「ないです。」「よし、採用。今日から経験を積め!」みたいな、軽い上司さんで、その日から酒を作ってものすごくパニクりました。外人バーみたいなところだったんですけども、ウォッカオレンジと言ってもらえれば僕でもウォッカとオレンジってわかりますが、「スクリュードライバーをくれたまえ。」って言われると「なんだろう…」みたいな。それから若い女を連れてきた、スーツを着たおじさんに「マティーニをエキストラドライで。」とウィンクされた時は、ニッコリしましたがすぐバーの裏に行ってカクテルブックを必死で見ました。何言ってるんだろうっていうくらいわかりませんでしたが、知らないことをいきなり実戦投入されて覚えられるのがバイトのいいところで、旅に出てからは色々と役に立ちました。もちろんいろんなところで現地のカクテルとか飲んだり、人のうちに厄介になることが多かったんですけども、そこで「酒なら作れるよ。」なんて言うとけっこう重宝されましたね。バーで働くのはいいですよ。ただ、覚えるために味見をするので、夜の終盤は自分が酔っ払ってベロンベロンで、結局味はわからないんですよね。それを毎晩繰り返してました。あとはよく短期のバイトもしました。徹夜で3日働いて、近場に住む友達の家にみんなで集まって、「金が溜まったら今度はどこに行くぞ」とか、「腹一杯あれを食べるぞ」とか。そんな話ばかりをしていました。特に緊急でお金を貯めていち早く出たいっていう人には、なかなか危ないバイトで、新薬の副作用を試すバイトなんていうのがありました。僕の友達はけっこうしていました。泊まれるし、3食出るし、それでお金をもらえる。大喜びで行ってました。中にはそういうツワモノがいて、どういう薬だったら安全で、どれが副作用がまずいかっていうのを事細かに説明してくれる先輩みたいな人がいました。「今回のはジェネリック薬みたいなものだから安心だよ。」とか、「その臓器用は絶対危ないからやめたほうかいい。」とか。今考えると若さというのは無茶と同意語なのかなと思います。


★★★★★★★
1990年代、バックパッカーの間で変わったバイトがありました。それは『ジョニー売り』です。ジョニー売りと聞くとなんのことだかわからないと思いますが、これはジョニーくんと呼ばれたプラスチックかなんかでできたペラペラの人形で、紐でついた手足があるんですけども、あら不思議。音楽に合わせて踊ったり、自由に動くんですよ。これはタネも仕掛けもあって2人1組で売るんですが、タネのほうはもし、今現在も売ってる人がいたら困るので言いません。多分、露天商のイスラエル人たちが売り出したのが最初なのかな。それを彼らから仕入れて、駅のちょっとした広場とかでジョニーくんを動かして売るんですよね。僕も友達に呼ばれてジョニーくんが動くたびに「なんてすごいんだ!」なんて驚愕しながら売り上げに貢献しようとしました。一時はすごく流行って、駅に行ったら既に他のジョニー売りがいて退散したり、次の駅に行ったら客がジョニーくんに擦れてまして、ジョニーくんが通用しない。もっと遠くの駅に行かないとダメだ!なんてこともありました。なかなか大変なんですけども、ジョニーくんを売ってものすごく短期間で金を貯めて世界一周のような旅に出た、という都市伝説のような話がありまして、自分の売り方が下手なんじゃないかって思って頑張る人たちがたくさんいました。そうやっていろんなバイトをしながら旅に出てました。出てしまうと収入源がないので、いかに貯めて長く行くかっていうのが大事だったんですけども。ゲストハウスに泊まって、掃除をしながら宿代をタダにするなんていう手もありましたが、客として泊まったのに、いつの間にか序列が下がってレセプションのおじさんにこき使われるなんていうのも、なかなかシュールな光景でした。アジアで良かったのは、バリに行って洋服とかアクセサリーを作って他のアジアの国に行ってフリーマケットで売ったりするっていうのがありました。インドのデリーでは生地の問屋街や仕立て屋街というのがあって、自分が着ている服を持っていくとその通りパターンをとって作ってくれるので、僕も生地を買ってきて作ってもらってはフリーマケットで売るんですね。基本的に長期滞在者というのは暇なので、フリーマケットでうだうだお茶を飲みながら1日潰せるっていうのは一石二鳥の人気の商売でした。アジアではそんな感じでしたが、ヨーロッパやアメリカではそうはいきません。ビザがなければ当然仕事はできませんし、中にはちゃんと学生ビザをとって語学を勉強しながらバイトをするっていう人もいましたが、それもない僕なんかは路上でギターを弾いたりしておこぼれをもらうしかありませんでした。いろんな思い出がありますが、旅というと思い出とか、何を見た、何を感じたっていうのを話しがちですが、そこに行くまで、アルバイトをして、行くために無茶な仕事をしたっていう、そんなところが実は一番おもしろかったり。今振り返ると笑い話になる素敵な思い出なのかなと思います。