Let's travel! Glab your music!
Theme is ... PARIS
『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
★★★★★
番組前半はリスナーの皆さんからお寄せ頂いた旅のエピソードと、
その旅に紐付いた曲をオンエア!
そして、後半のテーマは「パリ」。
先日、約2年ぶりに「パリ」を訪れた訓市が感じたこと・・・
必ず足を運ぶカフェについて語る。
1950年代のパリを舞台にしたおススメの写真集も紹介します。
★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
旅に紐付いた「リクエスト曲」をオンエアさせていただいた方には
図書カード1,000円分をプレゼントします!
3曲セットの「ミュージック・ストリーム」セレクションでもOK!
番組サイトの「Message」から送信してください。
手書きのハガキ、手紙も大歓迎!
訓市からのリクエストは「BPM120」以下。
日曜日の夜に聴きたい「ゆったりした曲」をゼヒお願いします。
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Vienna / Billy Joel
米ロングアイランド出身のピアニスト&ヴォーカリスト、ビリー・ジョエルの出世作となった1977年のアルバム『The Stranger』から。名曲「Just The Way You Are〜素顔のままで」も収録されています。
Wonderwall / Oasis
リアムとノエルのギャラガー兄弟を中心としたイギリスのバンド、オアシスおセカンド・アルバムで代表作となっている『Morning Glory』に収録されている曲です。
Crusin' / Smokey Robinson
アメリカのソウル、R&B系レーベル「モータウン」の顔的存在として長年にわたって第一線で活躍しているスモーキー・ロビンソンのソロ名義での代表曲。1979年の作品でグラミー賞も受賞しています。
Unforgettable / Natalie Cole & Nat King Cole
女性ヴァーカリストのナタリー・コールが最新の技術を駆使して亡き父、ナット・キング・コールの生前の歌声とデュエットした名パフォーマンス。1991年リリースで、翌年のグラミー・アウォードでは「Song Of The Year」に輝いています。
フランスに着いた日 / KAN
福岡出身のシンガー・ソングライター、KANが1988年にリリースしたシングル「だいじょうぶ I’M ALL RIGHT」のカップリング曲です。
Ballade de Johnny Jane / Serge Gainsbourg
数多くの女性と浮名を流したフランス伊達男、セルジュ・ゲンズブールがジェーン・バーキンの為に書いた曲です。
Un Soir, Un Chien / Les Rita Mitsouko
女性ヴォーカリストのカトリーヌと男性ギタリストのフレッドからなる男女二人組、レ・リタ・ミツコ。1986年のアルバム『The No Comprendo』に収録されているアンニュイなトラックです。
Another Reflection / Nujabes
東京出身のDJ、トラック・メイカー、プロデューサーのヌジャベスが2007年にリリースしたアルバム『2nd Collection : Hydeout Productions』に収録されている曲です。なお、彼は2010年に36際という若さでこの世を去っています。
Llorando (Crying) / Rebekah Del Rio
デヴィッド・リンチ監督による2001年の映画『Mulholland Drive』のサウンド・トラック・アルバムから、ロイ・オービソンのカバー・ヴァージョンです。
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
★★★★★★★★
ちょうど先日、久しぶりにパリにでかけました。2年ほど行ってなかったんですけどもテロの後ということで、やっぱり警官の姿がものものしくて、ライフルとか構えてたんですけども。それ以外はいつもの美しい街でした。毎回行って思うのは、よくちゃんと町並みを保存しているというか。そこがあの個人主義者のフランス人たちが住む街としては信じられないくらい徹底していて、本当に気持ちがいいものです。ニューヨークのダウンタウンなんかも古い町並みで好きだったんですが、開発が進んで昔のビルが壊され、ガラス張りの趣味の悪いコンドミニアムが立ち並ぶのを見てがっかりし続けています。それと比べるとパリは本当に素敵だなと思いました。最初はサン=ジェルマン=デ=プレというところに宿を取り、2泊ほどしました。僕が初めてパリに行った時も、その隣のオデオンという駅にある、風呂が共用のような安いホテルに泊まったんですけども、このあたりはセーヌ川の左側、左岸と呼ばれる地域で、昔からボヘミアンの人とか実音主義者と呼ばれるような若い人たちがたむろしたということで、僕もニセ文学かぶれとして、「最初はここに泊らなければ。」と思って泊ったものです。そして、お金はなくても、かつての実音主義者が溜まったというカフェ、カフェ・ド・フロールに行かなければ!と思っていました。今でもパリに行けばこのカフェ・ド・フロールに行ってしまいます。ものすごく有名なので観光客が多いんですが、そんなのも気にしません。このカフェはすごく古いカフェで、デザインがすごいとか、ゴージャスだとか、パリで一番コーヒーが美味しいとか、そういうことはないと思うんですけども。ただただ昔からある古いカフェで、近所のじいさんもいれば、若いおのぼりさんもファッション業界バリバリの人、そして観光客。どんな人も受け入れる懐の深いカフェです。ここで朝一のコーヒーを飲むと「あぁ、俺はパリに来たんだな。」と実感できる素晴らしいカフェです。ちょうど僕が行っていた時は、ファッションウィークという時期のど真ん中だったので、朝からフロールにいるといろんなその業界の人や編集者なんかに偶然会ったりしました。やっぱりどんな人も滞在中、1度は行きたいと思うのは同じらしく、みんなぎゅうぎゅうに詰められたテーブルと椅子に座り、ガヤガヤ賑やかな店の中で満足そうにパンをかじりながらコーヒーを飲んでいました。ここの見ものはギャルソンさんで、とにかく忙しいし、店内が狭いんです。フランスのカフェはみんなそうですけども、座る時にいちいちテーブルを動かさないと座れないんです。その間を這うように働いていて。もしかしたらパリで一番の働き者の人というのは、このカフェ・ド・フロールにいるのかもしれません。本当なら仕事がなければ、そのちょっと歩いたところにリュクサンブール公園というのがあるのでそこに散歩に行きたいところだったんですが、さすがに今回はできませんでした。このリュクサンブール公園というのは本当に綺麗で、春の時期だと本当に1日ぼーっとしても飽きることはないです。ちなみに左岸ですが、僕が好きなエルスケンという写真家が撮った『セーヌ左岸の恋』という写真集があります。50年代の左岸に集まったボヘミアンの若者たちの姿をモノクロで写したものなんですけども。日本版も出ているのでぜひ見てみてください。読める文章も付いています。下手な映画よりもよっぽど映画的で、これを見たらきっと、みなさんも左岸に行きたいと思うはずです。
★★★★★★★★
毎回、パリに行くたびに思うんですが、どんどん日本人の姿が減り、中国人をはじめ他のアジアの人が増えたなぁということです。ファッションウィークの時期なので、特殊な時期といえばそうなんですけども。それでもカフェで日本人を見かけたと思ったら広東語だったり、ものすごく派手な格好をしたアジア人を見かけると昔は日本人でしたが、今は100%中国人で、元気がなくなったのかなぁと、良くも悪くも思います。僕が20年以上前に最初に行ったパリは日本人、特に日本人女子の多さにびっくりしたものです。当時はまだ「オリーブ少女」みたいなのが絶賛増殖中で、全身Agnes b. みたいな女の子や全身真っ黒、カラス族みたいな人。それからベレー帽にボーダーみたいな子をたくさん見かけました。そういう子たちは僕が泊まっている、女の子なんか泊らないだろうというような安宿にもいて、巨大なフランスパンやらいろんなものを買い込んだ茶色の紙袋をもってウキウキと階段を登ってくるんですよ。短期型パリジェンヌというやつでして。どうやってあの巨大なパンを一人で食べるんだろうと疑問は尽きなかったんですけども。パリにいるという高揚感がきっとバゲットを1本買いし、カフェでコーヒーを1日に5杯も6杯も飲ませてしまうに違いません。それだけの魅力がパリにはあるんですけども。そういう自分もミングウェイだのフィッツジェラルドだの本を読んで、本を書いてもいないのに「やっぱり物書きになるにはパリに来て貧乏生活をしなければ。」と勝手に思い込んでいましたけども。パリにはヘミングウェイたちといったロストジェネレーション一派ですとかジャック・ケルアックといったビート一派。それから50年代に活躍したジャズ・ミュージシャンなんかがパリに一時期住み着くんですけども。そういう大好物の人たちが愛した街、という先入観が強すぎて、当然僕も大好きになってしまいました。街は綺麗ですけども、フランス人の方というのは今までの経験からいうと、さらに偏見で言わせていただくと、とにかく適当で、とても個人主義でわがままで、人の話なんか1ミリも聞かない人が多いんですけども。ただ、素敵な笑顔をもっていまして、全く憎めないというか、何かに腹を立ててもすぐに「まぁいいかな」って思わせてしまうのが彼らのすごいところだと思います。気分が乗ってくるといきなり英語がフランス語に切り替わって、ベラベラと長い話をするのが困りますが。こっちとしてはなんとか話の骨を折って、英語にしてくれと頼もうと、間をみるんですけども、一向に構わないで楽しそうに話し続けますよね。こういう時は諦めてタバコにでも火をつけて、あとはわかったフリをしてウンウン頷く。それがフランスで楽しく時を過ごすための極意なのかなと思います。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。