ON AIR DATE
2016.10.09
BACKNUMBER
  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54

It reminds me something already I forgot.

TUDOR logo

Theme is... GEN-KATSUGI




『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。


★★★★★
番組前半はリスナーの皆さんからお寄せ頂いた旅のエピソードと、
その旅に紐付いた曲をオンエア!

後半のテーマは、「験担ぎ」。
訓市がバックパッカー時代に世界各地で出会った信心深い人たちが
実践していたこと。
彼が占いやお呪いを一切信じなくなった理由とは?



★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
ドライブ旅で聴いた曲なども教えてください。

旅に紐付いた「リクエスト曲」をオンエアさせていただいた方には
図書カード1,000円分をプレゼントします!

番組サイトの「Message」から送信してください。
手書きのハガキ、手紙も大歓迎!
日曜日の夜に聴きたい「ゆったりした曲」をゼヒお寄せください。


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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2016.10.09

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

Lean On Me / Bill Withers

2

Stay Alive / Jose Gonzales

3

My Way / Frank Sinatra

4

By Piccadilly Station I Sat Down And Wept / Tracey Thorn

5

いちょう並木のセレナーデ / 小沢健二

6

Know How / Kings Of Convenience

7

Summer Love / The Blackbyrds

8

Solitaire / Sheryl Crow

9

Thirteen / Big Star

2016.10.09

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。

Kunichi was talking …


★★★★★★★★
旅と験担ぎ。全く関係ない様に聞こえますが、実はバックパッカーを始め、みんなすごい験担ぎをしていました。あと信心深い人とか。よく日本でも方角を気にする人がいますが、似たようなことをする外国人のパックパッカーもたくさんいましたし、縁起が悪いといって、映画『ドラッグストア・カウボーイ』に出てきたように、ベッドに帽子を置いたら『なんてことをするんだ。3秒ルールみたいなので置かなかったことにしてくれ。』とか。それからスピリチュアルリーディングもいろいろいました。僕は一度も信じたことがないんですが、暇つぶしにはもってこいなんです。同じ人間に他人の未来がわかるわけがない、というのが僕の信条ですし、わからないからこそ未来は面白いってみなさん言いますよね。僕も経験しないと納得しないたちで、それこそが旅好きの共通点だと思うのですが、また辻褄が合わないことに、旅好きには占いとかそういうのに凝ってる人がたくさんいました。僕が旅をしている時に一番流行ったのは、マヤの人々が書いたと言われる“マヤン・カレンダー”。1年の365日にいろんな意味があって、自分の生まれた日の意味を知ると人生に影響するとか、歴史から急に消えたマヤの人々には未来を予知する力があって、それが原因で彼らはこの世から消えたので、そのカレンダーにはすごく力があるんだ、という触れ込みでした。でも、それを本当にマヤの人が書いたのかというとそんなことはなくて、勝手に解釈したアメリカかどこかの夫婦が70年代に書いたものが広まったんです。これってノストラダムスの予言と同じレベルだと思いますし、偉そうなこと言ってますが、僕はノストラダムスの予言を、実は信じていたというか、それにすがっていました。というのも、二十歳を過ぎてもブラブラして仕事も家もなかったので、“99年に世界は滅びるんだから先のために生きない、というのが一番建設的なんだ”っていう説得力のある言葉として、ノストラダムスを信じていたわけです。予言の日に海で泥酔して、起きたら普通に昼間になっていたのを、どこかホッとして、生きててよかったという気持ちと、これからどうしてくれるんだ、という絶望感。次の予言が“2012年に滅びる”というものだったんですけど、その時はさすがの僕も思い直して働いて、今に至ります。とにかくそのマヤン・カレンダーとかすごい真剣に読んでるヒッピーが多くて面白かったです。あと、日本で馴染みがないのにみんなやっていたのがタロット占い。タロットって日本であんまり身近な存在じゃないと思うんですけど、毎日やって意味あるのかっていうくらいやりました。それから縁起のいい石。僕は旅中にいくつクリスタルをもらったかわかりません。『お前のことを常にこの石が見守ってくれる。』って。真顔で何度も言われましたが、みんな割れました。




★★★★★★★★
験担ぎといってもいろいろありますが、占いというと僕が必ず思い出して、絶対信じなくなった出来事があります。この番組で昔“カンパリ・ソーダ”という僕の好きな曲をかけた時に、この曲を教えてくれた子のことを話したことがありました。もう20年以上前のことで、彼女はHIV、世の中ではエイズという名前で知られていますが、その病気の子で、世界を全く見たことがないということで死ぬ前にバックパッカーになった子でした。僕らの中でもかなりデタラメな、でもものすごい面白い人で、『つまんないなら東京に来い』って連れてきちゃったんです。英語もほとんどしゃべらない、でもパワフルで面白い子でした。ある時、二日酔いで友達の古いアパートにみんなで集まって、その時にメディスン・カードっていうのかな、当時はやったニューエイジタロットみたいなもののネイティブアメリカン版というのがあったんですが、それを持ってる友達がいました。旅ではやっていたもので、日本語版でしたがその女の子がぜひやってみたいと。翻訳してくれというので、わかったと言って始めました。そのタロットのようなカードは、“現在と近い未来”と“未来”を確実に教えてくれるという触れ込みで、僕はその“現在”を表すカードを訳したあと、近い未来と未来について読みました。良いことが書いてあったと思うんですが、突然、彼女が全く動かなくなってポロポロ泣きだしたんです。僕は呆気にとられてしまって、『どうしたの?』って聞いたら、『私には未来がない。』と。それで始めて病気のことを聞きました。記憶はいい加減というか、脆いというか、時間が経てばたつほどだんだん細かいこととかは消えていきますが、それでも僕は始めて『未来がない』って言われて感じたこととか、なんて言ったらいいのかわからなかった、その時の部屋のランプの色とか、断片的だけどすごくよく覚えていて。そのあと彼女はいろいろあって記憶もなくしてしまって、誰も連絡をとっていないので、もしかしたら亡くなってしまっているかもしれませんが、最後を聞いていない以上、どこかでまだ生きていて旅をしているといいなと思います。何が言いたいかというと、占いとかそういうものは意味がないな、というのをその時僕はすごく思いました。一度ポッキリの人生。行動を起こして、いろんなものを見て、感動したりしていきたい。みんなそれを簡単に言いますけど、実行している女の子にあった時に本当にそう思いました。僕もこうしてスタジオで、行けない旅のことについてブツブツ話していますが、みなさんも行ける時には行ってみましょうよ。