Let's travel! Grab your music!
Theme is... POLITICS
『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
★★★★★
番組前半はリスナーの皆さんからお寄せ頂いた旅のエピソードと、
その旅に紐付いた曲をオンエア!
後半のテーマは「政治」。
年始はチョッと真面目に、「政治」について思うこと、感じることを語ります。
海外で暮らした経験から感じた日本人と外国人の政治に対する意識の違い・・・
自分の常識は世界の常識なのか?
★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
☆☆☆
特に募集するリクエスト曲のテーマは、
「冬のヘヴィメタル・バラード」
☆☆☆
リクエスト曲をオンエアさせていただいた方には
図書カード1,000円分をプレゼントします!
番組サイトの「Message」から送信してください。
手書きのハガキ、手紙も大歓迎!
日曜日の夜に聴きたい「ゆったりした曲」をゼヒお寄せください。
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Stay Gold / Stevie Wonder
Song For Whoever / Beautiful South
Driving (Acoustic Mix) / Everything But The Girl
Albatross / Fleetwood Mac
ぼくらが旅に出る理由 / 小沢健二
I Feel It Coming / The Weeknd feat. Daft Punk
Talkin' Bout A Revolution / Tracy Chapman
The Times They Are A-Changin' / Bob Dylan
Happy Xmas (War Is Over) / John Lennon & Yoko Ono
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
★★★★★★★★
政治について少しはなしてみたいと思います。なんで政治かというと、僕ら日本人はあまり政治の話をしない国民なのかなと思うからです。僕も昔を思い出してみると、友達と政治や選挙の話をしたことがなくて、当時は女の子のことやいかにかっこつけるかということ、楽しいことをしたいという目先のことに精一杯で、そんな大きなことについて考えたことがないというか。政治の話をするということがかっこいいか、かっこ悪いかっていったら、かっこ悪いと思っていた節があると思います。ところが海外に行くと政治の話というのはいたるところで出てきます。なにも仕事相手のかたそうな相手じゃなくても、場末のバーや若いスケーターの子、グラフィティをやってるような子達でも、必ず今の世界をどう思うか、アメリカだと去年はトランプさんが選ばれる前から大統領選の話になったりしました。こういうときに『いやー、よくわからないんだよね。』では本当に話にならなくて、自分がどういう考えを持っていて、現状についてどう思っているかちゃんと話せないと、美味しいお酒すら飲めないというか。意見がない人というのは、たとえひどい偏った意見を持ってる人よりダメな人だと思われる風潮があると思います。なんとなくごまかすのはよくないというか、ちゃんと自分の考えがないと、いろんな議論を一緒にできない。そう思うと最近の日本は、僕が若かった頃よりもはるかに政治的な話が身近になっているのかなと思いますが、それと同時に自分の主義とか考えというものを、より話しづらい世界になっちゃったのかなとも思います。なぜかというと全てが二元論。味方と敵、右翼と左翼というような、なんでも二つに分けられてしまうという風潮があって、それが自由な話がしづらい雰囲気を作っているんじゃないかと思うからです。例えば『反原発』って言うと『はい、きみ左翼』っていう話になりますし、『移民に反対』って言うと右翼になります。でも、そんな簡単に人の主義って割り切れるのかなって僕はいつも思っていて、例えば、“反原発”で“9条改正には賛成”で“TPPには反対”、“カジノ法案にも反対”で“オリンピックの再開発とかに賛成”な人がいたらどうなるんですかね。これ最初の“反原発”だけとって、『はい、左翼。』という話になるのか。でも人の主義とか考え方ってこのぐらい複雑なもので、何か一意見だけを聞いて、『はい、君はこうだ』って言うことはできないと思うんです。こういう話は日本だけじゃなくて、世界でも昔に比べてすごく簡単に切り捨ててしまうというか、“反トランプ”と“トランプ一派”とか。彼らが言ってる全部が好きではないのに、すぐ一つの枠にくくられてしまうのはすごく嫌だなぁと。僕は海外で『右翼なの?左翼なの?』って聞かれると、“自称左翼”の人に聞かれたら、『左に行き過ぎて右に出た右翼だ。』と言いますし、右翼の人に聞かれたら『右に行き過ぎて左になった。』と答えます。
★★★★★★★★
アメリカとかヨーロッパの話しですが、僕は旅の途中で自分の心情を人に話して、不自由な思いをしたり色眼鏡で見られるようなことは一切ありませんでした。なぜなら誰もがそれぞれの心情があるので、それを話すのが至極当然のことというか、『だから何?』っていう感じでした。答えなどないので、それを話して誰のが一番いいとか、正しいかっていう答えを出すわけではなくて、それを話したり互いの考えを認めたりするっていうのが大事なプロセスなのかなと思うのです。けれどもこの2・3年と言うのは世界もだんだん2つに分かれているというか、敵・味方みたいに簡単な分け方になってるんじゃないかなって思います。それはきっと情報が多すぎて、面倒臭くなってるところも一つあるんじゃないかなと。わっと燃え上がってさっと冷めますよね。
僕の友達はニューヨークなどの東海岸と、LAやサンフランシスコの西海岸に多くて、彼らは基本リベラルな人ばかり。その中にはトランプさんが大統領選で選ばれる前は、『トランプが選ばれたら国外に引っ越す』なんて言ってる人がいましたが、そんなことはしないだろうなぁと最初から思ってました。なぜなら、僕はブッシュ大統領が再選した時もちょうどニューヨークにいまして、これほどではなかったけどやっぱりものすごいアレルギー反応みたいなのがあって。『こんな人を選ぶなんて、僕は引っ越すよ』ってみんな言ってましたが、一ヶ月後、誰もそんなこと言ってなくて、なんだったんだろうあの熱気は、みたいな。今回もトランプさんが実際に大統領になって、火の粉が自分に降ってこない限り、そこまで深刻には考えないんじゃないのかなぁと思います。
日本もこれからどうなるんだろう、とよく考えますし、考えずにはいられないです。僕だけじゃないというか、僕には子どももいますし、彼らが大きくなった時に、僕らが得られた自由とか機会と同じようなものを彼らも持てるのかなと。その時に自由に旅のできる世界であってほしいとすごく思います。そしてもし、日本がダメになったとしてどこに行けばいいのかも考えます。どこも繋がった一つの星だから影響がありますし、果たして世界にいま、安全で平和が続きそうな国って一つでもあるのかと。僕らは美しい景色がみたいとか美味しいものが食べたい、いいコンサートに行ってスケートボードで遊びたいとか流行りの服を買いたい、などいろんなことを願いますけども、それと同じくらい“良い世の中になってほしい”と願うべきなんじゃないかと。そしてそのためにはやはり自分たちがそれについてどう思うかっていうのを口に出していくべきなんじゃないかと思うんです。そして僕たちが旅に行かなきゃいけない理由っていうのもそこにあるんじゃないかなと。自分が持ってる常識が世界の常識なのか、自分が見聞きして正しいと思ってることが果たして本当なのか。それはやっぱり自分たちが世界に出て、その地で体験しないと絶対わからないんじゃないかなぁと思います。僕もまたいろんなところに行きないなと思いますが、みなさんもぜひ機会があったら、なるたけ遠くにでて、そこから日本を見てみるのも良いんじゃないかなぁと思います。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。