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Let's travel! Grab your music!
Theme is... Music Festival
『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
★★★★★★★
番組前半はリスナーの方からハガキ、手紙、メールでお寄せいただいた
旅にまつわるメッセージとリクエスト曲をまとめてオンエア!
後半のテーマは「フェス」。
訓市が毎年欠かさず参加している
「フジロック・フェスティバル」開催のタイミングに...
オジサンだからこその「フェス」の楽しみ方を語る。
20年前、ロンドン滞在時に「フェス」の現場で体験した
辛くて楽しかったエピソードとは?
★★★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
「夏の旅」「夏のドライブ」の思い出を曲とともに・・・ゼヒ!
この夏の「旅プラン」も大歓迎!
リクエスト曲をオンエアさせていただいた方には
番組オリジナルの図書カード1,000円分をプレゼントします。
番組サイトの「Message」から送信してください。
手書きのハガキ、手紙も大歓迎!
日曜日の夜に聴きたい「ゆったりした曲」
「旅で聴いた思い出の曲」「動かない旅ができる曲」などなど、
リクエストもお願いします!
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Only You / Flying Pickets
Higher / Asiger
Bored In The USA / Father John Misty
Creep (Acoustic Version) / Radiohead
One Sunny Day / Magnolia
Yellow / Coldplay
Jane Says / Jane's Addiction
Somewhere Only We Know / Lilly Allen
Mogwai Fear Satan / Mogwai
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
★★★★★★★★
今週末といえば、フジロック。すでに行って帰ってきている人もいれば、まだ苗場にいて最後の夜に盛り上がっている人。こういう話をラジオで聴いて“いいなぁ、行けなかったなぁ”と思っている人。いい歳こいてフェスはないだろうと、批判的な人。いろんな人がいると思いますが、僕が思うにフェスというのは卒業するものではなく、歳相応の楽しみ方があるもので、じいさんばあさんになっても行って楽しめるものだと思います。僕もフェスに行くようになってもう20年以上経ちますが、だいぶ過ごし方が変わったとはいえ、大人の夏祭りだと思って楽しんでいます。友達と一緒に行くというのももちろん楽しいですが、現地でいろんな友達ができるというのもフェスのいいところです。特に、同じバンドや音楽が好きな趣味の合う人と出会いやすい環境なので、そういう面では最高だと思います。
海外のフェスの話をしようと思っていましたが、ちょうどスタジオに来る前、ニュースで“イギリスのダイアナ妃が亡くなって、今年で20年”という記事を目にしてびっくりしたので、その時のことを少し。
ダイアナ妃が亡くなった頃、僕はロンドンに住んでいて、そのニュースを野外フェスで聞きました。日本から親友が来ていて現地の仲間と一緒に行ってたんですが、明け方だんだん暑くなってきて、イギリスの女友達が『車に飲み物を取りに行ってくる。』と言って、なかなか帰ってきませんでした。どうしたんだろう、と思っていると、その女の子が泣きながら帰ってくるじゃありませんか。それに気づいた仲間たちがバッと集まって理由を聞くと、その子が泣きながら『ダイアナ妃が死んだ。』と言うんです。暑いので車にエンジンをかけて冷房をつけながらジュースでも飲もうとした時にラジオをつけると、暗?いクラシックがかかっていて、チャンネルを変えても変えてもクラシックしかかかってない。そしてそのうち、ダイアナ妃が事故でなくなった、と。それを聞いた一人が駆け出して車まで行って確かめてきました。確かにダイアナ妃は亡くなったと。みんな車座になって座って泣いたり呆然としたりしていて、お祭りムードが一変、暗い雰囲気になったんです。ダイアナ妃がイギリス人にいかに慕われていたかっていうのを実感したと共に、その重い空気に飲まれてしまい、どうしようって感じだったんですけど、それをぶち壊したのが日本からきていた僕の親友でした。みんなが話している時に同じような深刻な顔をして頷いていたんですが、その彼が誰も発言しなくなった時に、『本当にかわいそうだね。で、そのダイアナって仲良しの友達だったの?』って。どうも泣きだした女の子の友達が亡くなったと勘違いしていたんです。全員、泣いてたんですが、それで大笑いになって。その後、気を取り直して楽しく遊びましたが、あれからすでに20年たったということの方が僕には信じられません。
★★★★★★★★
フェスというのは、若い頃はそれこそ朝からどのバンドも見逃すまいとスケジュール帳を片手に歩き回って、何バンドくらい見たでしょうか。夜は夜でクラブ音楽みたいのをやっているところに行ってDJを観て、酒も飲んで明け方近くテントに帰って、1・2時間寝たらまた起きてバンドを観る、なんてことをしていましたけど、歳を取ればそれはもう無理ってもんです。3日間のフェスの間で2つ3つ観られればもう十分かなっていう感じにもなってますし、それよりもフェスというのは、そこでしか会えない昔の友達と会えたり、彼らとお酒を飲んだり、昔話に花を咲かせたりと、どちらかといえば音楽は二の次。のんびりする大人の修学旅行のような感じにもなっています。だいたいバリバリ働いていている友達なんかは、『いまだにフェスなんか行くの?しかも泊まりで?』なんて言ったりします。“音楽フェス”というと、急に若い人向けで自分たちのものじゃない、なんて思う人が多いのはどうしてなんでしょう。キャンプ好きだという人が、キャンプに音楽がついてくる、くらいの軽い気持ちで来てもいいと思うんです。アメリカやヨーロッパのフェスに行くと、それこそ70代の人たちがたくさんいます。最初は彼らが若かったのが、今では『孫のお守りだ。』とかそういうのを見ていると、すごくいいなぁと。
そして、移動中というのがまた楽しいんです。仲間と車に荷物を積み込んで、食料だの楽器だの、本当に必要なの?っていうようなものまで一切合切詰め込んで出発する。行きの車内の中からもうフェスというのは始まっているんです。だいたい乗り込んだ人みんながそれぞれ張り切っていろんなミックスなんかを作ってきてますから、それを聴きながら行くというのは本当に楽しいものです。昔、テネシーで行ったフェスでは渋滞がとんでもないことになりまして、何時間かかったのかも覚えてないんですが、途中にあったモーテルの柵を乗り越えて勝手に泳いだことや車内で聴いた音楽。そして、そこでの会話というのが本当に面白くて、実際のフェスで何を観たかということより、その道中でのことのほうがよく覚えているくらいです。
8月はフェスシーズン本番です。洋楽中心のもの、和物中心のもの。若いバンドにベテランバンド。きっと好きなアーティストが出ているものが一つはあると思います。知らない音にも出会えるチャンスがあるフェス。ぜひ行ってみてください。そして、もしそこで会うことがあれば一緒にお酒でも飲もうじゃありませんか。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。