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訓市が antenna* からセレクトした記事は・・・
英国「合意なきEU離脱」で欧州のローミング料復活か? 若者には特に厳しい代償…
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Theme is... BREXSIT
『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
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--- “ブリグジット”の行方に戸惑うイギリスの友人たち ---
番組前半はリスナーの皆さんから手紙、ハガキ、メールで寄せられた
旅のエピソードを紹介しながら、
その旅にまつわる思い出の曲をお送りします。
訓市による“メッセージ返し”もお楽しみに!
後半のテーマは「ブリグジット」。
イギリスのEU離脱=ブリグジットの話題で持ち切りだったロンドンで
会った友人からタクシーの運転手まで...
現地で彼らと話をして訓市が感じたこと、
そして、若いリスナーに伝えておきたいこと。
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番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
「旅」に関する質問、「旅先で聴きたい曲」のリクエストでもOK!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
メールの方は番組サイトの「Message」から送信してください。
リクエスト曲がオンエアされた方には番組オリジナル図書カード、
1000円分をプレゼントします。
皆さんからのメッセージ&リクエスト・・・ お待ちしてます!
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Sunny / Bobby Hebb
Waterloo Sunset / David Bowie
I'm All Right / Madeleine Peyroux
Get Free / Lana Del Ray
Journey / 桑田佳祐
The One To Wait / CCFX
Relax / Fyfe
Looks Just Like The Sun / Broken Social Scene
That's The Way I've Always Heard It Should Be / Carly Simon
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
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今夜の後半は「ブリグジット」をテーマにお話します。というのも久しぶりにロンドンに行ってきました。まぁ全くずっと行ってなかったというわけではないんですけども、街を見るのは本当に久しぶりでした。なぜかというと過去4年の間に行ったロンドンっていうのは『犬ヶ島』、この番組でも何度かお話ししていますがウェス・アンダーソンの映画の制作の為で、全く自由時間が無かったからです。ヒースロー空港に迎えの車が待っていて、そのまま彼の自宅やスタジオ近くのホテルに連れて行かれて、ほぼ拉致監禁という状態でしたのでロンドンに行ったとしても何も見ていないに等しかったのです。本当に一回は空港とウェスの自宅だけで、散歩に行きたいと言ったら敷地の周りを散歩で一周しただけで終わって仕事に戻ろうと。そして、そのまま空港の飛行機の時間ジャストに送り届けられて… 初めてでしたね、何も見なかったっていうのは。今回もロンドンにいたのはたったの2泊、多分48時間いたかどうかくらいでしたが、それでもちょっと街中を色々と移動したり、友達に会ったりすることができました。僕が宿泊していたのは『サヴォイ』という古くからあるホテルでコベント・ガーデンの奥にある老舗ホテルなんですけども、朝、タバコを吸おうと外に出るとちょうどホテルの裏がテムズ川だということに気付いて川岸の方に行ってびっくりしました。全く知らない高層ビルやら建設途中のビルがいくつも立ち並んでいたからです。思えばこの10年くらいあまりロンドンには来なくなっていましたし、川岸の方にも来ることもなかったので、僕のテムズ川の記憶っていうのがきっと15年くらい前から止まったままだったのです。東京の豊洲とか湾岸のような景色になっている河岸で呆然と立ちすくむ僕の横を自転車の通勤者や学生たちがすごいスピードで行き来していました。空気汚染が進んだロンドンの中心部っていうのは自転車を推奨しているようで、かつてとは比べ物にならないくらいの人が自転車に乗っていました。先日お話したブルックリンもそうですが、世界の大都市というのはちょくちょく来ていないと全く別物になってしまうんだなぁ〜とつくづく思いました。まあ、話には聞いていましたがロンドン、お前もかという風に感じました。僕が住んでいた90年代の半ばというのは『クールブリタニア』と呼ばれてオアシスとかブラーといったブリティッシュ・バンドも世界的に成功したり、国自体がやっと不況を脱して好景気に湧いていた時でしたが、それでもお金のない留学生でもラッキーであれば『ゾーン1』、東京でいう山手線内に小さい部屋をシェアで借りれることが出来たりもしましたが、今はその周りの『ゾーン2』はおろか3やその外、もう数字がいくつなのか分からないんですけれども、そのぐらい家賃が高くなっているって聞いていたのをこの景色を見て一瞬で理解できました。
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今回、ロンドンにいる間、誰と話しても『ブリグジット』、イギリスのEUからの離脱の話をしていました。これから一体どうなるのか、まあ特に若い人の方はもう荒れ狂っていましたね。選挙で離脱に投票したのは忘れられたと感じている地方の労働者や高齢者が多く、彼らのせいで自分たちの未来が潰されたと若い者は思っているのです。これから関税がどうなるのかとか誰もわかっていない為、あらゆることに支障がすでに出ているそうです。今後1年分の資材や商品を倉庫をわざわざ建てて備えている企業もたくさんあるそうですが、それをいつまで保たす訳にもいきませんし、国境の隔たりをなくして自由貿易と人の流れを流動化する。まぁそうやって始まったEUですけども、廃止したものをいざまた復活させようとしても、中々すぐにはできないらしいんですよね。昔のEUが始まる以前を知る役人たちもとうに引退していて、もう関わってる中にOBとかもいないらしいんですよ。ちょっと違うのかもしれませんが“電車を再び機関車に戻しましょう”と急に言うようなものなのかもしれません。乗ったタクシーの運転手も、酒を飲んだバーのバーテンも、向こうでちょろっと会ったアーティストも皆同じことをいっていました。“一体誰がこうしたんだ!”“申し訳ないですけども、お前たちでしょ”と僕が答えると絶句していましたが、やっぱり、本当にそうだったと。もっと国として議論をするべきだったし、そもそも離脱派が勝つなんて理不尽なことっていうのが最後に起こるわけないと皆んなどこか信じていたみたいです。僕はイギリスにも住んだことがあるので親近感もありますし、いつも感じることが日本とイギリスがとても似ているということです。四季があり歴史もあって、女王と天皇陛下がいて。ですから、今のロンドンにいてその混乱を見ていると本当に日本もちゃんと選挙に行ったり議論をしないといけないのだなと心の底から思いました。その議論っていうのが日本では中々無いと思うんですが。僕的には大の大人がなに甘いこと言ってるんだって意見もあるかもしれませんが、何かどこか特定の政党に投票するのではなく、この国を本当に良くするためには自分はこう考えてるっていう個人に投票するようなそんな形であったらいいなと思います。与党の人、野党の人も関係なくこの法案には投票するけど、これには反対する。そして、その理由をちゃんと説明する。そのぐらいの動きがあってもいいのになぁ〜と最近よく思います。「未来は僕らの手の中」と、かつて高校生の時にブルーハーツが歌っていましたが、そうするには投票する側がちゃんと色々考えないといけないんだなと考えさせられました。これから本当にイギリスはどうなっていくんでしょうね。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。