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訓市が antenna* からセレクトした記事は・・・
最新トレンドの粋を集めた モルディブの「今」が分かるリゾート
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Theme is... Maldives
『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
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--- 訓市の癒やされてしまった体験談... 疲れた親父?! ---
番組前半はリスナーの皆さんから手紙、ハガキ、メールで寄せられた
旅のエピソードを紹介しながら、
その旅にまつわる思い出の曲をお送りします。
訓市による“メッセージ返し”もお楽しみに!
後半のテーマは「モルジブ」。
約3年ぶりに休みを取って訪れたモルジブで癒やされてしまった訓市...
満天の星を眺めながら頭の中で振り返った平成という時代。
そして、令和に望むこと。
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番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
「旅」に関する質問、「旅先で聴きたい曲」のリクエストでもOK!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
メールの方は番組サイトの「Message」から送信してください。
リクエスト曲がオンエアされた方には番組オリジナル図書カード、
1000円分をプレゼントします。
皆さんからのメッセージ&リクエスト・・・ お待ちしてます!
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Know Who You Are / Pharrell Williams feat. Alicia Keys
Stardust / Asgeir
Blackbird / Carly Simon
But Not For Me / Chet Baker
Only With You / 山下達郎
Sing A Song / Earth, Wind & Fire
Breezin' / George Benson
Riviera Paradise / Stevie Ray Vaughan
最後のニュース / 井上陽水
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
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先日、3月の終わりに3年ぶりのまともな休みを取りました。去年もハワイにちょっと行こうと思っていたのですが滞在時間が24時間あったのかな、映画のプロモーションで急遽そのままパリに来いと言われまして。その前の春は引っ越しでどこも行けず気づいたらそんなに間が空いていました。夏は仕事が忙しく2、3日ぐらいしか休めませんし、12月は丸々忘年会です。そんな訳で春しか休みが取れないということで初めてモルジブに行きました。じゃあそういう所に普段から行ってるのかというと、僕の人生においてリゾート地っていうのはとても縁遠いもので、まずはお金が無かったので絶対に行けなかったですし、なによりも何もない綺麗な島に行って何するんだ?という素朴な疑問が頭から離れなかったからです。だいたい、好きな所を見つけてぼけ〜っとして移動するっていうのが僕が好きなものですから。金曜の夜に割と遅くまで働いて、そこからすぐ荷物だけを拾って空港へ向かい夜便でシンガポールへ向かいました。そこから今度はモルジブの首都マーレに向かい、そこからまた小さい飛行機に乗り継いで、今度はボートで目的地の島へ行きました。だいたい20時間ぐらいかかりまして、ボートに乗る頃には“俺は疲れに来たのか、意味がないじゃないか”と。“こんな所を選んだのは誰だ?”っていう呪詛のような心の声が頭の中に渦巻いていたんですけども、まぁでも行ったら本当に綺麗で、まぁ綺麗としか言えないのが悲しいとこなんですけども。どのくらい綺麗かって言うとですね、透明度のもの凄くある水とサンゴ礁、そしてパステル色の空に囲まれて、海の色っていうのはバスクリンとしか言えなんですよ。でも本当にバスクリンを1億個くらいぶちまけたみたいな海でして、そういうと“家の風呂でいんじゃねえか”っていうまた呪詛みたいな言葉が出て来たんですが、それでも本当に癒されましてね、それで癒されてしまうオヤジに俺もなってしまったんだっていうまたがっかり感もあったんですけども、でも自然の綺麗な場所にいると本当に癒されるんだなぁと。イルカが飛び跳ねているのを見ると“うんうんうん”と自分の心も一緒に飛び跳ねていましたし、エイが悠々とまるで鳥のように海の中を泳いでいるのを見ると自分の心も羽ばたいていましたし、40代にしてまるで「アルプスの少女ハイジ」のような気分になっていました。つまり陽が出てきたら“おはよう太陽さん”、鳥が鳴いてたら“おはよう鳥さん”みたいな感じですね。島の中は自転車で移動し、暑ければどこからでもすぐに海に飛び込める。やる事といったら泳ぐことと酒を飲む事しかなくて、終いにはこれを一緒にしたらどうかと海の中でも飲んだりしていましたが、お陰でありえないほど日焼けしてしまい、撮られた写真を見てこれは確かに堅気の人間には見えないぞという見てくれになってしまいました。
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モルジブは昼間も本当に良かったですけど、夜も素晴らしいものでした。海に突き出たバルコニーに座って、新月で真っ暗な夜空には星がたくさん輝いていて眩しいくらいでしたし、天の川がくっきりと浮かび上がる空、そして何かに当たって砕ける波の音を聞きながら聴く好きな音楽。色々物思いにふけてしまいましたけども、特に日本で新しい元号の「令和」の発表があった日の夜は一人でいろいろ考えました。「平成」の間を一緒に過ごして、もう亡くなってしまった友達たちのことを思い出したりして、“あいつらはこの新しい「令和」という元号を知らないんだなぁ”としんみりもしましたし、“僕らが一緒に過ごした時代っていうのは一つ昔の時代となってしまうんだなぁ”と。なんか、一つが終わって箱に入れてラベルを貼られて仕舞われてしまうような、そんな感覚でした。そして海辺で過ごしてきた昔もたくさん思い出しました。特に天の川とかを見ていたら昔のインドの浜辺とか地中海で野宿した事とか、それからもちろん近場の千葉や神奈川の海辺を夜通し走ったりしたこととか。よくこの番組でも話すんですけども僕は海外に行くと多分日常からちょっと頭がブロックされて、どうでもいいような小さなことをちょくちょくちょくちょくと思い出しますが特にこの晩はそうでした。こんなのは俺だけなのかなって思っていると、ちょうど幼馴染みからメールがあって「訓、覚えてる? 平成最初の日、俺たち渋谷のWAVEでパブリックエネミーのCDを買いに行ったよな」と。いたいた、また一人感傷的になった友達がと思いましたけども。まあきっとそうやって昔を思い出した人たちはあの夜たくさんいたんじゃないでしょうか。僕はその後、この番組のタイトルになっている「Travelling Without Moving」っていう古いチルアウトの曲を海を見ながら聴きました。今、目にしている星の光というのは何光年、何億光年と離れた星から、それと同じ時間をかけてやっと地球上に届く光です。なので今という瞬間にその星が発する光っていうのはこの地球に届くのはまた何光年、何億光年後です。その頃にもこの地球という星が平和にあるんだろうか。そしてその光をちゃんと見上げて何かを思う人類っていう者たちがちゃんといるんだろうか。その何億年という時間に比べて「令和」という時代っていうのも瞬きのような短い一瞬で終わってしまうのかもしれませんが、素晴らしい時代になれば良いなあと思います。そしてまさか二つの時代に渡って番組が続くとは思いませんでした。平成で始まって今、令和も続いてるんだよねっていう感じですよね。みなさんこれからもよろしくお願い致します。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。