★★★★★★★★★★
訓市が antenna* からセレクトした記事は・・・
ガーリー・カルチャーの神様、ソフィア・コッポラの映画を音楽で深読みする アルバム4選
★★★★★★★★★★
Theme is... TOKYO
『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
★★★★★★★★★★
--- 訓市が再発見した東京の魅力とは? ---
番組前半はリスナーの皆さんから手紙、ハガキ、メールで寄せられた
旅のエピソードを紹介しながら、
その旅にまつわる思い出の曲をお送りします。
訓市による“メッセージ返し”もお楽しみに!
後半のテーマは「東京」。
続々と来日した海外の友人と一緒に4月の東京で
慌ただしい日々を過ごした訓市が感じたこと。
映画『ロスト・イン・トランスレーション』から16年を経て
監督のソフィア・コッポラと共に足を運んだ場所とは?
激動の変化を遂げている中で再発見した未だ変わっていない
東京の魅力について語ります。
★★★★★★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
「旅」に関する質問、「旅先で聴きたい曲」のリクエストでもOK!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
メールの方は番組サイトの「Message」から送信してください。
リクエスト曲がオンエアされた方には番組オリジナル図書カード、
1000円分をプレゼントします。
皆さんからのメッセージ&リクエスト・・・ お待ちしてます!
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Attention Joji
Spring Song / Linda Lewis
Back In Our Town / Ivy
Dreaming With A Broken Heart / John Mayer
海へ来なさい / 井上陽水
First Time Ever I Saw Your Face / Marcia Griffiths
In A Manner Of Speaking / Nouvelle Vague
It Had To Be You / Rod Stewart
I Know What You Did / Seal
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
★★★★★★★★★★
4月の頭過ぎに東京にモルジブから帰って来てからですね、もうその日からすごい数の外人の友達が来日ラッシュのように東京にいたので、ただ会う人、一緒に仕事する人・・・とにかく何人来ていたんだろう。自分の誕生日もありましたので仕事しては飲みに行く、飲みに行っては仕事に行く、誕生会をやってもらい飲むというのが同時多発的にありまして、ひたすらに飲んだままゴールデンな週に突入してしまったのですけども、そのおかげで随分とまた映画『ロスト・イン・トランスレーション』的な東京を発見することができました。まぁ観たことのない人もいると思うんですけども、映画の中では知らない異国の地、日本の東京という街を若い女の子が彷徨う中で人と出会い、街と慣れて自分を取り戻していくような姿が描かれているんですが、僕はあの映画のロケーションとかを手伝っていたんですけども、その時も“あぁ、知ってるようで知らなかった所がたくさんあるなあ”と思うことが多々あったんですけども、そんな気分をこの4月も味わうことになりました。特に、『ウォーキング・デッド』というドラマで有名になったノーマン・リーダスという友達がいるんですけども、彼が自分がやっている別の番組の撮影で日本にしばらく滞在していました。もう付き合いがかれこれ20年ぐらいになる友達で、会った時はまさかこんな売れっ子になるとは思わなかったんですけど、まあ凄くてですね、どこへ行ってもキャーキャー言われますし、彼の素晴らしいところはキャーキャー言われても全員写真を撮ったり握手したりハグしたり、「別に俺でよけりゃあ全然良いぜ」っていう人間でして、すごい楽しかったんですけども一緒に都内でよくみる「マリカート」という奴に乗ることになりました。東京に住んでいる人なら渋谷とか行くと必ず一度は目にしたことがあると思うんですが、コスチュームをまとった外国人観光客が興奮気味に隊列を組んでちょろちょろ走り回るあのゴーカートのようなものです。“邪魔だなぁ、危ないなぁ”と車を運転中に何度もそう思ったことがありますし、白い目を向けていると注目されていると勘違いして興奮して親指とかだして「イェイ」とか言ってくるので、それもなんか嫌で避けていたんですけども、まさか自分が乗る羽目になるとは思いませんでした。しかも土砂降りの雨の中、リスのコスチュームを着せられて。“いやだなぁこんなの知り合いに見られたら、完全に突っ込まれるなぁ”と暗い気分で乗り込んだんですが乗ってみると、“まぁ、こりゃ観光客だったら好きだよなぁ”と妙に納得してしまいました。特に有り得ないような低い視点から見る渋谷の景色・・・ネオンの看板やら野外プロジェクションが輝き、建築ラッシュで立った新しいビルたちがまるで壁のようにそびえている。特にその日の夜は土砂降りで道が濡れていたので、あらゆる光が反射してブレードランナー感がいつもの200パーセント増しというハッピーターンの濃いバージョンのような感じでした。“なるほど、こういう絵を観光客たちは見たいんだなぁ”と妙に納得しました。
★★★★★★★★★★
ノーマンだけでなくて、その後は先日、番組にゲストで来てくれたアーティストのトム・サックスともいろんな所を回って、一緒にもう何年ぶりか忘れましたけどサーフィンに行ったり日帰りで東京に戻ってきたりするうちに、“東京はやっぱりなんでも周りにあって便利だなぁ”と実感したりもしました。まあ中でも一番感慨深かったのは旦那さんの仕事に付いて家族で来日していたソフィア・コッポラとカラオケに行ったことです。先程もちょっと言いましたけども、僕はその映画『ロスト・イン・トランスレーション』の撮影を手伝ったり、自分の名前通りの役を貰って「ちょっと出なさいよ」って言うので出たりしていたのですが、それが今からちょうど16年前、僕が30歳の時でした。渋谷のカラオケボックスで主演のスカーレット・ヨハンソンとビル・マーレーと撮影したカラオケシーンっていうのは映画の中でも象徴的な一番有名なシーンの一つとなって皆さんによくまだ聞かれたりもするんですけども、「あれはどこだったんだ?」とか。僕にとってはロキシー・ミュージックの「More Than This」という曲を何時間も何時間も歌わされた辛い思い出だったんですけども、その同じカラオケボックスの同じ部屋に16年ぶりにソフィアと行きました。「不思議よねぇ、時の流れの速さにはうんざりするわよねぇ、16年よ」そんな話をしながら僕は頷くばかりでした。映画を撮っている時は何しろ僕はまだ夏の間は海の家をやって2ヶ月間海に住んでいましたし、ソフィアもまだ30歳そこそこで子供もいませんでしたし、「みんなこれから人生どうなるのかしらねえ」なんて話をしていたぐらいですから。主演だったスカーレットはホームシックになって帰りたいとべそをかくまだ16とか17歳の女の子で、ビル・マーレーもしばらくキャリアの低迷期だった頃で、この映画で復活したんですけども。それが今では全員家族もいてバリバリ働いていて、ただラッキーだなと思うのは皆まだ繋がっていて、こうしてどっかで会って集まれたりする素敵な仲間なんですけども、皆んなが映画のそのロキシー・ミュージックの曲を熱唱したりしながら騒ぐのを横目に窓の外を覗くと、そこからは駅前とは違ってあの頃とあまり変わっていないように見える渋谷の街並みが見えました。まあ僕はいつもこの番組でも話しますが、変わり過ぎて自分の知ってる渋谷じゃないと嘆くことが多かったんですけど、“まだまだ変わってない風景っていうのもあるんだなぁ”と何だかいろんな東京を再認識したような、そんな一ヶ月でした。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。