TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING

Theme is... WORK

『Travelling Without Moving』＝「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。


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--- もともとは、何も無かったから ---

番組前半はリスナーの皆さんから手紙、ハガキ、メールで寄せられた
旅のエピソードを紹介しながら、
その旅にまつわる思い出の曲をお送りします。
訓市による“メッセージ返し”もお楽しみに！

後半のテーマは「仕事」。
時期的に就職や仕事について若者たちから質問される機会が多い
訓市が思う仕事感について語ります。
“好き”と“楽”は別物… 辛くてもやり遂げられる理由とは？


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番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
「旅」に関する質問、「旅先で聴きたい曲」のリクエストでもOK！

手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
メールの方は番組サイトの「Message」から送信してください。

リクエスト曲がオンエアされた方には番組オリジナル図書カード、
1000円分をプレゼントします。
皆さんからのメッセージ＆リクエスト・・・　お待ちしてます！


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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna＊ TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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Kunichi was talking …


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最近、4月ぐらいからですが… きっと就職したり大学に入ったり、これからの仕事のことを考えることが多いからだと思うんですが、随分と若い子たちに仕事のことを聞かれたりします。「どうやって働いているんですか？」「本業は何なんですか？」「いつも楽しそうで良いですね」とか「野村証券の息子かなんかですか？」とか。まあ雑多なんですけども本業はやること全てですし、好きなことしかやっていないので楽しいに決まってます。そしてもちろん野村証券の息子ではないです。そうだったら良いんですけどね。なので普通に自分で働いています。僕はいろんな仕事をたくさんやっていますが、それはケーキのホールがあるとすると１カットだと思うんですよ。普通の皆さんの仕事っていうのが１つの大きいケーキだとすると、僕はいろんな味のカットを全部足して1つのホールになってるというか。まぁ、何故そうなってしまったかというと、例えば編集やライターをやるんですけど僕はとてもわがままな人間でして、自分で興味があったりどうしても世の中に紹介したい物とか人がいると、どうしてもその特集を作ったりそれについて書きたいなと思う訳なんですが、逆にそうじゃないとやりたくないというか出来ないんですよね。なんだかとても人を騙してるような気になってしまうんです。まぁ普通そんな青臭いことを言わないで言われたことやるんだと思うんですけど僕はそれが嫌なので、そしてそれをしてしまうと食べていけないので、他の仕事で自分が興味があることをする。それを重ねていった結果、いろんなことを同時にやるという形になりました。「僕もいろんなことを同時にしたいんですけど、どうすれば良いですか？」とよく聞かれるんですが、僕は最初からいろんなことをやっていたわけではないので、むしろ時間をかけて少しずつやることが増えていった感じです。同時にいろんなことを手がけると多分１つ１つが中途半端になるので、何かたくさんやりたい、いろんなんことをやりたいっていう若いリスナーの人がいましたら、まず1つ始めてそこから増やしていくのが良いんじゃないのかなと思います。なので、よく「野村さんのアシスタントにしてください」って言われるんですが、だいたい断ってしまうのはただの器用貧乏にしてしまうのはもったいないなぁというか、1つまず手に職というかですね、ちゃんとやるっていうのが大事なんじゃないのかなあと思ってます。まぁ楽しいんですけども、この働き方の問題点は死ぬまで現場で働くことになりそうだということで、１つの業種をずっとやってるわけでも組織にいるわけでもないですから管理職のような仕事があるわけでも当然ありません。そして僕はよく海外に行きますが、そこでいろんな刺激や考える時間を持つことがあって、そのお陰で自分の仕事が出来ていると思います。まぁと言うかそれが全てかなと。だからずっと動き続けているんですが、いつか体にガタが来てというかもう来てますけども、遠出ができなくなったら色々困るなぁと漠然と考えながら、そんな時にはまた仕事を変えればいいだろうと呑気に構えてもいます。忘れないようにしてるんですが、そもそも、もともと何もなかった人間ですから元に戻るだけだと、そう思ってます。


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まぁ自分で言ってるからもそうなのかもしれませんが、「好きな仕事だけして良いっすね」「恵まれてんすね」とか言われたりします。確かに自分はとても恵まれているとは思うんですが、話していると「好きな仕事だけしていて良いっすね」っていうところに、なにか“好きな仕事”というのを誤解しているのかなという気もよくします。好きな仕事というのはもちろん自分が好きだということですが、それはすごく楽だとか儲かりそうだとかなんか見映えがいいとか、そういうことでは決してないと思うのです。好きなことというのは僕の場合、えてして時間ばかりかかって、はっきり言って儲からないことが多いです。ただ、好きだからこそ例えば徹夜が続いたりしても苦になりませんし、心から楽しいなーとやっぱり思います。この番組でも随分お話ししましたが、去年公開した映画『犬が島』の仕事は映像とかの人に「いいなぁ」とか「ウェスと仕事するなんて有り得ない」と言われましたが、仕事でいえばあんなに割りの合わないことはありませんでした。なにしろ3年やって夜な夜な電話会議やらチャットをして書類も書いて、報酬というのは時給で言ったら100円いくのかなぐらいですね。でもとても楽しい仕事でしたし、やり甲斐はあったし、時間ばかりとって無給のプレスツアーというのももちろん他では得難いとても楽しい経験でした。でも、そんな『犬が島』の仕事を受ける為には他の仕事で帳尻を合わせなければなりませんから、体力的にはあの製作時期の３年間っていうのは地獄でしたね。さらにですよ、働いて「あ〜やってられない」となると1時からでも2時からでもお酒を飲んでしまう性分ですから、２〜３時間寝て朝に子供の幼稚園まで自転車で送ったり…。そうすると「電動自転車のクセしてアシストが足りないじゃないか！」と自転車に怒鳴り散らしたりですね、そんな感じでした。ただ、大人の人生のうちきっと普通３分の１ぐらいは睡眠で、その残りの大半は働いていることになります。仕事はこなして趣味に時間を使うという人もたくさんいるでしょうし、早めに稼いで早くリタイアだという人もいるかもしれません。僕はどちらかというと趣味と仕事を一緒にというわけでもありませんが、仕事の無い人生は考えられないし、ずっと働いて生きていきたいなぁと思っています。だから1日平日は16時間とか18時間働いて、酒飲んで寝る。これで僕はすごく幸せです。ウルグアイのムヒカ元大統領だったような気がしますが、彼はとても清貧な生活っていうんですか、贅沢しなくて物質にとらわれるなとか、まぁちょっと理想主義的なこともたくさん言うんですけど、とても良いなと思ったのが彼が言っていた「お金っていうのはあなたが仕事で費やした時間の対価だと。そして、その稼いだお金で大抵は何でも買えてしまうが、唯一買えないものが一つあります。それは時間です」。なのでいくら稼げてもその仕事が楽しくないとか不幸だなと思ってる仕事に僕は1秒たりとも時間を費やしたくないですし、逆に楽しいなぁとか、辛いけど良い結果が見られて皆んなで楽しめたら最高だなっていう… そんなものに時間をかけて生きていきたいなと思ってます。