ON AIR DATE
2019.09.15
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  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54
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Theme is... 秋の旅

『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。


★★★★★★★★★★

---- 訓市26歳、戸惑いながらも日本を飛び出した“秋” ---

前半は番組リスナーから寄せられた旅にまつわるメッセージと
その曲のまつわる曲をオンエア! 訓市の“質問返し”も聴きものです。

後半のテーマは「秋の旅」。
今から20年前、訓市が26歳の時に受けた仕事で
世界の旅に出る直前の決心、
最初に降り立ったロンドンでの焦りと責任感、
その地で過ごした日々とは?
珍道中の中で世紀末という歴史的瞬間を海外で迎えて
感じたことについて語る。


★★★★★★★★★★

番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
「旅」に関する質問、「旅先で聴きたい曲」のリクエストでもOK!

手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
メールの方は番組サイトの「Message」から送信してください。

リクエスト曲がオンエアされた方には番組オリジナル図書カード、
1000円分をプレゼントします。
皆さんからのメッセージ&リクエスト・・・ お待ちしてま〜す!!


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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
antenna* TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2019.09.15

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

Dark Necessities / Red Hot Chili Peppers

2

Don't Look Back In Anger / Devendra Banhart

3

Marvin Jaye / De La Soul

4

Dog Years / Maggie Rogers

5

Under My Skin / Determinations

6

12 O'clock / The Irresistible Force

7

Happy Cycling / Boards Of Canada

8

Viele Schone Jahre / Folke Jensen

9

Little Martha / Allman Brothers Band

2019.09.15

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。


Kunichi was talking …


★★★★★★★★★★

9月っていうのは段々日も短くなっていくとはいえ、まだひょっとしたら夏は終わっていないんじゃないのっていう藁にもすがる思いに希望を持たせるような日があったり、秋はやだなぁと思っているとまだセミがミンミン鳴いていたりして諦めのつかない恋のようなそんな月だと思います。皆さんもきっとご理解いただけると思うんですけれど。バックパッカーを僕がやっていた頃っていうのはこの9月ぐらいっていうのが結構旅立ちの時期でもありました。まぁ居た場所もそろそろ夏も終わったし移動しようかと、そんな時期でした。長く居た街なんかだとちょっと寂しいんですけれども、それと同時に新たな旅立ちの時期というそんな感じの月です。振り返ってみれば僕はちょうど20年前の1999年の今頃、初めてのまともな仕事である「スプートニク」というインタビュー雑誌を作り始めて日本を出るかって決めたのがちょうど今ぐらいの頃でした。世紀末と騒がれた1999年、ノストラダムスの預言を半分信じ、もしくは半分頼りにしてキリギリスのような生活を正当化していたんですけれど何も起こらず、楽しかった海の家での夏も終わり、さぁ現実が攻めてきてこれから何をしてどこに住もうと思っていた26歳の9月。雑誌を作ってみないかというお誘いに、自分が必要な本なら作れるんじゃないかと引き受けたものの、どうしたものかと戸惑いだしたのがちょうど今の時期でした。最初は“本当に人に飛行機のチケットを買ってもらえる!それで旅行して良いのか!”と大喜びしていたものの、逆に飛行機代まで出してもらって何もできなかったらどうしようと段々物事をシリアスに考え始めていた頃でもありました。たしかアメリカ系の飛行機会社の世界一周チケットを買ったことを覚えています。今もきっと一緒だと思うんですけど東回りで行くか西回りで行くかと決め、そこから世界何都市までストップオーバー出来るっていう世界1周のチケットっていうのが当時は売ってました。それが3ヶ月で出発日がフィックスのもの、それともっと長くて最長1年なんですけどオープンチケットっていうタイプのもの。僕は出発の日付をその期間内なら変えられるオープンチケットで確か20万円ぴったりぐらいだったと思います。まぁ世界一周チケットを買うっていうのはすごく夢で、っていうか結果的に世界一周になってることはあるんですけど最初にその周遊チケットを持てるっていうのは何かものすごく嬉しくて、最初はその前の年まで住んでいて知り合いの多いロンドン行きの西回りのチケットを買って出発しました。まぁたかだか1年も行かないというか数ヶ月で1度は帰ってこなきゃと思った旅だったんですけど、とうとう訓市が仕事でチケットを人に買ってもらって旅行に行くらしいということで仲間が集まって何回かお別れ会を開催してくれまして、そんなことをしてもらう度に仕事で行くぐらいでそんなに喜ばれるほど俺はダメな人間なのかっていうのと、ここまでちゃんとやってもらって手ぶらでは帰れないなと段々その回数を重ねる度に気分も重くなっていったんですけれど、意を決して行ったロンドンに着くと、まさに夏が終わり、あっという間に日が落ちていくのが早くなる時期で。それが取材先が見つからない焦りをさらに助長してどうしようどうしよう、とはいえ外にいるのはまだ気持ちも良かったりして夜は友達とパブで飲んで肩を組んで歌ってしまい、居候先に帰る頃には次の日を考えて落ち込むという日々を繰り返していました。


★★★★★★★★★★

ロンドンに着いてからはとにかく珍道中の連続で、いくつかについてはこの番組でもお話ししたことがありますし、いくつかはまだお話ししていないのでタイミングを見て話そうと思うんですけど、ただ、こう話していてこの時に旅に行けて幸運だったなぁと思うのが世紀末の世界っていうのを自分の目で確かめられたことです。ちょうど20代になったぐらいですかね、1993〜4年辺り。いよいよ10年未満で20世紀が終わり新しい世紀21世紀がやってくるというのがだんだん現実のものとして視界にちらつくようになりまして、その頃からぼんやりと100年に一度しかない世紀末というものを自分の目でなんとか見られないものかと思うようになっていました。そして、この99年の頃っていうのはニューヨークは例えばまだ9.11の2年前で、ジュリアーニという強い市長がまだいた頃かな、景気も治安も良くなって活気もすごくありますし、とはいえまだダウンタウンが開発の嵐にはなっていなくて、ブルックリンに出掛けるっていうと「何しに?」と全員に聞かれるような時期でしたし、ロサンゼルスはまだまだ「あそこの道から先は行ってはダメだ」っていう治安の悪い所だらけで、今オシャレになっているダウンタウンなどまずというか絶対に避けて通る時代でした。ロンドンはまだ“クールブリタニア”と呼ばれた色んなカルチャーとか景気の良さの残り火がまだ残っていて、ちょうど海外からの大金持ちたちがこぞってロンドンに引っ越し始めて中心部から友達たちが郊外にどんどんどんどんと追われ始めた頃ですけど、でもまだ何人も中心部には住める者もいて今思うと海外資本が世界の都市を席巻してどこも均一化していく前の本当に最後の輝きだったんじゃないのかと思います。都市の中心にその都市のローカルの若者たちがまだたくさんいて、個人商店がたくさんあって商売をしている、そんな時代でした。僕はそんな彼らの街を通過していく旅行者の一人としてその土地の空気を吸って、料理を味わい、人情やその街の特徴っていうものを味わうことが出来ました。それを世紀末の心がウェットティッシュくらい湿りに湿った夏の終わりに見ることが出来たのは本当にラッキーだったと思います。夏の初め、全てが明るくて、これから楽しいというバラ色の季節に旅をするっていうのはもちろん色んな出会いがあって楽しいんですけど、まぁ今から特にヨーロッパとかニューヨークなんていう四季があるちょっと冬が寒い都市に秋から出掛けていくっていうのは実は観光客が減ってその地の人たちの通常の生活を感じれたりする一番素敵な時期だと思います。考えてみれば僕も夏前にいつもどこかに出掛けていて楽しかったなぁと思うんですが、帰ってきて楽しかったっていうことは覚えてはいるんですけど、その中で何を自分がしたのかなと思うと楽しかったとしか覚えてないんです。やっぱり秋とか冬の方がそこの子たちとじっくり話し込んだり何かを見に行こうとか、誘惑が夏より少ないのかもしれません。是非、これから10月、11月と秋休みが取れる学生さんもいるでしょうし、観光シーズンのど真ん中じゃない時、逆に休みを取りやすい人は是非取って、こういうヨーロッパとかアメリカとかに行ってみてください。