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訓市が antenna* からセレクトした記事は・・・
Supreme サンフランシスコ店のオープニングパーティに潜入
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Theme is... San Francisco
『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
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--- 無心で雑誌を読み漁った10歳の頃の童心に帰った夜 ---
番組前半はリスナーの皆さんから手紙、はがき、メールで寄せられた
旅のエピソードと、その旅に紐付いたリクエスト曲をオンエアします。
訓市の“質問返し”にもご期待を!
後半のテーマは「サンフランシスコ」。
マーケット通り沿い「ユニオン・スクエア」からも程近い
街の中心地にオープンしたシュプリームのオープニング・セレモニーに
出席して・・・
スケート界のレジェンド達も顔を見せて童心に帰った訓市が感じたこと、
夢のような時間を過ごしたサンフランシスコでの一夜について語ります。
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番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
「旅」に関する質問、「旅先で聴きたい曲」のリクエストでもOK!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
メールの方は番組サイトの「Message」から送信してください。
皆さんからのメッセージ&リクエスト・・・ お待ちしてま〜す!!
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
This Is No Time / Paul Weller
Take My Breath Away / Berlin
Drive / Julio Iglesias
Voila / Francoise Hardy
眠れぬ夜 / フジファブリック
Thinking Of You / Lord Echo
Feel Like Makin' Love / D'Angelo
Scale It Back / DJ Shadow
Leaving Home / Yo La Tengo
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
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先週は「シュプリーム」というブランドの話だけで終わってしまったので、今晩はサンフランシスコで何をしたかという話をしたいと思います。僕がサンフランシスコに行ったのは「シュプリーム」のサンフランシスコ店のオープンということで、本拠地のニューヨークを始めとしてロサンゼルス、パリ、ロンドンと色んな街からシュプリームの仲間たちが大勢集まってきました。着いた日の夜にまず何をしたかというと、店のオープンを記念して作られたスケートビデオの上映会でした。坂の街サンフランシスコというのは昔からスケーターが多くて、そのカルチャーの中心地の一つでもあるんですが、そのノリというのはどこか独特なローカリズムというものがあります。まぁ元々こんなに坂の多い街っていうのも無いですから滑り方も違うんですけど、その始まりっていうのがこの番組でも何度もその音楽をかけているトミー・ゲレロという人で、彼もサンフランシスコ出身でストリートスケートの元祖と言われていて、今はあの急な坂道を集団でノンストップで滑り降りるクレイジーな集団「GX1000」というチームもいたり、本当に独特です。このビデオ「キャンディランド」にはシュプリームに所属するスケーターだけはでなくて、「GX1000」の子や他のローカルのスケーターたちも沢山登場していて、地元の子がスクリーンに出てくる度に大歓声が上がって、こんなに盛り上がる上映会というのは初めてでした。それもちゃんと地元と一緒に新しいものを作っていこうっていう気概を示すもので、ちょうどこの上映会にゲレロ本人も呼んで一緒に見たのですが、「本当にちゃんと地元の子たちとシュプリームのチームが混じっていて素晴らしいな。これはしばらく新しいものが無かった街も面白くなるかもしれないぞ」とすごく上機嫌で、いつもなら人が多いとすぐ苦手で帰ってしまうんですけど、この日ばかりはいつまでもカウンターに残って大好きなテカテビールを山のように飲んでいました。全米有数のリベラルな街ながら、どこかよそ者とか企業が付いてるものとかメジャーなものにはものすごくアンチというか排他的なシスコの街。その街のスケーターたちもこの一晩でとてもこの新しいお店のクルーというのを仲間として受け入れたようでした。上映会の後はお祭り騒ぎでみんな道に出てそこで飲んだり、スケートしたり、誰かが花火を打ち上げたり、まぁどれもこれも多分違法なんですけど、通りを走るお巡りさんたちも別にこんなことよりもっと大事なことがあると言わんばかりで、前を走っても一切無視という… さすがリベラルな街だと思いました。すっかりご機嫌になった僕らは近くのビリヤード台のあるバーに移動して、そこが閉店になるまで飲みまして、閉店になると「これからどうする?」「いや、あのグループが泊まってるホテルの屋上に抜けられるエレベーターがあるぞ」ということでケースで誰かが買っておいたビールと簡易式のスピーカーを持ち込んで、屋上で延々とビールを飲むことになりました。そこから眺めるシスコの街は本当に街灯の明かりが綺麗で、やがてそれが朝日に混じるまで僕らは延々とビールを飲みながら景色を眺めていました。
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初日から飲んでしまい翌日が辛かったんですが、翌日こそ店のオープニングで本番でした。場所はマーケット通り、東京でいえば明治通りのようなメインの大通りの一つで、丸の内というか新宿というか「ユニオン・スクエア」という中心地のすぐ近くです。とは言えここは治安が悪いことで有名な「テンダーロイン地区」のすぐ近くで、店の前やその先の角を曲がったところには朝から酔っ払ったホームレスたちが不思議な踊りをしていたり、奇声を上げていたりという割とすごい場所にあります。そもそもシュプリームが店を出す所というのはニューヨークでもロサンゼルスでも中心地とはいえ、いわゆる商業地区ではないちょっと離れた可笑しな場所が多くて、今回もそれと同じセオリーなんですが… まぁその中でもレベルが数段上がったという感じでした。ただ、この店のオープンのためにロスから引っ越してきた友人のベトは「昔と一緒だよ、ロサンゼルスとかのお店とかと。きっと僕らがお店を開けた後に他の誰かが店を近くで開けて、やがて治安も良くなって人の集まる街になるんじゃないかな」と言っていました。大きな倉庫を改造したような店は中にスケート用のボウルもあって、今まで見てきたお店の中で一番大きなものでした。そして夕方の6時になると、ぞろぞろぞろぞろと野郎ばかりがどんどんと集まってきました。その昨晩にも会ったゲレロやサンフランシスコを代表するアーティストのバリー・マッギー、そしてベイエリアに住む様々なレジェンド・スケーターたちも集まってきました。僕らがとにかく憧れた、アドレナリンが出すぎて怪我をしても何をしても恐怖心がないと有名なみんなのボス、ジュリアン・ストレンジャーに、スケートだけじゃなくて古いハーレーやアメ車を改造してぶっ飛ばすジェイソン・ジェシー・・・ まぁこんな人たちまでまさか出てくるとは思わなくて、思わず自分も年齢を忘れてスケート雑誌を夢中で読んだ10歳の頃のような感じに戻ってはしゃいでしまいました。とにかくこの時の雰囲気っていうのは素晴らしく良くって、ヘルメットを付けて張り切ってボウルを滑りにきた10歳にいかないような子供から上は50歳オーバーまで、年齢を超えてみんなが集まってワイワイ騒げるというのは「スケート」という共通言語を持つ人たちの特権だと思います。とても素晴らしい楽しいオープニングになりました。そして、それが終われば今度は「ちゃんと飲むぞ!」ということでアフターパーティ会場に移動しました。大きい内庭付きのクラブで、そこでみんな酒を片手に大騒ぎしましたね。シスコを始めとする北カリフォルニアは10月ぐらいに一番暖かい小春日和のような天気が続く「インディアンサマー」と呼ばれる時期があるというのは前にも話したことがあると思いますが、今回の滞在中は僕が今まで経験した中でも一番のインディアンサマーっぷりで、日中は気温が30度近いというか、もう本当にTシャツじゃないといれなかったですし、夜もずーっと動かなければちょっと羽織るものが1枚ぐらい。でも、僕らは騒いでるんでTシャツでOKぐらいの暖かさで、中のフロアでどんなに良いDJが良い音楽をかけても誰も中に入ろうとしない・・・ 気持ちの良い夜風とお酒には、どんな名曲も爆音も勝てないんだなぁ〜と気づかされる夜でした。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。