★★★★★★★★★★
訓市が antenna* からセレクトした記事は・・・
世界のカクテル人気が止まらない!大定番「カンパリ」の魅力を再発見
★★★★★★★★★★
Theme is... CAMPARI SODA
『Travelling Without Moving』=「動かない旅」をキーワードに、
旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
★★★★★★★★★★
-- 機内でカンパリソーダをオーダーした時に思い出す女性 ---
番組前半はリスナーの皆さんから手紙、はがき、メールで寄せられた
旅のエピソードと、その旅に紐付いたリクエスト曲をオンエア!
さらに、お悩み相談や選曲のオーダーにもお答えします。
訓市の“質問返し”にもご期待を!
後半のテーマは「カンパリソーダ」。
訓市がバックパッカーだった時に知り合った今は亡き女性との思い出、
カンパリソーダにまつわるエピソードについて語ります。
★★★★★★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
「旅」に関する質問、「旅先で聴きたい曲」のリクエストでもOK!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
メールの方は番組サイトの「Message」から送信してください。
皆さんからのメッセージ&リクエスト・・・ お待ちしてま〜す!!
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
The Boxer / Simon & Garfunkel
Give It All You Got / Chuck Mangione
Cattails / Big Thief
Easily / Bruno Major
Long Season (Part 2) / フィッシュマンズ
Leila (Poolside Remix) / Miami Horror
I'll Be Around / The Spinners
It's Nice To Be Alive / Vegyn
Campari Soda / Taxi
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
★★★★★★★★★★
みなさんは飛行機に乗る時に機内誌って読みますでしょうか?僕は新しい号が出ていると必ず目を通す派です。若い頃は、と言っても今でも割とそうなんですけども海外系の航空会社の飛行機に乗ることが多いので昔は特に英語で書かれたものばかりしか目にすることがなかったんですけれども。長く旅行をしていた頃っていうのはいつも読むもの、活字に飢えていまして、それこそ機内誌というのはもう初めから終わりまで舐めるように読んでいました。読むところがなくって載っている空港の地図まで読んだぐらいです。機内誌というのはその飛行会社が飛ぶ先の街の特集をよくしたりするじゃないですか?そこにある歴史的な建築物の話とか、変わった店とか。そして昔の機内誌には放送する音楽番組の曲名も全部書いてありました。巻き戻しや早送り機能なんか全く無くてですね。飛んだら4・5チャンネルある番組が同時に始まって、それが到着するまでループで延々とかかる。途中から聴きだすとどの曲だか分からなかったりして、その後に「あっ、この曲良いな」っていうのがありますとずーっと聴きながら曲番を機内誌と確かめていってタイトルを調べたりしたものです。そうやって出会った曲の中には今でも聴いている昔の曲とかたくさんあります。そしてそんな音楽を聴きながら、行ったことのない国の知らない街の記事を読んでは、いつかその街まで行ってみたいなぁと夢みたものです。飛行機でいうと僕は今2つの提携グループの飛行機をですね行き先によって選んでるんですけれども、先月めでたく両方の提携グループのマイルがプラチナに達しました。1つだけ絞っていればダイヤモンドっていうやつなんですけども、まあそう絞れないのが人生。片一方の方は使ってないマイルが120万マイルぐらいありました。マイル長者です。人生累計のマイル数っていうのも計られるんですけども、そちらの方はもう少しでミリオンマイラー。1000マイル到達というやつですか。その飛行機会社、乗りだして10年ぐらいなのでよくもまあこんなに乗ったなーと思ったんですけども。僕の友達がその航空会社でミリオンマイラーになった時は、死ぬほど2日酔いで座席の中で吐くか吐かないかという時にですね、フライトアテンダントさん達が何人も集まってお祝いのシャンパンを持ってきてくれて死ぬかと思ったと言っていました。僕はある時期から飛行機に乗ると気圧のせいか頭がやたらと痛くなることがあり、どんなに2日酔いで飛行機に乗っても頭痛薬をまず飲んで酒はあまり飲まなくなりましたが、昔はカンパリソーダを頼むことにしていました。その理由は今月ちょうど、もしANAの飛行機に乗った皆さんがいたら機内誌『翼の王国』に書いています。
★★★★★★★★★★
その今月号の『翼の王国』に書いてあるんですけども、僕がまだバックパッカーの頃に出会ったスイス人の女の子がいました。同じくバックパッカーの友達がバリで遊んでいる時に出会い、「次はどこへ行こう」と聞かれて「東京に来れば良いじゃない」と言うとそのままふらりとやってきた子でした。英語も片言であまり上手く喋れない子でしたが、妙なエネルギーのある人でした。フラッと現れてはいつの間にかいなくなってしまう。その子が余命ある病気持ちであると後で知ったんですけども、びっくりすると共になんとなくそれがあの毎日を無駄にしないというか刹那的というか、余力を一切残さないような時間の過ごし方の理由なのかも思いました。そんな彼女が旅に出た理由を話してくれたことがあったのですが、それが「カンパリソーダ」という曲でした。「カンパリソーダをもう1杯、雲の海が僕の下に広がりエンジンは静かに唸っている。もはや僕が存在していなかったように」歌詞の内容っていうのはこんな感じなんですけども。Taxiというバンドが放った1発屋的なヒット曲らしいのですが、その曲を聴いて彼女は、まだ世界を見たことがないことに気づいて、私も飛行機に乗って世界を周って、飛行機の窓から景色を眺めたいと旅に出たのでした。「死ぬ前に世界を私は見たと言いたい」と言っていた彼女はもう亡くなってしまったんですが、この話がいつも心にひっかかって、ずっとその曲を聴いてみたいと思っていました。けれどもそれは90年代の話。当時はバンド名もタイトルも分からず、ただカンパリソーダのことが歌詞に出てくるだけということしか彼女も話してくれませんでした。もう10年以上前になりますけども、この話を知り合ったフランス人に話すと、あとからメールでこの曲なんじゃないかと言ってYouTubeのリンクを送ってくれました。「スイス系ドイツ語で書かれているから細かくは分からないんだけれども、多分話してくれた通りの歌の内容だからこれで間違ってないんじゃないか」と。聴いてみると僕が10年以上想像していた通りの、いやそれ以上の曲でした。目を閉じると、まるで自分が飛行機の中にいて、確かに窓の外には雲海が広がって、遠くに行きたいと祈るような感じの旅の途中を思い出させてくれる曲です。こうやって話しているとカンパリソーダが飲みたくなってくるんですけども。ビターオレンジと様々な薬草が入った少し苦いリキュールをソーダで割ったカクテル。僕が若い頃は女性がよく飲んでいた気がしますが。これから掟破りの2度目がけなんですけども、Taxiの「カンパリソーダ」をかけたいと思います。皆さんもしお家にいて、カンパリを持っているという方がいましたら、今急いで用意してぜひ僕の古い友人のためにもこの古いカクテルを飲みながら聴いてみてください。きっといつか行った時の旅の風景が目に浮かぶんじゃないのかなと思います。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。