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訓市が antenna* からセレクトした記事は・・・
昭和・平成の名残が色濃く残る!大阪・アメ村で人気の『ニューライト』s
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Theme is... セイロンライス
『Travelling Without Moving』=「動かない旅」を
キーワードに旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽を
お届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
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--- B級ではなく、S級!---
番組前半はリスナーの皆さんから手紙、ハガキ、メールで
お寄せいただいた旅のエピソードと、
その旅に紐付いたリクエスト曲をオンエア!
選曲のオーダーや悩み相談にもお答えします。
後半のテーマは「セイロンライス」。
昨年末に足を運んで魅力を再発見した大阪に再訪した理由…
なぜ、訓市は「大阪」に魅せられるのか?
本人曰く他称「B級グルメ王」の訓市が
どうしても食べたかったもの、その味とは?
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番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
「旅」に関する質問、「旅先で聴きたい曲」のリクエストでもOK!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
メールの方は番組サイトの「Message」から送信してください。
皆さんからのメッセージ&リクエスト… お待ちしてます!!
現在、次のプレゼントを製作中です。そちらもご期待下さい!
完成次第、番組内でお知らせします。
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Wet Sand / Red Hot Chili Peppers
Driving In Your Car / Donna Resina
Wish You Were Gay / Billie Eilish
Circus / Jay Dee
Battlecry / Nujabes feat.Shing02
Everybody / Mac Miller
Alone Again / Biz Markie
Should I Take You Home / Bobby Oroza
In Another Time / Sade
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
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去年の暮れも大阪に行ってきて良かったっていう話をしたんですが、再び先日大阪に行ってきました。去年行って大阪はやっぱり楽しいなあぁ〜 良い意味で雑多な感じがあるし、行き交う人にはパワーもあるし、東京よりひょっとしたら全然良良いんじゃないかという感想を持ったわけです。とにかく東京ほどむやみに大きくなくてコンパクトですし、まだ都市計画が進んでいないからかもしれませんが、大通りから1本入れば雑居ビル天国ですし、安くて美味しいご飯がたくさんあるし…。この安くて美味しいというのが重要でして、僕は安くて美味しいご飯が大好きなんです。もちろん美味しければ高いものも好きなんですけど、高い店っていうので好きなお店が非常に少ない。それは決して料理が良くないっていうわけじゃないんですが、だいたいそれをやってる店の人がえらく気取っていたり、それよりも何よりもお店にいるお客さんの醸し出すバイブスというのがどうも苦手だというのが多いわけです。だいたい人に誘われて「最近できた星付きの良い店があるよ」みたいな所に連れて行ってもらったとすると、周りから聞こえてくるのは「ここは予約が普通取れないんだよ」と言いながら俺様が取ってやった感をバリバリ出すオジさんとか、「元々、どこどこでやってた人がやっててね、特別に頼んで席を取ってもらった」と踏ん反り返るオジさんとか、お金とか自分の自慢ばかりしていて、この店に来たのは目の前の女性を口説く為だけだろうという感じをよく目にするからです。きっとシェフも色んなところで修行して、好きな素材で美味しいものを作れる環境になって、それを美味しく食べて喜んでもらおうと思っていたはずなんですけど、こういう気持ちでも食べる人たちがそれを喜んで食べていないようなのっていうのはどうなんでしょうかね。まぁそれは何も日本に限ったことではなくて世界共通ですけど、海外に行って最新のすごいレストランで会食があるっていうのがやっぱりあったりして行くと、どうにもこうにも居心地が悪くてついつい外に行ってタバコを吸ってしまいます。海外に行く時も大体は地元の友達が日常的に食べられる美味しい所、つまり定食屋と言われるような店ばかりに行きがちなのですが、そのせいで日本では「訓市はB級グルメ王だ」「B級グルメ好きだね」と言われたりするんですけど、僕はそう言われると割と憤慨するんですけどね。何故なら、B級だとは決して思っていないからです。外から見て外見はB級でも僕の心の中ではA級、いや「幽遊白書」的に言うとS級なんです。僕が好きな店の共通点と言いますと、まず第1に外見がチャラチャラしていないこと。たとえボロくてもお客さんがたくさんいるということは、味で勝負していて人が集まっているということですから。そして、価格が安いというのもまた大事です。僕は気に入ると3日連続ぐらい同じものを食べるのが平気な口で、この連続でイケるっていうのが大事です。安ければどんなに経済状態が厳しい友達にでも喜んで紹介できるっていうのも楽しいところです。そして客層がバラバラというのもまた気にするポイントです。オジイさんやオバアさんから金のない若者、そしてお独りで来る女性が満遍なくいる店っていうのは確実に美味い店です。さらに大事なのが感じの良い接客をしてくれる店の店員さん達です。寡黙ですが仕事ぶりから背中で生き様を語る店主や、どんなに混んでいても笑顔で接客してくれるオバさん。思わず「お釣りはいりません」と言ってしまいそうな雰囲気の店に僕は惹かれてしまいます。
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で、大阪です。大阪にはあるブランドのオープニングに呼ばれて行ったんですけど、僕はオープニングとかっていうのが割と苦手で、10回誘われて1回行くかどうかなんですが、何故、今回はわざわざ大阪に泊まりで出掛けたかというと、それは大阪でしか食べられないカレーを食べたくて頭を掻きむしっていたところだったからです。「そうですよね。野村さんはパーティーとかいらっしゃいませんよね。特に大阪なんて遠いですから」って言われまして、「えっ?大阪? 行きます!」。それはアメ村近くにある『ニューライト』というお店の看板メニュー「セイロンライス」が食べたかったからです。大阪に住む同い年ぐらいの友達には「訓ちゃん、アメ村なんて行くの? そんなに気が若いの?」と言われるぐらい若者が溜まっているようなエリアからちょっと入った所にあるお店です。店構えははっきり言って綺麗ではありません。昔、友達に店を教えて「是非食べてくれ」って言ったところ、「間違って変な所に来ちゃったよ」と写真を送ってきたことがあります。「ここだよ」と言って「合ってるんだ…」っていう返事が来るぐらい割と強烈な店構えです。一瞬どこに入り口のドアがあるのか分からないほどのステッカーを無数に貼られたファサード。ぱっと見はブロンクス辺りにある地元のソウルフード店のような面構えです。中に入れば昼でも薄暗く、そこを訪れた有名人たちの色紙で埋め尽くされ、アウェイ感はさらに高まります。その中で数あるメニューの中から余計な欲を出さず選ばなければならないのが「セイロンライス」。スリランカの旧称であるセイロン、南の国の風景を想像しているとあっと言う間に出てくるのが昔ながらのアルミトレーに盛られた「セイロンライス」。カレーの匂いはするものの、見てくれっていうのは全てが混ざっていて真っ茶色のカレーリゾットという感じです。そして、そこの中央には卵の玉が。これで500円。これにちょっと贅沢しようかなと思うとビッグカツのように薄いカツも乗っけられてそれで700円。ここは迷わずカツ乗せでいきましょう。ここからは大体食べ終わるまでに2〜3分ですね。今回も初めてだっていう男の子3人と行ったんですけど、食べ始めてからは誰もがスプーンでアルミ皿をカツカツ鳴らしながら一気喰い。と言うか一気飲み。「カレーは飲み物です」と言ったのは誰でしたっけ? アインシュタインでしたっけ? 違ったとしてもそうだと納得するほどの喉越しです。玉ねぎと細切れの牛肉が少し、デミグラスソースがベースのちょっとカレー風味。一体どこがセイロンなのかさっぱり分かりませんが、食べ終わった後には確かに受け取るセイロン魂。どんな二日酔いでも食べられてしまいますし、なおかつ胃にもお財布にも超優しい。そして、いつ行っても丁寧に笑顔で接している本当に感じの良いおばさん。朝の5時まで飲んで這いつくばるような思いで11時の開店と同時に駆け込んだ朝に心ゆくまでその味を堪能しました。どうですか皆さん、聴いているうちにお腹が減ってきたんじゃないんでしょうか。本当に、本当に美味しいです。是非大阪に行ってみてください。食べ物が目的の旅っていうのも面白いと思います。そして、この番組を聴いている誰か、是非、僕をまた大阪に呼んでください。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。