ON AIR DATE
2020.03.01
BACKNUMBER
  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54

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訓市が antenna* からセレクトした記事は・・・

都市景観をお金に換えられない残念な国「ニッポン」 - 加谷珪一 経済ニュースの文脈を読む

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TUDOR logo

Theme is... 観光客

『Travelling Without Moving』=「動かない旅」を
キーワードに旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽を
お届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。


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--- そろそろ、僕ら自身が考える時期 ---

番組前半はリスナーの皆さんから手紙、ハガキ、メールで
お寄せいただいた旅のエピソードと、
その旅に紐付いたリクエスト曲をオンエア!
選曲のオーダーや悩み相談にもお答えします。

後半のテーマは「観光客」。
ウィルスの流行が収まらない中、海外からの観光客激減
という大問題に直面している現在の日本。
見慣れた景色の中で海外旅行者をほとんど目にしなくなった
現実を目の当たりにして訓市が感じたこととは?
10年先ではなく50年以上先を見通した街作りについて
今、訓市が思っていることについて語ります。


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番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
「旅」に関する質問、「旅先で聴きたい曲」のリクエストでもOK!

手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
メールの方は番組サイトの「Message」から送信してください。
皆さんからのメッセージ&リクエスト… お待ちしてます!!

現在、次のプレゼントを製作中です。そちらもご期待下さい!
完成次第、番組内でお知らせします。


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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2020.03.01

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

Here Comes Tha Rain Again / Eurhythmics

2

Love... Thy Will Be Done / Martika

3

Blue Lights / Jorja Smith

4

Talk / Khalid

5

Midnight Blue Train / 浜田省吾

6

Should Have Known Better / Sufjan Stevens

7

The Killing Moon / Nouvelle Vague

8

Flamenco Sketches / Miles Davis

9

Loaded / Primal Scream

2020.03.01

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。

Kunichi was talking …


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旅番組で、通常は自分たちが観光客なんですけど、まぁ外の観光客について今日は話してみようかなと思います。今、コロナウィルスの流行で世界中が大騒ぎになっています。これだけ人やものの移動が激しくなると、今まではどこか遠くの国での関係ない話だと思っていたことが、数日後には日本で実際の問題になったりするわけです。僕がバックパッカーだった90年代の頃っていうのは、アジアの色んな所で色んな病気が流行ったりしていました。「どうもインドのあの辺りではマラリアが流行っているから行かないほうがいい」「あそこの街には赤痢が出たらしい」など、僕らは他の旅行客や地元の人と情報交換をして、どうやったらそこを避けて移動出来るかとか迂回したりして移動したものでした。流行地さえちゃんと把握していればそれなりに危険は防げる。そういう風にどっか僕も思っていましたけども、今では違います。移動のスピードが増して、色んなところに溢れる世界中からの旅行客があっという間に病気を飛行機で運んだりして拡散してしまうからです。ましてや今回は発生源がお隣の国・中国。人やもののやりとりがとっても激しい国ですから、危険度はかなり増します。そんな中で僕らの国、日本っていうのは島国ですから、どうも国境で陸続きに繋がっている国と比べて、こういう危険に対しての感覚が鈍いのかなという気がします。通常は全てが海を越えてやってくるのだから、その入り口をちゃんとしておけば大丈夫というような感覚。もし僕らの国が大陸にあるとしたら、きっとそんな簡単には考えなかったと思います。そしてこれからはその意識っていうのを変えていかないといけないのかなと感じています。ネットで24時間世界が繋がっているように、実は人もものも同じように繋がっているのです。それにしても今回思うのは、分かっていたと理解していると思っていたんですが、いかに日本に中国人の観光客がたくさんいて、色んなことを頼っていたかということです。ニュースを見ますと、訪日外国人の数が年間3,000万人を超えて、今年は4,000万人を目指しているとか、インバウンドの売り上げがかなり貢献しているとか。銀座とか渋谷、新宿などというターミナルの場所は外国人観光客がたくさんいて、ずいぶん昔に比べて増えたなぁ〜とどこか他人事のように感じていた人も多いと思うのですが、実際に彼らの姿が目に見えて減った時の光景を見ると、いかに僕らの日常で見かける街の中で彼らがその大多数を占めていたのかっていうことに驚くとともに、日本人だけの数っていうのがいかに少なくなっているかっていうことにびっくりしました。



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僕の友達の中には最近オープンした大規模な商業施設に店を出している服屋の知り合いとか、飲食をやっている人なんていうのがいるんですけど、皆んな「中国人観光客がいなくなって売り上げがやばい」とか「保たない」と悲鳴をあげています。「建物内がもう新築なのにガラガラだ」とか、「家賃がこれから払えるんだろうか」とか。渋谷の夜の街を歩いてみると、人通りも目に見えて減っているような気がします。もちろん自衛の為に人混みを避ける人が増えたので、日本人の数自体も減っているんでしょうけど、それにしてもなぁ〜という感じです。観光客を増やして、オリンピックで人を呼んで、売り上げをさらに上げるという国の政策だったと思うんですけど、このままだと思いっきり当てが外れそうな雰囲気です。けれども僕は、これはちょっと不謹慎な言い方かもしれませんけど、今後の日本にとっての良い機会というか考えるきっかけになるんじゃないのかと思います。と言うのも80年代・90年代、ヨーロッパやアメリカの都市に行くと見かけるアジア人というのは日本人しかいませんでした。ちょうど今の中国人観光客と同じで、お金を稼ぐようになった我々は色んな場所に出かけて物を買いまくっていました。そして文句もたくさん言われたりしていました。けれどもやはりそれは永遠に続きません。日本人がそうやって「世界中で世界を買う気か」って言われていたのは期間に直すと10年も保たなかったんじゃないんでしょうか。けれどもその代わりに中国人や台湾人とかシンガポールの人、タイ人、他の国の人たちが増えていきました。そうやって思ったのは入れ替わりで他の国の人々を招き入れることが出来た世界の街っていうのはそれぞれに人を惹きつける魅力があって、それをキープする努力をしているわけです。例えばどんな人でも「海外に行きたい」って言ったらいつかパリに行ってセーヌ川で写真を撮りたいわ…っていう人が多いと思うんですけど、あの街はいつの時代から変わっていないのか分からないほど街並みをキープしていて、きっと現地の人には不便があるんでしょうけど、それを変えることがありません。例えば経済や文化の一大発信地であるニューヨークというのはジャンジャカお金を突っ込んでそのエネルギーを止めないことで世界から人の流れを止めない、それが人を惹きつけるきっかけになっています。綺麗な海のリゾートも環境を守らなければ人が来なくなることに気づいた所っていうのは今、必死でそれを守っています。日本は?そして東京はどうなのか?中途半端な新しい商業施設をたくさん作っても、そういうものっていうのはもっと資金のあるもっと新しいものを作る国、例えば中国の上海とかにすぐ勝てなくなるんじゃないのかと思います。今回のウイルスの件で中国人だけに頼るインバウンドは改めるべきとか、そもそもその前に韓国との問題の中で韓国人観光客に頼っていた地方もやり方を変えるべきだっていう話もちらほら出ていましたが、それだけじゃなくて持続可能な魅力ある国とか街っていうのをそろそろ考えないといけないんじゃないのかと思います。中国にしたっていつまで景気が良いか、そしてあの国も少子化を迎えていますから10年経ったら観光客が減るかもしれないわけです。そんな時に「東京に行きたい」「日本に行きたい」っていう魅力のある街っていうのを作らない以上は観光大国っていう風にはなれないと思うんですよね。そしてそれは大名行列で海外視察を繰り返す政治家の人たちではなくて、僕ら自身が考えていかなければならないことなんじゃないかと強く思いました。