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訓市が antenna* からセレクトした記事は・・・
コロナに負けるな!映画業界─日米で「ドライブ・イン・シアター」再興の流れ | 今こそエンタメの出番です
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Theme is... 動かない旅
『Travelling Without Moving』=「動かない旅」を
キーワードに旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽を
お届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
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--- 番組タイトルについて、改めて考える ---
番組前半はリスナーの皆さんから手紙、ハガキ、メールで
お寄せいただいた旅のエピソードと、
その旅に紐付いたリクエスト曲をオンエア!
選曲のオーダーや悩み相談にもお答えします。
後半のテーマは「動かない旅」。
自粛、在宅勤務、不要不急の外出は避ける・・・
誰もが閉塞感を感じる中で訓市がとっている行動とは?
こんな時だからこそ実践して欲しいおススメの旅について語る。
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番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
「旅」に関する質問、「旅先で聴きたい曲」のリクエストでもOK!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
メールの方は番組サイトの「Message」から送信してください。
皆さんからのメッセージ&リクエスト… お待ちしてます!!
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Dear April / Frank Ocean
Second Hand / Underworld
Dead Dogs Two (Boards Of Canada Remix) / Clouddead
The Sun Set (ARD Remix) / Coco Steel & Lovebomb
今夜は少し歩こうか / UMA UMA
Radiation Ruling The Nation / Massive Attack vs. Mad Professor
Encounters / OBE
Rescue / Royksopp
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
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皆さんどうやって過ごしてらっしゃいますかという感じなんですが、僕はたまに車に乗って息抜きのドライブをしています。不要不急のことでは出掛けず家にいるというのが原則ですが、家の近所を散歩と必要なものの買い物だけだと頭の中がどうもよろしくないです。これを機会に見ていなかった映画だのドラマだのを観たり、本を読もうと思ってもなかなか集中が出来ない。時間が無い日々では、その間のトイレとか飛行機などの移動中とか、谷間の時間ですと非常に集中力が発揮されるものなんですけれど、いざ家で時間があるというと気が締まらないというか、なんというかボワっとしてしまうんですよね。やはり僕は物理的な移動がすごく好きで、以前、友達にマグロと言われたことがあるんですけど、マグロというのは寝る時も泳いでいるらしいんですよね。僕は旅・旅行が大好きですが、どこかへ行くということや、何かを体験するということも好きですけども、移動という行為そのものが本当に好きなんだなぁ〜と今回気づきました。準備は面倒臭いし苦手な質でして飛行機に乗ればしょっちゅう頭も痛くなりますし、足はむくむ方でしてスニーカーが入らないくらいの時もあります。けれども移動に時間がかかればかかるほど、遠くへ行っているんだなーという実感を持てますし、どんな乗り物に乗っていても窓の外には景色があります。そしてそれは色んなことを想像させてくれますし、思い出させてもくれます。最も無駄で贅沢な時間かもしれません。それが出来ないというわけですから、一番身近なことといえば車です。途中でどこかに寄ったり、降りたりはしないわけですから、そんなに遠出は出来ません。けれどもフロントウィンドウに飛び込んでくる景色を眺めたり、緑のある場所に一時停止して窓からその外の匂いを嗅いだりします。開けた場所でのんびりしたいなーとか、芝生に寝転んでボ〜っとしたいなー、そんなことを考えます。一般の人っていうのは桜が咲く頃が大好きだって仰いますけども、僕ももちろん好きなんですけど、桜の花が全部散って、葉桜になって芽が伸びてくるこの季節が僕はとても好きです。この時期の代々木公園とかっていうのは緑が燃えるようで芝生の広場の池にはおたまじゃくしもたくさん出ますし、そんな陽気とともに様子の可笑しい人もたくさん出てきます。それを横目で眺めながら危ないけどここなら良いやっていって遠くから楽しむ。考えてみれば代々木公園ではずっと昔からソーシャル・ディスタンシングをしていたなぁと思うんですけど、あんな時間がまたいつ持てるのかなと、そんなことを考えながら見上げると小さくなってしまった渋谷の空に文句を言いながら一人車を走らせています。
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毎日毎日、ニュースを見て意味のないワイドショーのトピックが文字として飛び込んできたりする中で考えるのは、僕らはどこへ行こうとしているんでしょうか?ということです。それは日本という国もそうですけど世界も。この1ヶ月以上ニュースを見ていると重い話ばかりの間にポツリポツリとイタリアのヴェニスの運河に魚の姿が見えた!それはもう何十年ぶりだとか、インドの村から数十年ぶりにヒマラヤの姿が見えてそれは本当に美しいらしいとか、そういう話が出てきます。僕がバックパッカーをしていた時ですら見ることが出来なかった景色や自然というものが、この経済活動が半ば止まってしまった地球上に帰ってきているのです。見に行きたいなぁ〜 そんなニュースを読むと強烈にそう思いますがそれと同時に、そうやって見に行きたいと欲する僕のような旅行者や経済のせいで今まで大気が汚れて、その景色が失われてきたのかと思うと二の足を踏む自分もいます。今そうやって蘇っている自然の姿っていうのは、この騒ぎが収束した時に、まるでなかったことのように消えてしまうでしょう。これだけ困難に直面している社会が地球上に存在しているわけですから、活動をまた止めろとか自然を守れという言葉はより非現実的なものになってしまうかもしれません。とはいえ、こうも思います。昨年でしたかアマゾンの森が伐採され、焼畑農業の場所としてどんどん燃やされ、急速にその大きさが小さくなっていることを世界が非難しました。それに対してブラジルのかなり変わった大統領が言い返していましたが、色んな人が非難の声を上げていました。今、自分たちがコロナという敵を前にして同じように経済を立て直すためにもし森があるとして燃やすぞって言った時に同じような非難を言える人がどのぐらいいるのかっていうことも今すごく考えます。当事者になってみないと分からないものもたくさんあります。考え出すと全てが禅問答のようで答えというのは出てこないんですけど、ただこの2ヶ月ですか、ずっとこんな感じですから今日の1時間ぐらいは空想の旅でぼんやり出来れば良いかなぁと思います。自宅に籠っている方がほとんどでしょうから、皆さん一緒に準備をしましょう。今からでも遅くないので窓を開けて風が入ってくるようにしましょう。未成年でない方はぜひお酒を。未成年のキッズ達はカフェインの薄い麦茶のようなコーヒーでもコーラでも構いません。そして空を眺めるも良し、目を閉じてみるのも良し。これから行きたい場所や、かつて行った場所を思い浮かべてみませんか?またはニュースで流れる遠く離れた村から見えるというヒマラヤの姿とか、鳥がさえずりまくっているというニューヨーク、ウミガメが戻ってきたタイの海、星がさらによく見えるようになったという砂漠の夜空。行き交う車がほとんど見えないというカリフォルニアのハイウェイや、波の音しか聞こえない瀬戸内海なんていうのを想像してみるのはいかがでしょうか。
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こう話している僕も毎晩毎晩、夢想しています。特に昔の写真を整理し始めちゃったりとかしてる人も多いと思うんですけど、そんなものを見てしまったりすると護岸工事なんか一つもない波の音がひたひたしていたインドの海岸線、バックパッカーが夕暮れ近くになると街灯に群れる蛾のように集まった海辺のカフェや、ヘルメット無しで走り続けたタイの1本道、または渋谷のうるさい一角のレコードバー、色んな場所を想像します。忙しい時には人気の無い所に行きたいなぁ、この世の果てと呼ばれるような僻地に行きたいなぁ〜と常々思っていましたが、これだけ自粛が長いとやっぱり賑やかな場所に惹かれるものです。こんなに酒を飲まないのは10代、いや間違えました20代から初めてと思うくらいです。自粛が終わったらサポートという名のもとにキンキンに冷えたビールやハイボール、冷凍庫で冷やしたがために最早トロみが出ていると勘違いするようなテキーラ、それを心ゆくまで飲みたいと思います。なんでこんなに1人で飲む酒と人と飲む酒は味が違うんでしょうね。「良い飲みっぷりすね〜」と褒められていると勘違いするようなバーテンや店の人の笑顔とか、顔が茹でタコみたいになった若い子とゲラゲラ笑ったりするところが見たいですし、爆音でとにかく音楽を聴きたいですし、それに反応して叫ぶ人の生み出す振動を感じたいと思います。知り合いがインスタグラムで「おいお前らは運が良いな」と書いていました。そこには18年前に皆が持っていたノキアの携帯の写真がありました。インターネットにはダイアルアップで接続し、テキストにはツイッターでもないのに文字数制限があり、通話時間も限りがあったと。つまり世界中で起こっているロックダウンがもし、この頃のノキアの携帯のようなものしかなかったら、一体貴様らはどうやって暇つぶしをしていたのかと。そう書いてありました。確かにその通りで、今はSNSもありますし、サブスクライブで映画やドラマも観られますし、YouTubeもあります。仕事だってテレビ電話のように繋いで出来ます。「リモートって結構出来るんだなぁ」と気づいた知り合いもたくさんいるんですけど、その便利さと素晴らしさに感謝すればするほど、生の会話、生のライブ、実際に体が外に移動出来ることの素晴らしさを再確認してしまいます。こうしてラジオのように電波で繋がれることも素晴らしいんですけど、いつか人が集まれる時がきたらリスナーの皆さんとまた生で話して、一緒に音楽をだらだらと聴きながらお酒を飲みたいものですね。その日が夏前に来るのか、夏後に来るのか、はたまた来年まで来ないのか分かりませんけど、それを目指して皆さんと一緒に乗り切っていければなぁと思います。それまでは“動かない旅”というのを続けていきたいですし、皆さんも1日に1回もしくは1週間に1回でも良いですから自分が一番楽な形で“動かない旅”をしてみてください。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。