★★★★★★★★★★
訓市が antenna* からセレクトした記事は・・・
待つことをやめた」アテネ市民の〈DIYパラダイス〉。経済危機から8年、歴史都市が模索するDIY復興シーン
★★★★★★★★★★
Theme is... 変化
『Travelling Without Moving』=「動かない旅」を
キーワードに旅の話と、旅の記憶からあふれだす音楽を
お届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
★★★★★★★★★★
--- 今だからこそ、より身近に感じる友達 ---
番組前半はリスナーの皆さんから手紙、ハガキ、メールで
お寄せいただいた旅のエピソードと、
その旅に紐付いたリクエスト曲をオンエア!
選曲のオーダーや悩み相談にもお答えします。
後半のテーマは「変化」。
在宅期間が長引く中で大きく変わった日々の過ごし方。
これまで以上に国内外の友達と
密にコンタクトを取るようになった理由とは?
コロナ禍の影響でクローズを強いられたニューヨークにある
思い出がたくさん詰まったお気に入りのカフェについて語る。
★★★★★★★★★★
番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
「旅」に関する質問、「旅先で聴きたい曲」のリクエストでもOK!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
メールの方は番組サイトの「Message」から送信してください。
皆さんからのメッセージ&リクエスト… お待ちしてます!!
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
No Ordinary Morning / Chicane
The Optimism Blues / Allen Toussaint
Freedom Pt.II / The Beautiful Girls
D'Yer Maker / Led Zeppelin
エイリアンズ / ハナレグミ
Iambic 5 Poetry / Squarepusher
Sunday Song / Richie Beirach
The End Of Violence (End Title) / Ry Cooder
Fly Me To The Moon / Nat King Cole
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
★★★★★★★★★★
在宅で時間があるからとNetflixやYouTube、映画をたくさん観ると聞きますが、皆さんは観ていますでしょうか? 俺は相も変わらず何も観ていません。元々テレビも観ない方ですが、家にいる時間が増えてからは完全に観なくなりました。朝、テレビをつけるとワイドショーとか情報番組をやっているじゃないですか。「ああでもない、こうでもない」、正論とそれに対するよく分からない発言を交互にさせて、結局それで後で視聴者が怒ったり、「よく言った!」と言い合っているわけですが、僕が考えるにあれこそただの僕らのガス抜き行為なんじゃないのかと。同じ話を2週間も3週間もやって堂々巡り、そのあたりに新しいニュースなり事件が入ればそれまでの話は置き去りにされる。これは何もコロナの話だけではなくて、色んなことでずっと繰り返されているわけで、結局は何もまとまらず、誰も責任も取らない。という訳でテレビは全く観ずに本を読んだり考えごとを書きこんだりして過ごして、情報はネットで海外の新聞やニュースを複数読んだりして自分なりに今世界はどうなっているのかなと知ろうとしています。そして、FaceTimeも沢山かかってきます。海外の友達は本当に家にこもっているので繋がりやすいですし、1回話すとえらく長電話になります。普段は時差もありますし、タイミングも合わない。そしてみんな忙しくしているので、かかってきたりしても1分2分で切るのが普通だったんですが、今は違って異常に長い。それをする度に昔は1分何百円も電話代がかかったり、安い通話ができるフォンカードっていうのをキオスクとかで海外では買って公衆電話から電話していたんですけど、それが本当にあったことなのか幻だったんじゃないのか?と思えてきます。どうもこのテレビ電話っていうのが回線を使ってタダで出来るっていうのが未だに信じられないんですけど、このテレビ電話ってすごく良くて、距離は離れていますが海外の友達が今まで以上に身近に感じられるというか、同じ街に住んでる近所の友達… そんな気分がしてきます。そもそも僕は普段あまり電話をしないでテキストで済ますことが多かったんですけど、色んな人が高校生の頃のように電話をかけてきて、そうやって相手の声を聞いて話すっていうのもすごく良いもんだなぁ〜と思うようになりました。
★★★★★★★★★★
色々なニュースや自分の友達のSNSとかを見ていると地元のニュースも目に付くんですけど、海外でよく行っていた店が閉まるというニュースをたくさん目にするようになってきました。アメリカでは決断が早いというか、ロックダウンが宣言された日に雇用していた人を全員解雇してまず店の存続を図り、ダメならすぐバサっと閉店する。そんなニュースをたくさん見てきました。これってすごい話だなぁというか、2ヶ月以上も家にこもっているニューヨーカーたちが家を出られた時に以前と街が確実に変わっているわけです。ずっと当たり前にそこに存在していた店も、そこで働く人もいない。ニューヨークのソーホーに『Lucky Strike』というカフェがありました。ちょっと定かではないですけど90年代の初めか80年代の終わり、その頃にオープンしたという所謂いわオシャレカフェの走りで、経営していた人たちもこれを皮切りに色んなお店をオープンさせたという、ちょっとしたニューヨークの飲食の顔です。僕のちょっと年上の友達たちが若い頃みんな時期をずらしてはバイトをしていたというお店で、ミュージシャンのモービーも開店当初に普通に働いていたそうです。それ以外にもメッセンジャーの人とか絵描きとか、スケーターとかみんなそこで働いていました。割と素っ気ないシンプルなハンバーガーがなぜかとても有名で、特に日本では一時期、エリック・クラプトンが1番好きなハンバーガーなんていう風にどっかに書かれていましたけども、僕も友達に連れられて行ってから折に触れて出かけて行ったものです。客に背を向ける感じでカウンター裏に音楽をかけるセットがありまして、そこで誰かが結構感じの良い音楽を常にかけているわけですよ。そこに午後出かけて行ってハンバーガーを食べながらビールを飲んで、ぼんやりと音を聴いていると誰か知り合いがふらっと入ってきたりして、そこからまたダラダラと喋る。ニューヨークにはこういうちょっとしたカフェとか安い食堂みたいな所がいくつかあって、僕にとって『Lucky Strike』はその1つだったんですけど、それがロックダウンで閉まって、街が開く前にもう閉店がアナウンスされました。なにもこれは海外の話だけではなくて、東京の知り合いの店でも「もう不動産屋さんに話をして、店を閉める話をした」というのがいくつも出てきました。街の風景が変わっていくのをこれから見るのはなんだかとても寂しいですし、悲しいです。本当にそれだけじゃなくて皆んなどうやってこれから食べていくのかとか心配は尽きないんですけど、とは言えこれがまた新たな街の始まりということなのかもしれません。昔アメリカのニューヨークで新しい病気としてエイズが流行った時に、最初はどういう病気か分からなくって空気感染するという噂が流れたらしいんですね。そのおかげでクラブやラウンジのお客さんっていうのが激減して、ほとんどの有名店でも長くやっていたところも潰れてしまったそうです。「ニューヨークの夜は終わった」と言われて、確かに何年も不毛な時期もあったらしいんですけど、それがあったからそこまた新しい人たちが安い家賃の場所を見つけて新しいテーマのお店を始めたりしてカルチャーが死なないようにしていったと。知り合いの店だけじゃなくて、今あるお店は1軒たりとも潰れてほしくはありませんけども、ただそれだけじゃなくて、お店がなくならないだけじゃなくてカルチャーが死なないように。もし不幸にも閉まることがあってもですね、その灯火っていうのが絶対なくならないように出来る限りのことをしていきたいなと思いますし、今までがちょっと異常だったような。家賃とか安い所も出てきたら何かまた新しいことが出来るんじゃないのかとも思いますし、若い皆さん、トム・ハンクスが大学の卒業式の演説で「あなたたちがこれからのポストコロナの時代を作る最初の人たちだ」と叱咤激励していましたけど、本当にそう思います。僕ら年上で変化に弱い人たちがたくさんいる年代です。今の20代の皆さんはこれを良い機会というのも言い過ぎかもしれませんけど、変化は必ず必要ですからどうか自分たちが良いと思うことをバリバリと進めていってほしいなと本当に心から思います。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。