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訓市が antenna* からセレクトした記事は・・・
酒癖の悪い父が新婦友人の感動スピーチに乱入。血の気が引いた…
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Theme is... ALBUM
『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
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--- 何よりも素晴らしかったのは、スピーチ ---
番組前半はリスナーの皆さんから手紙、ハガキ、メールで
お寄せいただいた旅のエピソードと、
その旅に紐付いたリクエスト曲をオンエア!
選曲のオーダーや悩み相談にもお答えします。
後半のテーマは「アルバム」。
6年前、コペンハーゲン郊外にあるお屋敷で催された
結婚式に参列した訓市。
その友達から久しぶりにメールで届いた
電子アルバムを見て蘇ったエピソードについて語る。
過去に100回以上、結婚式に参列している訓市にとって
1、2を争う思い出深いものとなった理由とは?
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番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
「旅」に関する質問、「旅先で聴きたい曲」のリクエストでもOK!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
メールの方は番組サイトの「Message」から送信してください。
皆さんからのメッセージ&リクエスト・・・ お待ちしてます!!
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Let's Stay Together / Roberta Flack
As We Come (To Be) / Young Desciples
Mother Nature / Albert Jones
Feels Like Home / Nathan East feat. Yolanda Adams
お菓子と娘 / Cocco
See You Again / Tyler, The Creator feat. Kali Uchis
Divine / JEN
So Good / Forrest
Cayendo / Frank Ocean
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
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久しぶりのメールが会っていない友達から来ました。新しいメールアドレスだったので誰だろうと思って読んでみると、それは届いた日が彼らの結婚式から6年目というメールでした。彼らの結婚式では「写真はどうか撮らないでほしい。プライベートなものだからソーシャルメディアには決して載せないでほしい。その代わりにこちらでプロの写真家を雇って写真を撮るので、最後にそれをちゃんとアルバムにしてみんなにプレゼントするから…。そういう約束をしたけど、ごめん!全くやってなかった」というメールでした。けれども、その6年間の間に自分たちの人生にどういうことがあったかっていうことが細かく書かれていました。それは出産や家族の不幸や、新しい仕事についてなどのことが書かれており、「今回のこのコロナのおかげで自粛中に撮った写真をやっとまとめることが出来た」と。「約束したのは実際の本だったけど、電子アルバムとなってしまった。けれどこれが移動したり物を送るってことが不自由な今の時代には相応しいアルバムであり、ベストの形になったと自負している」と書かれていました。ニヤニヤ笑いながらフォルダを開けてみたら、ちょうどこの番組が始まった2014年にデンマークはコペンハーゲンの郊外にあるお屋敷で行われた結婚式の写真がその前日、当日、翌日と別れて綺麗にまとめたアルバムとなっていました。僕は今まで100回以上、何回も結婚式に呼ばれてスピーチもさせられたことも何度もありますし、そんなにたくさん行った中でも1、2を争う思い出深い結婚式でした。結婚式のためだけにデンマークまで行ったものですから時間とお金もかかったんですけど、こう言っては失礼ですけど帰りの時には「元を取ったな、これ」って思える素晴らしい楽しい結婚式でした。この新郎っていうのがミュージシャンだったんですけど、ワイン好きが高じてワインバーも作っちゃったくらいなんですけど。その橋の下でまず前夜祭をやったんですけど壁が一面隠れるくらい箱詰めのワインを大量に持ち込んで、とんでもない量のワインを飲みました。前夜祭なのにフラッフラでしたから。そして翌日の式本番っていうのは以前に番組でも話したことがあるんですけど、半日がかりのとんでもない長いディナーで、多分12時間ぐらい食べていたと思うんですよね。そこにまた大量のワインが運び込まれまして、完全にみんな足腰にきてしまいましてですね、その新郎っていうのも僕より年上でしたし、仲間っていうのもそれなりにみんな40後半の人が多かったのかな。なのでアフターパーティがこの敷地内である、それは元馬小屋だったところを改造したディスコだと言われて行ったんですけど、せっかく良いサウンドシステムがあって、素敵なDJ、かなり大物が来ていたんですけど、あんまり踊る人がいないっていうか大体みんな手しか動いてなかったですね。膝が曲がらないディスコっていう。そして明け方、太陽が登る頃には芝生の上でタキシードを着たまま気絶しているジェントルマンたちがたくさんいました。
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デンマークの結婚式というのは本当にスピーチをする人の数、そしてその1人1人の持ち時間っていうのが異常に長い、これが伝統らしいんですけども、最初ぶっちゃけ、長いテーブルで外に作られた仮設テントの中でお祖父さんとか叔父さんが指名されて喋り始める時を見て、「わーこれ、長いの嫌だなぁ」とかそんな風に思ったんですけど、それぞれの人がジョークを交えつつ、時に笑わせ時に泣かせる素晴らしいスピーチで。それも新婦がデンマーク人だったので彼女の親戚の方が多かったんですけど、とにかくやたらと話が上手いんですよ。いろいろな人がいて、例えば僕の斜め前にはキーラ・ナイトレイとかハリウッドの人もいましたし、それ以外にも俳優の人とか監督の人とかもいたんですが、誰もが後で話した時に「こんなにスピーチが上手い素敵な結婚式は初めてだ」と、腹を抱えて笑ったり、涙ぐんだりしていました。この結婚式、ご飯は「noma」という世界1美味しいっていうレストランとして色んなランキングで1位になったところが手がけたりですね、先程言ったアフターパーティのディスコというのも2many DJ’s がDJだったりと、人の名前だけ見るとやたらと豪華だったんですけど、それはどうだったって言われると赤ワインのせいでディテールがほとんど消し飛んでいるんですが、そんなことより1番の思い出はその時にしか会ったことのない新婦の親戚たちやお父さんたちが喋ったスピーチで、きっと日常の中でも人前で自分の話をするということにデンマークの人たちは慣れているのかもしれませんけど、これってアメリカとかヨーロッパの人たちにとっては割とノーマルなことで。新郎新婦も式で僕らにスピーチをした時に、「バラバラに出会い親交を暖めてきた自分の友人たちがこの日のためにスケジュールを調整し、自分で飛行機を予約して初めて一同が集まったっていうのが本当に嬉しいし、それぞれが新しい友人として付き合いが始まればこんなに嬉しいことはない」っていうスピーチをしたんですね。面白いのが本当にその通りになって、この友達の結婚式で知り合った人たちっていうのはそれぞれがまた自分の友人となって、彼らの国であったり彼らが日本に来た時一緒にご飯を食べたり、そういう素晴らしい出会いの場となりました。そんな式の写真を見ながら、こんなことが出来たっていうのが現実的じゃないというか、今やろうと思っても絶対出来ないっていう現状を考えるとちょっと憂鬱な気分になってしまいました。それは結婚式だけに限ったことではないんですけど、人間って本当に集団になった時の心地よさってあるじゃないですか。どうやったら僕らはそういう場をもって互いとの距離を疎遠にならないような暮らしを作っていけるのか? 今後もコロナは続くと思うので、その方法を見つけていくっていうのが僕らの今年の課題なんじゃないんでしょうか。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。