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訓市が antenna* からセレクトした記事は・・・
ド迫力&超絶的な辛さ! 激辛好きなら一度は食べたいレジェンド麻婆豆腐!
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Theme is... SPICE
『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
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--- 残暑を乗り切るには、スパイスが効いた料理 ---
番組前半はリスナーの皆さんから手紙、ハガキ、メールで
お寄せいただいた旅のエピソードと、
その旅に紐付いたリクエスト曲をオンエア!
選曲のオーダーや悩み相談にもお答えします。
後半のテーマは「スパイス」。
かつて、インドに長期滞在していた時、
常食として食べていたカレーの思い出…。
世界50ヶ国以上を旅した訓市が最も辛いと感じた料理、
そして、その意外な場所とは?
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番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
「旅」に関する質問、「旅先で聴きたい曲」のリクエストでもOK!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
メールの方は番組サイトの「Message」から送信してください。
皆さんからのメッセージ&リクエスト・・・ お待ちしてます!!
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Something Just Like This / The Chainsmokers & Coldplay
Helpless / The Band
Love Will Find A Way / Pharoah Sanders
So Nice (Summer Samba) / Bebel Gilberto
君と僕 / 東京スカパラダイスオーケストラ
My Crew Deep / Steph Pockets
Afternoon Of A Faun / Walter Murphy
Just My Imagination (Running Away With Me) / The Temptations
Criminals (The Avalanches Remix) / DMA's
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
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暑い日々が続きましたが、皆さまの体調の方はいかがでしょうか?ビールやお酒ばかり飲んで、夏バテで素麺とかばかり食べていると食欲がなくなって夏バテします。こういう時は辛いものとかを食べて、胃のほうに刺激ックスを与えていかないといけないんですけど、暑い時に辛いものを食べる、毛穴という毛穴から汗が吹き出てきますが、なんでしょうかね? その後に訪れる静寂の時というのがありまして、確かにすっきりしますし食欲も湧きます。僕がインドを彷徨っていた頃には、当然カレーをたくさん食べました。カレーというのは北インド系と南インド系に分かれているのはリスナーの皆さんも知っているかと思います。もっさりとしたちょっと欧風カレー的な感じが北、サラッサラのシャバシャバしたのが南。まぁどちらが美味いかというと完全に南です。これはイタリアも一緒だと思うんですけど、トマトの美味しいナポリとかそういう南のほうがミラノを筆頭としたドイツ料理のような北イタリアより絶対に美味しい気がします。不思議なのは経済などはどこでも北側の国のほうが発展していて、南はイマイチというのが多いのに、ご飯に関しては南の完全勝利だと思います。僕がインドに初めて行った時、実は色んなことの知識がほとんどなく行きまして、初めてインドに着いてカレーを頼もうとしてカレーという名前の料理がそもそもないことにびっくりしましたし、ヨーグルトを入れたりすることにもびっくりしました。そして僕はインドの人は主食がナンだと思っていたんですけど、僕らが行くお店にあるのはお米かチャパティで、チャパティというのはタコスの皮みたいなものですが、これを永遠とちぎって食べます。前にも話したことあるかと思いますが、定食屋に行くとターリーという大皿料理というか、定食ですね。豆のカレーであるダールとか小分けにされたカレーなるものがあって、それをチャパティをつけて食べるんですけど、チャパティはおかわり自由でこちらがもう腹パンというまで永遠と追加を乗っけられる幸せな無限ループが続きます。それなのに太ったインド人というのが周りにはおらず、それが僕の解けない謎でした。謎といえばみな開襟シャツにサンダルという格好でダールを頬張っているのに、汗まみれにさえ見えないことです。複雑なスパイスの重なりの中から猛烈な辛さが立ち上がり、僕はといえば吉牛の牛丼でいうとつゆだくぐらいに汗をかいているのに、彼らときたら涼しい顔です。インドといえばカレーと、そして生水を飲んで腹壊すという話しか聞きませんでしたが、食事の時は水にはやはり気をつけていました。付け合わせで付く野菜のようなものは怖くて食べなかったことが多いですね。何で洗っているのか分からない。チャイ屋さんでチャイを買う時も、ニコニコしながら組まれて運ばれてくるバケツの水がどこから来てるのか探したものでした。
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色んなところに行って色んな現地の辛いものっていうのを旅先で食べてきたんですけど、じゃあどこの国のご飯が1番辛かったの?と聞かれるとそれは原宿で食べた麻婆豆腐です。麻婆豆腐の辛さは唐辛子ではなく山椒だっていうことを知ったのは割と歳を取ってからなんですけど、鰻にかける山椒でなぜそんな辛いの?と知らない人は言いますが、これはもう辛いというか舌が麻痺する辛さですよね。ここで麻婆豆腐を食べた時は氷水に舌を突っ込みたいほど辛かったんですけど、それは逆効果だと言われてたしなめられました。その店の麻婆豆腐は辛いんですけど、確かにうまいんですよ。それでまた食べたいなと思うんですがその度にエライ目にあうので、身内では“殺人麻婆”として恐れられていました。ある日、当時一緒に住んでいた友達が「俺は辛いものが大好きで、どんなものでも食えるからそこに連れてけ!」と繰り返して言うので根負けして連れて行きました。お店に着くと初めてなのに「辛さはマイルドにしなくてもいい」と豪語するではありませんか。僕はひと口食べましたけど、脳天を延髄蹴りされたような衝撃があり、そのあとはその日、ひと口も食べられませんでした。友達はといいますとムキになったのもあると思いますが、「美味い、美味い」と言いながら白目が充血しながら完璧なペースでスプーンを口へと運んでいく… そして完食。だらしない奴と思っていた友達を尊敬したのは本当にその時が初めてでした。その後にお酒を飲み、同居していたので一緒に家に帰りました。すっかりいい気分だった僕は珍しく早めに眠りについたのですが、夢をみているのかずっと何やら音がします。うとうとしながら聞いていると、それは「ううぅ」という地獄のような呻き声と定期的にカラカラとティッシュをとる音と、トイレの水が流れる音。そうです、豪語していた友達は思いっきり腹を壊しました。「ざまあみろ」と思って布団の中で僕は大笑いしていたんですけど、そのトイレの流れる音、カラカラいう音、呻き声っていうループは次の日の朝まで続きました。なんだかんだ僕はぐっすりと寝て目を覚まし、リビングの方に行くと友達がもう起きていました。「大丈夫か?」って声をかけたんですけど一晩で頬がこけ落ちて、知っている人は分かると思いますが矢吹ジョーと戦った後のホセ・メンドーサのようになっていました。目は窪み、クマができていてマリリンマンソンのようでもありました。辛いものって体調に合わせて食べないと、無理して食べるとそういう悲劇が起こるんですけど、とは言え上手に食べれば確かに胃に刺激がありますし、食欲も湧くと思います。今年の9月っていうのは猛暑が厳しいという話もありますから、上手く辛いものを食べながらやり過ごしていきたいですね。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。