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訓市が antenna* からセレクトした記事は・・・
便利で快適な生活の裏で忍び寄る「21世紀の全体主義」と、それらに抗う術とは? 哲学者・中島隆博氏に聞く
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Theme is... DIGITAL
『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
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番組前半はリスナーの皆さんから手紙、ハガキ、メールで
お寄せいただいた旅のエピソードと、
その旅に紐付いたリクエスト曲をオンエア!
選曲のオーダーや悩み相談にもお答えします。
後半のテーマは「デジタル」。
重度の活字中毒を自称する訓市が敢えて活字を離れ、
ここ数ヶ月にわたって全く本を読まなかった理由とは?
デジタルによる情報に接して感じたことや問題点について語る。
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番組では皆さんの「旅」と「音楽」に関する
エピソードや思い出のメッセージをお待ちしています。
「旅」に関する質問、「旅先で聴きたい曲」のリクエストでもOK!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
メールの方は番組サイトの「Message」から送信してください。
皆さんからのメッセージ&リクエスト・・・ お待ちしてます!!
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Stay Gold / Bill Hughes
La La Means I Love You / PRINCE
Smells Like Summer / The Books
Up On The Roof / Carole King
風 / Nene feat. 5lack
People Get Ready / Curtis Mayfield
We Had A Good Time / Bullion
Weight Off / Kaytranada feat. Badbadnotgood
Don't Go / HIMI
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
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以前も番組でお話ししましたが、僕はこの半年ほど色んなものを目にしていません。特にこの3ヶ月、ほとんど本も読んでいません。活字中毒だった自分がこんなに字を読まないのは生まれて本当に初めてな経験です。テレビももともと見ないんですけど、自粛の最初の方にワイドショーをちょっと見たりしてそこから一切見なくなりましたし、映画も観ていません。何をしているかといえば音楽はもちろん聴いて、自転車に乗ったりしているんですが、情報のほとんど、というかほぼ全てをiPhoneで見ています。世の中が変わっていく中でネット社会と叫ばれていますけども、自分の生活を実際そういう風にしてみたら、どういう風に見えるのかなと。あと、どんなことを感じるかなというのを今こそやってみた方がいいのかなと思ったからです。僕は先ほど言いましたように昭和生まれの活字中毒で、カルチャー大好きで、しかもわりと記憶力はいい方なので何かを調べるとすれば、あれはなんの本に載っていたとか、なんていう雑誌の何年くらいの号に出ていたはずだとか、そういう記憶を使ったり色んな方法を駆使して自分が必要な情報を得ていたんですけど、この3ヶ月っていうのはそれも一切やめて、とにかく携帯で見られる情報だけで暮らしてみました。それで色んなことに気づいたんですけど、色んな言葉が炎上したり問題になったりするのをすごくこの3ヶ月見てきましたけど、前後の文脈とか発言が省略されて問題になることが多いんだなぁとか、そういうのにまず気づきました。合っているか間違っているかは別にして、紙の新聞を見ている時、例えば大きな事件があったとするとそれに関係する人の発言とかっていうのがその事件の概要とともに一面にレイアウトされているわけですよね。そうするとなんとなく読む前に何が1番大きい話で、それに対して誰が何を言っていて、それに誰が反論しているというのが頭の中に図として見て、それから読むことが出来ました。ところがネットのニュースだと全てのニュースがバラバラに1つのニュースとして載ってくるので、文章が大きいニュースなのか、そして他のニュースに関する発言との関係性っていうのがすごく分かりづらいので誤解を生みやすいですし、例えばヤフーニュースをみんなが読むというのでヤフーニュースを見ていたんですけど、気になるニュースのコメント欄をずっと読んでいたんですよ。そうすると、その前日にも似た同じニュースのことが報じられていたのに、前日のは見ないで今日たまたま目にしたニュースに対してだけ文句を書き込んでいる人とかっていうのがすごく多いっていうことにも気づきました。そしてツイッターの炎上というものが、自分はツイッターをやらないので本当によく理解していなかったんですけど、あぁこういう理由で炎上するんだっていうことも学んだんです。ツイッターって文字制限があるじゃないですか。なので自分が言いたいことを120文字に詰め込めないと連投するらしいんですけど、6個ポストした内の4つ目に誤解を生じる恐れがある発言があったとすると、その4つ目が数日後に突然誰かに目をつけられて「これは問題発言だ!」って言われてそこだけで炎上するとか。何か僕らは奥行きのある事柄を面でしか、続きのある線を点とでしか見られなくなってきているのかなーと感じました。
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例えばヤフーニュースのコメントというのは特にコメント数が多いやつを読んでいるんですけど、連続して報道されていたニュースのその1個のポストのニュースだけをたまたま読んで怒っている人たちの声が多かったりします。その時に見たものだけで判断をするっていうのは音楽も一緒かなと思うんですけど、今って自分の好きな曲を好きな時にすぐ聴けるじゃないですか。なので通しで聴いて初めて意味を持つ聴きづらい曲とかアルバムを全部聴くっていうのがすごく難しくなってきて、シングルばかりのベスト盤みたいな構成のアルバムじゃないと売れなかったりとか、そもそも全部を聴いてもらえなかったりするそうです。写真でも同じ話をしました。連続する写真を全部見て始めて物語を語り出すフォトストーリーより、1枚で完結した分かりやすい写真の方が好まれる。忙しい毎日に無駄を省ける技術が発達していくっていうのは必要なものだけを見るように出来るようになった代わりに、何か大事なものを無くしていくんじゃないのかなと思いました。僕は編集とかライターをするんですけど、そういう立場の人間としてデジタル用のニュースの見せ方とか原稿の見せ方、解説の仕方とかっていうのは何か仕組みを上手く考えないと全然時代に追いついた文章とかの提示の仕方っていうのが出来てないんだなってすごく思いました。まだまだどこか原稿で紙に書いたものをPDFにしてバラバラにしてただ載っけているだけというか、まぁすごいし難しいそれってアプリを作るみたいな話だと思うんですけど、でもやらなきゃいけないのかなと。本当に世界っていうのはデジタルで24時間繋がって身近なものになりましたけど、そのお陰であらゆるものが分断されているようにも感じます。好きな時に好きなものを見られるっていう、自分のタイムラインが世界のタイムラインだと錯覚している人が多いんじゃないかっていう話を友達がしてくれたんですけど、自分でもああなるほどなと。もしかしたら僕自身もそういう自分のタイムラインが世界のタイムラインだと思って一喜一憂しているような気もしました。リスナーの皆さんはどう感じているんでしょうか? やっと夜涼しくなってきて夏の終わりを強く感じるいつもの寂しい9月の夜なんですけど、どうも昔の夏の終わりとは完全に何かが変わってしまったように感じます。ニュース、そして世の中をどう捉えるかっていうのは年齢関係なくすごく大事なことで、番組の最初にも話しましたけど明日は自民党総裁戦です。まぁ現実的に考えて自民党が日本をこれからもリードしていくんだと思うんですけど、自民党の中でも健全な競争があったり政策の討論がもっとあったら良いなと思います。そして、その政策とか主張っていうのがどこから来ていて、なぜ支持されているのかっていうのを僕らはもっと正しい情報の探し方と理解の仕方で支持する支持しないっていうをやっていかなきゃいけないと思うんですよね。今って未曽有の危機だって言われていますけど、コロナというのは世界が経験したことのない、それこそ世界規模の危機なわけじゃないですか。なので年配の方の知恵や経験っていうものがコロナに関しては中々生きない。こんな時だからこそ逆に思い切って行動力があるというかスピード感のある若い人たち、しがらみのない政治家の方にもっと出て来てほしいなと思うんですけど、皆さんはどうお考えでしょうか?
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。