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訓市が antenna* からセレクトした記事は・・・
RADWIMPS、約3年ぶりオリジナルアルバムをリリース
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『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
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#361 --- 野田洋次郎さんとの友情 ---
番組前半は皆さんからお寄せいただいたお便りをご紹介!
選曲のオーダーにもお答えします。
後半のテーマは「Summer Daze」。
プライベートで親しくしているRADWIMPSの
野田洋次郎さんとの会話の中から生まれた1曲...
きっかけから完成に至るまでのエピソードや裏話を語る。
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「旅」と「音楽」に関するエピソードや思い出の
メッセージをお待ちしています。
「旅先で聴きたい曲」のリクエストも大歓迎!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
番組サイトの「Message」から送信してください。
皆さんからのメッセージ&リクエストをお待ちしています!!
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Fly Away / Laid Back
No More I Love You's / Annie Lennox
I Can't Make You Love Me / George Michael
Babyfather / Sade
夏の終わりのハーモニー / 玉置浩二
All I Need / Jack Wagner
Ode To My Family / Ode To My Family
How 'Bout Us / Champaign
Summer Daze / RADWIMPS
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
Kunichi was talking …
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今年もやって来てしまいました、夏の終わりが。最近では異常気象で10月でもビーサン。僕の場合、天気が良ければ11月までビーサンなんですが、暦の上といいますか僕の中では夏はやっぱり8月までとしています。とは言っても完全に季節っていうものが世界中でズレてはいると思うんですけども。冬物が8月から売られて、春物は新年早々、例えばそういうファッションのサイクルですけど、世界同時に1ヶ月遅らせないと、ちゃんとした時期に服って売れないんじゃないのかっていうぐらい全てが後ろ倒しになっている気がします。そんなことと同時にもう2年も夏らしい夏がないと、今は亡き野村監督の代わりに僕がぼやき続けているんですけど、実際この夏、夏らしいことと言ったらドライブくらいなものでした。結局ちゃんと海に行って泳いだりもしていませんし、キャンプに行こうと思っても密だといってどこへ行ったらいいの?と。そうやって考えると車を走らせるくらいしかありませんでしたが、その代わり久しぶりに学生時代のような夏を過ごしました。特に友達を集めてのビデオ作り。ビデオといっても、それはRADWIMPSというバンドの「SUMMER DAZE」という曲のビデオです。バンドのボーカル、野田の洋次郎くんとは歳がちょうどひと回り違う同じ丑年なんですけども、なんだか最初は彼がバンドをやっているとも知らずに会って馬が合い、まだ彼が20代だったと思いますけど、ちょうど夏の季節に会ってから夏だけではないのですが、随分と一緒にお酒を飲んできました。ひと夏でタンクローリー1台分ぐらいはお酒を飲んだんじゃないでしょうか。まあ馬が合ったっていうのは要は酒党ということで、別に2人でだらだら話しながら飲むことも出来ますし、普通ビールに始まり、ハイボールにウォッカソーダ、いつの間にか夜明けを肩組んで迎えたことも多々ありました。けれどもそんな夏っていうのが去年もなく、今年3月くらいだったでしょうか、「残念だけど今年の夏もきっと元の様にはならないぞ」という話を、確か彼の家のキッチンでビールを飲んでいる時に話しました。「つまりこの先も下手したら年末ぐらいまでお酒を飲むとしたら互いの家で、2人悲しくビールを飲むぐらいしかないということなんだぞ」と。「というわけで、ここは1つ自分たちが好きだった夏の全てが詰まった曲っていうものを、洋次郎、君は作るべきなんじゃないの?」という話になりました。「夏が詰まった曲か…」と言いますと、まあ最低7分ぐらいあって、ちゃんと踊れて、しかもそれまで聴いたことがない人が1回聴いただけで一人で大声で一緒に歌えるような。今年の夏に大勢の人と騒いだりする体験っていうことは出来なくても、一人なら出来る。夜明け前に一人ヘッドホンをして、音楽をかけて夜明けまでどこへ行くと決めなくても走りだしてもいいし、車がある人は窓を全開にして海まで走ってもいい。先日の放送でも話ましたが、普段の夏にしていたことやその時の感情を想い出すような曲を作った方がいいんじゃない?という話でした。
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そういう曲を作ったらっていうところから、あーだこーだと色んな思い出深い曲を聴いてはビールを飲み、「あの時は最高だった」とか「あの時に聴いたあの曲はいつもの倍良く聴こえた」なんて話しているうちに、ある日、「ちょっとできたかも」というテキストがきました。じゃあ一緒に聴こうと彼のスタジオに行きスピーカーからその音源を流すと、まぁ色んな夏の日のことを思い出しました。どんな夏の日かっていうと、特にお酒を片手に踊っていたり、DJブースの中でレコードのラベルを一生懸命読もうとしてる様な思い出ばかりですけど、いきなりそういうことを思い出す曲を作れちゃうっていうところに、ミュージシャンってすごいなと改めて思ったんです。あぁ早く普通の夏が来ないかなぁ〜と聴いた時に思いましたし、同時に大勢で騒ぐことは出来ないけど、この曲なら一人でいても通常の夏の様な気持ちにさせてくれるんじゃないかとも思いました。夏の日々の“Days”と、ゆらめき的な意味を持つ“Daze”をかけた「SUMMER DAZE」と名付けられたその曲は、僕や友達にとって今年の夏の唯一の夏らしい思い出となりました。と言うのもそのためのTシャツを音源ができる前に作ろうぜとなってデザインして作ってみたり、じゃあそのためのミュージックビデオも作るかと大勢の人が出たりとかじゃなくって、夜を抜けて一人万歳の様な夏が表現出来るものを作ろうと。それも決まって、その作り方がなんだか学生時代の文化祭ノリだったからです。別件の撮影中にたまたまデモを聴かせたカメラマンの川上くんという友達が「いいすねこれ、撮るんだったら僕カメラ回します!」となり、その後にまた別件で会いデモを聴いてもらったアートディレクターのYOSHIROTTENが「いいすねこれ、僕も何かあったらやります!」となり、なんだか手弁当でDIYな物作りをしようと最低人数が集まりました。ロケハンで一人車を走らせてみたり、少人数での撮影でこの歳で何度か徹夜をしたり。体力的には辛かったんですけども、誰もいない海で美しい夜明けを見たり。それなりに、というかすごく楽しくてですね、もしコロナが無かったら、こういうものを作ろうとも思わなかったですし、こういうやり方をしようとも思わなかったと思います。僕も早く世の中が普通になってほしいですし、早く旅行に行きたいなとは思っているんですけど、もう出来ないことを嘆くよりかは今出来ることや今なりに楽しくやれる方法を探すという方がよっぽど良い時間の過ごし方なのかなと思う様になりました。というわけで、暦的にはもう夏も終わりですが、まだまだ暑く夏気分の日々が続くはずです。もし何も夏らしい思い出も感情も持っていないという人は、是非この「SUMMER DAZE」を聴いてですね、夜明けに向かって走ったりドライブしてみたりと、暑いエモい瞬間を過ごしてみてください。きっと一人の夏っていうのも悪くないんじゃないのかなって思います。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。