ON AIR DATE
2022.08.14
BACKNUMBER
  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54



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訓市が antenna* からセレクトした記事は・・・

相次ぐ大型クラブ閉店! 再開発で渋谷の夜はどう変わったのか?

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TUDOR logo



『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。


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#411 --- 夢は“夜”ひらく! 童心に帰れる場所 ---

前半はリスナーの皆さんからお寄せいただいた
“お便り”をまとめて紹介します。
曲のリクエストはもちろん、選曲のオーダーも大歓迎!

後半のテーマは「夜」。
訓市が新刊誌のテーマに選んだのは「夜」。
性別はもちろん、老若男女を問わずに
人が生きていく上で必要なのが「夜の時間」。
そんな思いを込めるに至った理由とは?

その雑誌の紙面で訓市が
読者に届けたかったメッセージを、
自身のコトバで語ります。


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「旅」と「音楽」に関するエピソードや思い出の
“お便り”をお待ちしています。
「旅先で聴きたい曲」のリクエストも大歓迎!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
番組サイトの「Message」から送信してください。

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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2022.08.14

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

Plans / Dinosaur Jr.

2

I Wouldn't CHange A Thing / Coke Escovedo

3

1000 Times / Tahiti 80

4

Kwang Noi Chaolay / The Paradise Bangkok Molam International Band

5

少年時代 / 宇多田ヒカル

6

What I Wish Just One Person Would Say To Me / LANY

7

Don't Go Away / Oasis

8

Day 5: For Carol / Tom Misch

9

There's A Way Into My Heart / USA European Connection

2022.08.14

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。



KUNICHI was talking・・・

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久しぶりに『BRUTUS』という雑誌で特集を作りました。昔はよく1年に何回とかテーマを決めて寝る間を惜しんで原稿を書きまくったり取材旅行に行きまくっていたのですが、僕もいつの間にやら他の仕事が増えたり、今コロナもありますしあまりやらなくなっていたのですが、今回編集長が新しく変わったり編集部の中で色々と変化があった時に、「訓ちゃん、久しぶりに何かやりませんか?」と話が来たのです。コロナ禍で移動したり大勢の人を写真で撮るような特集が2年ほど無い中で、僕は好きなことをやっていいと言うのであれば、「夜特集」がやりたいと言いました。ちょうどその話をしたのがコロナがやっと一回落ち着いた春の終わり頃。コロナっていうのがこのまま完全に収束することは絶対ないだろう、だから上手くそれと付き合いながらどう日々を過ごして行くかというのをちゃんと考えなきゃいけないと思っていました。ですので、ちょっと落ち着いている時じゃないと「夜特集」っていうのがもう延々に作れないんじゃないのかと思いましたし、その夜の様々なことっていうのがいかに自分たちの生活に必要なものかを再確認するような雑誌が必要なんじゃないかという、そういう話をしました。僕は以前、『STUDIO VOICE』というカルチャー雑誌を作っていたことがあるんですけども、その時も夜特集っていうのを作ったことがあるのですが、それは若い人たちが中心で夜にカルチャーが生まれるっていうことをテーマに作りましたが、今回の『BRUTUS』ではもっと違うことをしようと思いました。夜っていうのは徹夜で何か物を作ったりとか、もちろんすごくクリエイティブになったりしますけども、結局一番大事なのは老若男女を問わず、どんな性別だろうが夜の時間っていうのは雑多な人たちが集まって賑やかな時間を過ごせるっていうことだと思います。それをなんとか本にできないかなっていうのが今回の目的でした。コロナが始まって不要不急が叫ばれて、最も最初に僕たちの生活から無くなったのが夜でした。人と集まったり会食したり、お酒を飲んだり、音楽を聴きに行ったり、踊ったり。そういうものが真っ先に否定されました。仕事っていうのは昼に少人数、もしくはリモートでするもので、生活に必要なものは全て昼に買いに行けるものだから夜出掛ける必要がないっていうのが、多分国全体のムードだったと思います。不思議だったのは昼にランチを食べに行くとお酒を飲んでるお金を持ってそうな奥様方が大声で喋ってたりするのはOKで、夜はダメっていうのは何なんだろうって思いましたけども、一人家飲みをして、レコードでも聴いたり本を読んだり、配信の映画やドラマを見て過ごす。それが多分推奨されていた夜の暮らしです。僕はそんな暮らしの中で危うく病みかけるとこでしたね。つまらないし、必要なものだけという暮らしは本当に味気なくて、何も新しいことが頭に浮かんでこない。「人は一人では生きてはいけない」という使い古された言葉の意味を本当に理解したのがコロナ禍でした。



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好きな時に好きな場所へ行けて、そこで知り合いだけじゃなくて初めて会う人たちと一緒に話をしたりお酒を飲む。「夜とは何か?」と言うと、それは予定調和のない時間ということじゃないかと思います。嬉しいハプニングというものがたくさんあります。夜お酒を飲んだり踊ったりする中で、相手がどんな人なのか? その素を知る機会を与えてくれるのが夜です。緊急事態宣言を発令した政治家や役所の人たちが会食をしていることがバレて随分とメディアで叩かれていましたけども、見つかれば当然叩かれると分かっていながらなぜ会食をするのかと言えば、それがきっと必要だったからです。書類だけに目を通して必要なことだけを話す昼間の打ち合わせでは相手の本心など分からないものです。よく無駄の中にこそ価値があるという人がいますが、僕も本当にそう思います。人生、予定通り・計画通りに物事が進むことなんていうのはまずほとんど無く、無駄や偶然の中に様々な大事なことが含まれていると思います。番組でもよく話していますが、「訓市さんは世界中の色んな職業の人とどうやって知り合って仕事をするようになったのか?」と聞かれますが、ぶっちゃけ言うと全部夜のお陰です。昼間の制服のような仕事服っていうのを脱ぎ去って、名刺に縛られない時間。それが夜です。お酒を飲んだり、音楽で踊ったり、そうやって僕は様々な人に出会いました。大体こっちが酔っ払って隣にいた人を見てですね、お前は一緒にいるとなんて気持ちの良い奴なんだとか、なんて面白いことを言う人なんだろう…。そうやって何か心の中に引っかかりを持ったり繋がりを持てた人たちが、気づけば後で才能のあるアーティストだったり、もしくはまだ無名でしたけども売れっ子になったり。夜の盛り場で見つけた信用できる相手というのは、みんな一生ものの親友になりました。童心に帰れる、そして屈託無く友達が作れる“大人の公園”としての夜。その夜の価値っていうのをちゃんと確認したいな、と考えたのが今回の『BRUTUS』です。僕らはこれからもしばらく、上手くバランスを取って夜の時間っていうのを過ごさないといけないんだと思います。今は出掛けられそうだとか、どう見ても無理だなとか。個人個人がそれぞれ注意を払いながら出掛けるしかないですよね。ただ、僕らが集える夜の街がなくならないようになんとかサポートしていきたいなと思っています。昼と夜っていうのは陰と陽、光と影と一緒で、対になるものです。「特集・夜」って書いてますけども、何もそれを見てコロナを無視して出掛けましょうっていうんじゃなくて、今出られない人たくさんいると思うんですけども、また落ち着いたらこういうことをしようかなとか、この辺の友達と会って何とかお話したいなとか、この先の指針となる為の本です。明後日16日に発売になると思うので、そうだよなー来月になったらあいつと飲みたいなーとか、こういうことしてみようかなーっていう夜を夢見ている人はですね、是非手に取って見てみてください。