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訓市が antenna* からセレクトした記事は・・・
「卒業式、泣く?」って謎の確認しがち。卒業式あるある25選!
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『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
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#442 --- “卒業”する皆さんにエール ---
前半はリスナーの皆さんからの“お便り”をご紹介!
リクエスト曲や選曲オーダーにもお応えします。
後半のテーマは「卒業式」。
毎年、この時期に定番となっている
訓市から卒業生に向けて送るエール。
自身の娘の卒業を前に足を運んだ
「参観日」を見学して感じたこと、
学んだこととは?
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「旅」と「音楽」に関するエピソードや思い出の
“お便り”をお待ちしています。
「旅先で聴きたい曲」のリクエストも大歓迎!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
番組サイトの「Message」から送信してください。
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
You Only Live Once / The Strokes
Pulsewidth / Aphex Twin
So Into You / Atlanta Rhythm Section
When You Sleep / my bloody valentine
夢の端々 / ゲルニカ
Somewhere Only We Know / Keane
I Hope To Be Around / Men I Trust
The Golden Age / Beck
Home Again / Carole King
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
KUNICHI was talking
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もう何からか卒業するとしたら「社会から」とか、そういう「引退」くらいしかない自分がいつまでも卒業の話をするのもなんなんですけれど、それでも卒業と言うと学校というものはあまり顧みなかったというかサボりまくりだった自分なのに、卒業の時だけはやけに感傷的になったことだけは今もよく覚えています。僕の場合は高校を卒業する時、いわゆる「おっぽり」というやつで、先が何も決まっていなかったので余計にそう思っていたのかもしれません。もう2度とこの廊下を歩くこともないとか、教室で大騒ぎすることもないのか、とか。別に大して付き合いのなかったクラスメートを見て、ひょっとしたらもうこれから2度と会うことも無いのだろうと思うと人生って不思議というか、人の縁って何なんだろうと考えたり。近い友達だけじゃなくてクラス全体だったり、学年全体、そしてその時にいた学校全体の他人が一緒の場所で同じ制服を着て過ごしたからこそあり得たのが自分の学生時代の思い出だったのかなーって思うわけです。そうやって考えると学校生活がとても楽しかったと思える人もいれば、もちろん辛かった思い出しかないという人もいると思いますが、いつか歳を重ねた時に「あの時代があったから今がある」と思えるように生きて行くしかないのかなと思います。時間の経過というのは不思議なもので、その当時とは違った感情を持てるようになったりするのが良いところですから。まぁ失恋とかもそうだと思いますけども、それがいつになるかというのは人それぞれだと思いますが、先ほど言ったように僕はそんなに学校が大好きというわけではありませんでした。部活に熱心だったのも小学校くらいまでで、学校の友達とも遊びましたが、外にいる友達の方がはるかに多かったです。それでもいつからそう思うようになったのかは覚えてませんけど、学校のこと、それも良いことばかり思い出すようになってきました。卒業式は日本の、運が良ければ桜に囲まれる卒業式もとても良いものですが、僕はアメリカの明るい式も結構好きです。あの四角い帽子を空に投げるやつとか。どこかそれまでの学生生活の終わりを振り返るという儀式っぽい日本の式と、卒業式がこれから始まる新しい人生の始まりの式だという色が濃いアメリカ。お国のカラーの違いがそんなところにも出るのかなと思います。とにかく、終わりであり始まりでもある卒業式。この番組を聴いているリスナーの中で学生だった皆さんっていうのはもうみんな式が終わったと思いますけども、それが思い出深いものになり、新たな旅の始まりを告げる良い知らせであったら良いなと思っています。
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卒業式についてじゃないんですけども、先月 子供が小学校を卒業する前に最後の授業参観というのがあり行ってきました。授業参観って昔はよくあったんですが、コロナでそういうものが無くなりまして、最後に参観日に行ったのは下の子供が3年生の時ですから、最後の最後に日常を参観出来る機会ですということになり、これは行かなければと思って出掛けて行きました。それは普通の授業参観ではなく、6年生が最後に在校生のために演奏する演奏会の予行演習でした。6年生全員が参加するオーケストラの難しい曲。途中でサンバのリズムにもなり、変拍子になったりブレイクもあり、こんなの演るの? みんなすごいな…と思っていたのですが、聴いていると、もちろんそんなに簡単には合いません。100人以上の生徒がバイオリンやら木琴やら、ピアニカにコンガや太鼓にホーンとたくさんの楽器をほぼ素人の状態で、短期間の練習しかせずに演るのですから。ピタッと止まらなければならないブレイクのところで誰かが必ず間違えて音を出し、分解寸前の車がガタピシと目的地に向かって進むような、そんな演奏でした。それでもみんな楽しそうに演っていて微笑ましいなと思いつつ、なんでこんなに複雑な、例えプロでもなかなか合わなそうなリズムの曲を演るんだろうと最初は思っていました。これだけ難しいとどんなに練習したとしても本番でビシっと合うようにはならないはずだと。けどそのうち、まぁこれこそが社会だなとか、人生なんじゃないかなと思えてきました。どうやってもリズムが合わない人もいる、一瞬合ったと思っても結局ズレる人もいますし、一緒に演っているのに途中でつっかかって演奏を止める人、余計な音を鳴らす人。時には全員の演奏を一度止めて、その場所からやり直したり。それでも同じ曲を一緒に演奏して完奏させようとする。先生も最初に「完全に出来たら奇跡だけれど、その奇跡は起きないかもしれないけど、最後まで皆で一緒に演奏しよう。それが大事なんだよ」と話していました。先生はきっとこれからの人生のエールに、この難しい曲をあえて選んだのかなと僕は思いました。これから中学生や高校生になる人、大学に行く人、社会に出る人、そして海外へと旅立つ人。この3月に卒業を迎えた皆さん。きっと人生っていうのはこのオーケストラというか、他人との合奏なんだって思うんですよ。自分視点で見れば、この世の中には趣味趣向が違う人も、気が合わない人も、意地悪な人もたくさんいます。けれど集団として諦めず、その中で自分たちの音を鳴らして行こうじゃありませんか。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。