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訓市が antenna* からセレクトした記事は・・・
入社2か月で辞めた新入社員の退職理由にア然…だったら入るなよ!――大反響トップ10
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『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
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#448 --- 50歳を祝した“誕生会”---
前半はリスナーの皆さんから寄せられた
“お便り”を紹介。
曲のリクエストや選曲のオーダーにもお応えします。
後半のテーマは「誕生会」。
特に欲しいものが無い訓市が
仲間たちにリクエストした「誕生会」の開催。
50歳を迎えたその日は平日にも関わらず、
集まったお客さんは2,400名超!
同じ場所で同じ時間を体験した皆さんとの
忘れられないひと時について語る。
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「旅」と「音楽」に関するエピソードや思い出の
“お便り”をお待ちしています。
「旅先で聴きたい曲」のリクエストも大歓迎!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
番組サイトの「Message」から送信してください。
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Butterflies (Demo) / Floetry
The Protection (Underdog's Angel Dust Mix) / Massive Attack
Undersea Community / The Avalanches
Xtal / Aphex Twin
林檎殺人事件 (Hiroshi Fujiwara Remix) / 郷ひろみ
All My Friends / LDC Soundsystem
A Different Feeling (Ernest St.Laurent Remix) / The Avalanches
Seaforth / King Krule
Beginning Of The Heartbreak / Peter Gordon & The Love Of Life Orchestra
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
KUNICHI was talking
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先日、私事ですが誕生会パーティをしました。今年で50歳、半世紀生きたんだと言われるとびっくりしますし、何より自分が子供の頃に見たり接した50歳の方と比べると自分ははるかに子供っぽいと言いますか、20歳くらいから趣味趣向が変わっていないという自覚はありますもので…なんだろうなあって考え込んでしまいましたけど。いつかはスーツを着て毎日会社に行って、音楽とかもあまり聴かないようになって、週末にはぶつぶつ言いながらゴルフとかをするようになるのでは?という未来を想像したこともあったのですが、全て逆になりました。なんなら一つもそれをやっていません。「あなた、そんなんで将来どうするの?」「家すら借りられないわよ」と言われ続けて育ちましたが、なんとかなるもので。資産として車とレコード、そして古着のTシャツと古いスピーカーを手に入れることが出来ました。それを言う度に「それになんの価値があるの?」「なんの冗談?」という家族の声がドップラー効果のように頭に響きますが、それで良いのかなと思っています。僕は本来、”怠け者”なので切羽詰まらないと働けないんですけども、それがお陰で50歳になるまで、こうして好きな仕事が出来てやってこられたのかなーと思います。前も番組で話しましたが、20代の頃は半分冗談、そしてそれ以上に本気でノストラダムスの大予言で世界が終わることを皆んな信じでいました。「それまでは好きにしてやれ!」友達とそう話し合っていて、実際に外れるとですね、そこから真剣に仕事をどうしようと焦ったり・・・。30代になって自分のお金ではなくて仕事で海外に行けるようになって大喜びして過ごし、そこから家族を持って「やばい、にっちもさっちも行かないぞ」と仕事を必死にこなすようになったり。40代はほぼラジオと共にありましたが、本当に40代からですかね、色々コトがスムーズに回るようになったの。そして気付けば50歳になっていました。僕はいろいろなグループというかバラバラの人たちとつるむことが多いので、それぞれが「50は大きな数字だ」「お祝いをしたいし、それとも欲しい物があったらプレゼントするよ」と言ってくれました。でも、何をして欲しいか、何がしたいかと考えてみても分からない。突き詰めれば、まあ、「あれとこれだったらこっちが良いかなー」ってぐらいの欲しい物はあるのですが、どうしても欲しいという物も本当に無いです。「野村さんは物欲がもう無いほど悟っているんですね」と言われると決してそうではなくて、悟ってなんて1ミリもしていないんですけど、物よりも思い出。それも死ぬまで残るような思い出の方が良いんじゃないかなーと思いました。そもそも今まで生きた時間より長く生きることは絶対ないので、そろそろ本当に物を減らしていかないといけないなーと思っている時に、これ以上増やしても意味がないと思いましたし。
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欲しい物が無いということで、自分の誕生日にかこつけてパーティをすることにしました。僕の誕生日は4月10日なので、今年は通常のド平日の月曜日。と言うことはミュージシャンの友達も大抵、週末終わりで予定は無いでしょうし、会場となる箱だって借りやすいはずだ。先ほどの通り、僕は知り合いがバラバラにいるので、個別に祝ってもらっていたら誕生日で寿命が縮まるくらい飲むことになるので、大きなパーティにすればひとまとめにできる。しかも誕生日ならしょうがないと、きっと皆が出演フィーをまけてくれるだろうからチケット代を安くして若い子たちに一つ色んな音楽を聴いてもらって、これからの人生のサントラになるようなものを見つけてもらうのが、半世紀生きてきて未だチャラチャラしている自分が出来る世の中への恩返しなんじゃないかと思ったからです。音楽が無かったら僕は間違えなく今までやってこれなかったと思います。世界中や、もちろん若い時の日本で色んな友達ができた理由の一つも音楽でした。一人色んな所を旅しながら気が滅入ったり心が折れそうな時には、ヘッドホンから流れてくる音楽に本当に救われてきました。そしてこの番組ももう9年間やらせていただいていますが、ラジオも音楽が無かったら存在していなかったと思います。という訳で一つデカイのをやろうとなったんですが、「え、一般入れてやるの?」「月曜日に?本当に?」色んな声がありましたが、友達たちが集まり手を貸して素敵な会にしてくれました。「誕生日なんだから訓ちゃんが細かいことをやらなくていい。その代わり呼びたい人だけ決めてくれ」。そうすると、この番組にも出てくれた野田の洋次郎くんとかがツアー前なのにせっせと1人づつ連絡をとってくれたり、会場はやはり渋谷がいいとライブハウスである0-EASTのビルを一棟借りしたのですが、そこは去年閉まったコンタクトやヴィジョンの皆んなが連絡を取り合って押さえてくれました。そしてシークレットに誰か呼びたいなーと連絡すると、ちょうどLCDサウンドシステムのジェームス・マーフィーとアヴァランチーズも来てくれました。長い間、友達を続けているとそんな良いこともあるんだなーとつくづく思いました。「どうやって呼んだの?」とかって皆に聞かれましたけど、人生一時期ババっと遊ぶ海外の友達とかミュージシャンがいる人って日本でもいると思うんですけど、20年間毎月喋ったり友達付き合いをするって中々無いじゃないですか。僕は暇だったのか、よく彼らの住む街に行ったりするのがあったからかどうかは分かりませんが、ずーっと友達でやってきたのが、こういうご褒美が返ってくる理由なのかなと思います。そして様々な日本のアーティストの友達たちが出演してくれて、フェスのような一夜を過ごすことが出来ました。鹿児島から来たという20歳のお客さんにも会いましたし、上は70歳近い人にも声をかけられて一緒に乾杯をしましたし、怪我人も喧嘩もなく2400人のお客さんと朝まで楽しく過ごすことが出来ました。「東京の夜はフラットで素晴らしい」「色んな人がいるのに仲が良くて最高だ」、海外から来た友達がびっくりして言った言葉が僕にとって何よりの誕生日プレゼントとなりました。やっぱり夜は人だな、と。新しいビルだのなんだのの箱よりも、そこに集まる人たちが生み出す空気っていうのが一番最高なんだなと改めて思えた夜でした。今回やったので60歳でパーティーをやりたいかは分かりませんが、もし何か大きいパーティーをやるんだったら、今度は誰でも来られるフリーパーティーがやりたいなーと思っています。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。