Let's travel! Grab your music.
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『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
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#477 --- 半世紀を経てリリースされた最後の1曲 ---
後半のテーマは「ビートルズ」。
生前、ジョン・レノンが残した自宅録音の音源から
最後の1曲「NOW AND THEN」が遂に陽の目を浴びる中、
訓市がビートルズに思うこと、感じることを語る。
共に時代を過ごした世代だけでなく、
若者にも受け入れられている理由とは?
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冬の「パワーバラード」...
ハードロックやヘヴィーメタルのバラード名曲の
リクエストも募集中です。
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「旅」と「音楽」に関するエピソードや思い出の
“お便り”をお待ちしています。
「旅先で聴きたい曲」のリクエストも大歓迎!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
番組サイトの「Message」から送信してください。
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Here Today / Paul McCartney
Now Or Never / Big L
Reality / Louie Austen feat. Senor Coconut And His Orchestra
Somebody's Watching You / Al Jarreay
Baby Blue / フィッシュマンズ
Free As A Bird / The Beatles
Real Love / The Beatles
Grow Old With Me (The Ultimate Mix) / John Lennon
The Answer's At The End / George Harrison
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
KUNICHI was talking
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音楽というのはやっぱり凄いなと、最近というかこの1年思うことがいくつかありました。今年になってちょこちょこと、月に1度は必ずライブを観に出かけていました。旅先とか夜道を歩く時、それから車の中で聴く音楽というのは良いものです。僕の好きなバンドでドアーズというのが昔、”音楽だけが君の友達、最後の時まで裏切らない“的な歌を歌っていましたが、ずっとその通りだと思っていて、音楽っていうのは1人の時でも1人に感じさせない素晴らしい友達だと信じてきました。けれど、それと同時に1つの場所で大勢の人が集まって聴くライブというものは、また何にも代え難いものです。熱気や歓声に包まれながら、演者であるミュージシャンたちもその空気を吸い込んで演奏がどんどんと大きくなっていくというか、フェスなんてまさにそういう良い例だと思います。今年のフジロックは久しぶりにそんな演奏をたくさん聴くことができましたし、手前味噌ですが、4月に自分の50歳の誕生日会をやってもらった時も知り合いのミュージシャンがたくさん演奏してくれました。普通のライブと違って夜中のイベントということもあって、いつものライブよりもアルコールの消費量が段違いでしたから、すごい熱気がありました。友達やお客さんもベロンベロンでしたけども、演者であるミュージシャンも同じ量を飲んでましたからね。僕はそれを聴きながら、「あぁもうこのまま一生この感じで音楽が止まらなければいいのにな〜」って思ってました。それを友達に言ったら、「お前死んじゃうよ」って言われて、まあその通りだねっていうぐらいとにかく飲んだんですけども、音楽って本当に良いものです。50歳を過ぎて思うのは、もう欲しいものなんて旅行と音楽ぐらいしか無いなーっていう感じなんですけども、その中で最近、音楽ってさらにまた凄いなーって思ったのが音というのは歳をとらないということです。先日もちょっとお話しましたが、先月に行ったフィッシュマンズのライブがまさにそう思わせるものでした。バンドが活動していたのは90年代の頭から終わりまで、すっぽり10年ですけども、ライブで演奏された曲の中には30年以上前のものから、新しくても生まれてからもう20何年も経っているわけです。なのに演奏されるとちっとも古く感じない。というか、まるで今の音楽として聴こえて来る。亡くなったボーカルの佐藤さんが書いた歌詞がとてもタイムレスというか、描く心象風景というのが今の時代にも合うくらい普遍性があるからかもしれませんけども、音楽って時を超えるんだなーと強く強く思いました。
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音楽って本当に凄いなと思ったのは、今月頭に発表になったビートルズの新曲「Now And Then」です。もうラジオでもかかりまくっていると思うので、天邪鬼にあえてここではかけませんが、60年代にデビューしたバンドが2023年に新曲を出すというは凄くないですか?まぁストーンズも新曲を出していますが、彼らはもう人間じゃないという枠だと思うので置いておいて。ビートルズの場合は4人組ですが、そのうち2人が亡くなっていますから。70年代にジョン・レノンが市販のカセットテープに自宅で録音していたデモの4曲。そこには「for Paul」と書いてあったと記事で読んだこともあるのですが、それをオノ・ヨーコがポール・マッカートニーに送ったのがきっかけで新曲となったそうです。「Free As A Bird」「Real Love」は90年代中盤に出た『Anthology』というシリーズで発表されました。その後の曲っていうのは1つが「Grow Old With Me」。これはもうジョンの死後に発売された『MILK AND HONEY』というアルバムでデモ状態のまま発表されていたので、手をつけなかったそうで。その中にもう1曲「Now And Then」があったのですが、録音状態が悪くて当時諦めたものを、今回AIを使って仕上げたということです。最初AIを使ったと聞いて、ん?それって、4人のビートルズじゃないじゃないかと思ったのですが、よくよく記事を読むとAIを使ってジョンのボーカル、ピアノ、そして混じっていたノイズを3つのファイルに分離して使ったとありました。AIに何が何の音かを学習させた上で分離させるそうで、こういうAIの使い方っていうのは良いなぁと否定的だった僕でも思いました。出来上がった曲を聴いて、世界中でこれはビートルズの曲じゃないとか、これはジョンの曲なんじゃないかとか、完璧なエンディングじゃないかとか色々と議論になっているそうですが、リスナーの皆さんはどう感じたでしょうか?僕はぶっちゃけデモ状態の「Now And Then」の方が好きだったんですが、YouTubeで制作過程をまとめた短編のドキュメンタリーとミュージックビデオを観て、思わずため息が出てしまいました。それは変な意味ではなくて、ただ凄いなぁと。ジョンから来た過去からのラブレターを残った2人のメンバーが完成させたような、これで本当にお終いなんだというちゃんとした区切りを自らつけたんだなぁと思えたからです。誰もいなくなるステージで終わるビデオのエンディングもそうですし、これぞ完結という感じで、天晴れと思わずにはいられませんでした。もし、この制作過程の短編とミュージックビデオをまだ観ていないリスナーのみなさんがいましたら、ぜひ観てみてください。これほどの終活は無いんじゃないかなと思います。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。