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Let's travel! Grab your music!
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『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
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#483 --- 50歳の訓市が初めて体験したこと ---
2024年も番組リスナーの皆さんから寄せられた
“お便り”を紹介しながら、
リクエスト曲もオンエアします。
年明け1回目のテーマは「マイアミ」
日本やニューヨークが真冬でも
最高気温30度を記録することもある
マイアミを訪れた訓市・・・
その意外すぎる「目的」とは?
そこで経験した「初めてのこと」とは?
“旅の恥は掻き捨て”と語る真意について語る。
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「旅」と「音楽」に関するエピソードや思い出の
“お便り”をお待ちしています。
「旅先で聴きたい曲」のリクエストも大歓迎!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
番組サイトの「Message」から送信してください。
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
(Sittin' On the) Dock Of The Bay / Joe Sample & Nils Landgren
V (Peace) / Zion.T
Second Time Around / Rickie Lee Jones
Ayeye / Amaro Freitas
エイシア / ペトロールズ
In The Name Of Love / Ralph MacDonald feat. Bill Withers
Paint The Town Red / Doja Cat
Little Wing / Neil Young
The Trouble With Hello is Goodblye / Carmen McRae
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
KUNICHI was talking
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新年1回目の今夜は「マイアミ」についてお話しします。12月に入ってマイアミとニューヨークに行ってきました。2023年内最後の海外になるな〜と思いながら、行きはシカゴ経由でマイアミに行き、帰りはニューヨークでストップオーバーしての3泊づつの旅。シカゴでは3時間のトランジット、さらに飛行機が遅れたので随分と空港でぼ〜っとすることになりました。孤独感を感じたり、昔のことをやたらと思い出すのは1人でいる時の空港な気がします。雑誌売り場が随分と小さくなったハドソンニュースのキオスク、暇そうにしているサングラス屋の店員、所々残る古い看板。そういうものを目にしながら、昔の旅を思い出したりしていました。過去と同じような景色を見ていると、心の中に眠っていた小さな記憶や感情が溢れてくるような気がします。そうしているうちに、そういえば最後にシカゴに来たのは一昨年に亡くなったデザイナーのヴァージル・アブローのミュージアムで行われた大規模なエキシビションだったことを思い出しました。亡くなるまでチャットでやり取りはしていましたが、最後に実際に会ったのがシカゴでした。あれからもう2年以上も経ったのかと思うとなんとも言えない気分になりながらマイアミへと飛び、到着したのはほぼ夜中。羽田から出て20時間は経っていました。ホテルにチェックインして、サウスビーチにある古い酔っ払いで溢れるバーで友達と待ち合わせをしました。マイアミっていうとみんなマイアミ市に全てがあると考えている人が多いんですが、違う市でマイアミビーチと呼ばれる大きな町が隣にあって、そこがいわゆる古いアートデコのホテルが並んでいたり、広大なビーチがあったりする、いわゆる観光客が想像するマイアミはそちらにあります。橋を渡ってその南側、サウスビーチのザ・場末なバーに行きました。ピンクのネオン管が店内の壁を走り、床は市松模様のやれたタイル、入り口ではセイキュリティがIDチェックさえせずただ一言、「キャッシュオンリーだぜ」と酔客たちに笑顔で話すだけ。めちゃくちゃ緩いんですよ。ジュークボックスからは80年代の懐メロのようなニューウェーブやらトップフォーティーがカラカラに乾きすぎて割れた音を出すスピーカーから流れていました。気に入った!と、入った瞬間に思いましたね。地元の友達に聞けば、なにやら飲み足りない人たちが夜の最後に訪れるバーだとか。「朝の5時に清掃が入って8時からまた開くんだ」と隣の酔っ払いのおじさんが教えてくれました。結局僕も5時まで飲み、上機嫌で帰ったのが初日でした。
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そもそも、なぜマイアミに行ったのかと言えば、そこで日本の女子プロの試合をするからでした。意味が分からないと思いますよね。ニューヨークの友達の知り合いに日本の女子プロの熱狂的なファンがいて、「こんなものアメリカには無い!ぜひ持ってきて見せよう!」というところからスタートしたらしいのですが、新しいリーグを立ち上げ、日本でのリングネームとは違う名前、コスチュームを着せて、新しいチーム。チームっていうのも例えば、原宿ガール的なセーラームーンのような衣装だったり、暴走族の特攻服のようだったり。そういう服をフランスのデザイナーで友達のオリンピア・ルタンがデザインして、チャンピオンベルトをプロダクトデザイナーのマーク・ニューソンがデザインしてと、女子プロを舞台にですね、サブカルとかファッションとかを融合したものを作りたいという話になって、そこで「ぜひ手伝ってくれ!」と言われて、もう半年ぐらいですかね?チーム名を考えたり、名前を考えたりしていたんです。それでマイアミで毎年行われる、世界でも1, 2位の大きなアートの祭典「アートバーゼル」の日程にぶつけて試合をやるから訓も来て、イントロダクション的に話をしてくれ!そう言われて、のこのこ行ったんです。が、マイアミに着くと話が全然違って、どうも僕がリングアナウンサーをやる。しかも試合が終わる度にリングに上がり、選手を呼び込み、試合が終われば勝者を絶叫して呼ぶ。色んなことをやってきた50年の人生ですが、プロレスのMCは初めてです。どうしよう。とは言え、まぁどうせマイアミのお客さんは生きていてきっと2度と会うことはないだろう、なんとかなるさとやることにしました。リハなしで。お客さんが会場のスケートパークに集まると、いるわいるわ、あっという間に超満員。来ると、「サインアップした人が3000人」と言われ、「なるほど」と答えました。ライトが落ち、リングにピンライトが照らされたところで促されました。「さあショウタイムだ!リングが訓を待っているわ!」なるほど、待ってないんですけどね。リングに上がり、辺りを見渡しながら唸りました。「レディース、エンド、ジェントルマン!レッツ・ゲット・ランブルー!」。始まってしまえば、僕こうみえて乗りやすいんです。そのあと2時間、何度同じセリフを吠えたことか。自分では淡々とやったつもりだったんですが、すごく受けまして。試合後たくさんサインをねだられました。「一体何年リングアナをやってるんだ?」と聞かれてゴニョゴニョ誤魔化しましたけど。まさか初めてとは言えないですからね。と言うわけで、50歳にしてまた新しい経験をしました。マイアミ、ありがとう。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。