ON AIR DATE
2024.02.18
BACKNUMBER
  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

Let's travel! Grab your music!


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

TUDOR logo

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

#489 --- 約5年ぶりに訪れた「パリ」---

前回の訪問時から変わってなかったパリの風景に安堵・・・

今回、訓市がパリを訪れた目的とは?
限られたフリータイムに現地で会って、
ひと時を一緒に過ごした顔ぶれとは?


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

「旅」と「音楽」に関するエピソードや思い出の
“お便り”をお待ちしています。
「旅先で聴きたい曲」のリクエストも大歓迎!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
番組サイトの「Message」から送信してください。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

2024.02.18

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

Bye Bye / フジファブリック

2

I'm Falling For You / 安部勇磨

3

ひとつだけ / アグネス・チャン

4

星に願いをかけるように / 赤い靴

5

Life Goes On / Ed Sheeran

6

I Hope You Really Love Me / Family Circle

7

How Can We Mend A Broken Heart / Kahil El'zabar

8

Kill And Run / Sia

9

Seasons / Wave To Earth

2024.02.18

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。

KUNICHI was talking

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

久しぶりにパリに行ってきました。もう4、5年振りとなります。最後に行った時はルイヴィトンのディレクターをやっていたヴァージル・アブローがまだ生きていた頃のことです。「訓、おいでよ」とかよく誘ってくれまして、ファッションウィークに行っていたんですけども、その発表される洋服が好きだ嫌いだを抜きにしてもすごく楽しかったのですが、彼が亡くなってからは誘われてもどうも気が乗らないというか、行く気になりませんでした。惜しい人を亡くしたなーというのはよく耳にする言葉ですけども、空港でつくづくそう思っていました。行きの飛行機で驚いたのが、経路をなんとなく見ていたというかアナウンスを聞いていたら、「北極を抜けてグリーンランドを越えて、アイスランドを越えて、パリには14時間何分後に到着します」・・・そう言っていて、あれって思いまして、昔って北極からロシアを下ってヨーロッパに行ったものですが、今戦争中だからか逆回りというか違った行き方をするんだなっていうのにびっくりしました。パリに着いてすぐ街を歩いたんですが、ぱっと見、以前から1ミリも変わっていないような気がしてホッとしました。もちろんコロナできっと古い店がたくさん閉まったり、色々とあるのだとは思いますが、街並み、建物が大幅に変わることはありません。実際に住んでいるパリの住人が自分たちの街っていうのをどう思っているのかは分かりませんが、観光客である無責任な僕にとってはそれは素晴らしいの一言に尽きます。パリって世界中で人気があると思うんですが、その一番の観光目的というのは何と言っても、その変わらない街並みで、一番人気のアトラクションっていうのはきっとその中を歩くということなんですから。パリの街並みが利便性を追及して、新しい建物だらけになったとしたら、果たして人はパリに行き続けるのでしょうか?何百年前の建物ばかりですから、改造するのにも許可が必要だったりと住人にとっては不便なこともたくさんあると思いますが、そうやってパリのことを考えると長屋がどんどん無くなっていく京都を思ってしまうんですけどもね。有名な博物館とかそういう建物を保護するだけじゃなくて、何気ない街並みをなんとか残して欲しいものです。セーヌ川沿いを歩いていると、要塞というか、まるで川崎にある鉄工所のような巨大な櫓が見えまして、「一体何だ?」と思って見に行くと、以前、火事で焼け落ちたノートルダムの大聖堂でした。パッと見、石が真新しく見える以外は以前と同じ威厳のある姿で、何がなんでも全く同じに復興させるぞ!という強い意志を感じました。そしてその建築現場を見ていたら、なんだか意味もなく、皇居に江戸城の天守閣があったらいいなぁと思ってしまいました。まあ実際そういう計画があるらしいのですが、皆さんはどう思いますか?もう天守閣が失われてから何百年も経っているので、東京のシンボルにはならないのかもしれないですが、高層ビルだけがランドマークじゃなくって、東京のルーツは江戸だっていうのを眺められるっていうのは良いんじゃないのかなと、江戸っ子の僕はパリで感じました。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

パリでは滞在が3泊でしたし、あまり時間がなかったのですが、何人かの友人と会うことができました。まず5年ぶりとなったショーン・ステューシー。「Stussy」というブランドを聞いたことある人も多いかと思うんですが、創立した張本人で、僕らの世代から流行り、今では当たり前となった“ストリートウェア”の生みの親といったところですが、本人のショーンは40歳そこそこでブランドを売却し、30年近くも悠々自適な生活を送っている人です。いつ出会ったかはもうすっかり忘れてしまいましたが、もう20年ぐらいですかね?コロナ前は1年に1度は2人でご飯を食べたり、カフェでお茶をしてきました。ショーンは波乗りをしながら、いつハワイにいるか、又はカリフォルニアにいたり南仏にいたりするので、とにかく場所が全く予想がつかないのですが、今回たまたまパリにいて、お茶をしようということになりました。今年でもう70歳になるということにびっくりしたのですが、相変わらずラッパーばりの高速マシンガントークは健在で、コロナの間にどこで何をしていたとか、最近のファッションについてとか、とにかく色々と話をしてくれました。グラフィック、ロゴだらけで作りが変わってない最近の流行りには思うことがあるらしいんですが、「ロゴを流行らせたのはショーンじゃないか!」と言うと笑っていました。でも、もし服を作るんだったらもっとモノとしてちゃんと作って差別化を図るべきだと話をしてくれたのは、なぜかとても新鮮でした。それからソフィア・コッポラに1年ぶりくらいに会いました。今年は映画『ロスト・イン・トランスレーション』の日本公開から20周年です。去年がアメリカの20周年で、何かやろうって言っていたんですが、今年こそ何か一緒に東京でできたらいいねぇという話になりました。どうなるか分かりませんが、年末あたりに何かできたら良いんですけどね。映画のままの景色と変わった景色・・・それこそパリと東京は対局にあるような街ですが、東京でなんとか映画の頃から変わっていない場所でやりたいねという話になりました。そして帰る日は午後が空いたので、ウェス・アンダーソンにも会えました。「ホテルをとっととチェックアウトして、スーツケースを持ってうちにおいでよ」と言われて、数時間ウェスの家でお喋りをして、最後に家族で一緒に夕飯を食べて帰ってきました。相変わらずのワーカホリックっぷりで、最初の2時間くらいは彼が仕事のメールをPCでこなしながら、横に僕が座り話をするという感じだったのですが、「あぁ次の映画のメールだ、これはね…」と説明をしていたかと思うと、次の旅行先の駐車場の写真をチェックしていたり。まぁ相変わらず同時にバラバラなことをしていて笑ってしまいました。次の映画の撮影がもうすぐ始まるんだと言って、紙芝居のようにラフ画に声をつけて回したデジタルで作った紙芝居のようなものを見せられた時は笑いが止まりましたけど。なぜならその手法っていうのは映画『犬が島』で始めた手法で、それを見た瞬間に、あの3年間拘束されまくった地獄のような製作時間をフラッシュバックしてしまったからです。それを言うと、今度はウェスが大笑いしていましたが、「また次のとか、撮影現場来る?」って言われて、やめとくよって言いましたけども、でも目を輝かせながら次作の映画について興奮して話すウェスを見ていると、歳をとるのって本当に悪くないのかなと一瞬でも思うことができました。必要最低限の持ち物で、波を求めて世界をフラフラしながら静かに暮らすショーン。出会ったのは20代ですが、50歳を過ぎて本当に昔よりはるかに綺麗になっていくソフィア。そして、目の輝きがまるでティーンエイジャーのウェス。最近、仕事に疲れ気味というか、酒に飲まれ気味だったんですが、なんだか良い友達と会って、気持ちがリセットしたような気分になりました。