★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
Let's travel! Grab your music!
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
#505 --- 訓市が最も繋がり感じているダウンタウン ---
テーマは、ニューヨークの「ダウンタウン」
半年ぶり、「メモリアル・デー」の時期に
ニューヨークを訪れた訓市が過ごした時間とは?
大親友のアーティスト、トム・サックスが
期間限定でオープンしている
「飛び切り楽しいスポット」とは?
お気に入りのエリア、カナルストリートの端に
ニューオープンするバーで
ニューヨークの友達たちと飲んで語った夜・・・
いよいよ、今年のニューヨークの夏が幕を開ける!
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「旅」と「音楽」に関するエピソードや思い出の
“お便り”をお待ちしています。
「旅先で聴きたい曲」のリクエストも大歓迎!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
番組サイトの「Message」から送信してください。
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
There'd better Be A Mirrorball / Arctic Monkeys
Day 1 / HONNE
Still Crazy After All These Years (The Concert In Central Park) / Simon & Garfunkel
The Lonely 1 / Wilco
眠りの島 / ゴンチチ
Pitch The Baby / Cocteau Twins
Un Soir, Un Chien / Laetitia Sadier
Dedication / Tommy Guerrero
High On A Rocky Ledge / Moondog
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
KUNICHI was talking
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
つい先日までニューヨークに行ってきました。前回は去年の冬の12月頃でしたから、半年ぶりになります。丁度、「メモリアル・デー」の週末に当たってしまったので、家族持ちの友達たちはマンハッタンから離れて、海のあるハンプトンや山があるアップステート、つまりニューヨーク州の北側に出かけている人たちが多く、彼らとは会えなかったのですけども・・・。「メモリアル・デー」というのは硬く言うと「戦没将兵 追悼記念日」という日なんですが、それと同時に亡くなった身内や親しい人たちを追悼したり、お墓参りをしたりする日本でいうお盆のような日です。毎年5月の最終月曜日が休みになるので、アメリカの人にとってはちょっとしたゴールデンウィークのようでもあり、特にニューヨーカーにとってはこの日を境に夏が始まるという連休となっています。僕はその始まりである金曜日に向こうに到着したので、残っていたのは「混む時期に、なんでわざわざ出かけなきゃ行けないんだ」「俺はどこにも行かないぜ!」という生粋のニューヨーカーと若い子たちだけ。いつもより人がいないような感じの街も悪くはありません。そもそも僕がニューヨークで一番好きな季節はこの初夏の時期です。日も暖かく、けれど湿気もなく、これから夏だという空気が街を漂っていて、皆どこか浮ついた気分で通りを闊歩しているからです。ニューヨークに来たのは、この番組でも度々話している仲良しのアーティスト・トム・サックスと仕事の話をする為だったのですが、着いた初日に話をしたらすぐに話がまとまってしまい、もういいやと早速街へと繰り出しました。前回は会えなかったスケーターの友達のスタジオに行ったり、そのまま近所のバーで他の友達と落ち合ったり。気づけばあっという間に朝。「よしよし、ストロングスタイルの時差ぼけ防止は今回も上手く作動しているぞ」と、夜明けにいそいそとホテルに戻って寝たのですが、たくさん寝れるかと思ったら起きたのは2時間後。何なんですかね。本当に時差ボケってどうにかならないのか。この番組には色んなリスナーの方がいますけども、医薬品会社の人いませんかね。何か特効薬を開発して欲しいんですけども。いま日本って産業が遅れていたり、ITが世界に追いついていないって焦ってますけど、僕はどんな先端技術より時差ボケ防止の薬だと思うんですよ、お金をかけるには。世界中で需要がありますし、個人的に言わせてもらえば、もし出ると言ったら一生分をキャッシュで買いますよ。本当に。そんな感じで寝不足で2日目がスタートして、土曜日だったんですけどもトムのスタジオで身内のパーティをしました。5月と6月はトムはソーホーにある自分のスタジオの一角をポップアップショップと展示会ができる場所「ボデガ」として他のアーティストに解放しているのです。建物の中に小屋を建てていて、DJブースがあったりバーになってるんですけども、本当に楽しかったです。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
トム・サックスのスタジオにある「ボデガ」。その建てられた小屋ではレジもあるんですが、お菓子が売られていたり、ホットドッグやコーヒーを作るスペースもあれば、東京に来てインスピレーションを受けたとかでゴールデン街のバーのような小さなソファ席もあって、さらにはスイスのIDカードを発行するブースまであります。まぁすごい好きで、前からパスポートを作ったり、今回はIDカードなんですけど、「なぜスイスなのか?」と聞いたら、「世界最強のパスポートだからだ」と。何だかよく意味が分からない答えが返ってきました。なんてったって所詮、偽造ですからね。なんですが、割と本格的なIDカードができます。それを持ってまともなレストランに行ったら、働いている人に身分証明書を見せてくれって言われて、このIDカードを見せたら通用しました。まぁちゃんと本物のパスポートも持ってたんですけども。20ドルで作れるので、今ニューヨークにいる、6月末までに行くという人は是非。そこで僕はDJをしながらお酒を飲んでいると知り合いがだんだん集まってきて、ここで音を出すのもなんだからどこか別の所で飲もうとなり、まだちゃんとオープンしていないという近所のバーに行くことになりました。そこが良かったです。ダウンタウンのカナルストリートの端にあったのですが、周りに住宅の無い角地で、外で騒いで飲める。ものすごい数がいましたけど、結局、僕の友達も50人くらい集まったのかな。その日は日中の気温が30度あり、夜もあまり気温が下がらずカラッとした空気。近くのビルの階段に座って飲む者、消火栓に座る者、酔っ払ってスケートを始める者もいれば、自転車でトリックを始める人、みんな思い思いのスタイルで、わいわいガヤガヤ。何だろうな、この感じと考えていると、2000年代に入ってからコロナ禍前まで、毎年夏の始めはこうやってニューヨークで過ごしていたなということを思い出しました。街って良いなと思うのは、本当にこんな瞬間です。辺りを見渡すと、もう20年知ってる歳の近い友達の姿もあれば、友達の息子・娘、年上の友達のなんなら孫世代までいました。それと一緒にこうやって飲めるっていうのは本当に素晴らしくって、僕はニューヨークに住んでいるわけではないんですが、何だか勝手に街との結びつきをすごく感じました。やってることは東京の渋谷と何が違うんだとツッコまれてしまえば何も言えないんですけども、夏の始まりに外で飲めるって本当に良いなぁと思いました。ヨーロッパの街も夏になると広場でみんな遅くまで外飲みをしますが、日本にもこういう場所がちゃんとあればいいなぁと。そんなことをずっと妄想しながら、僕はシナトラの「ニューヨーク・ニューヨーク」を脳内再生しながら、また友達と夜明けを迎えたのでした。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。