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Let's travel! Grab your music
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『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
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#509 --- スケバン・ワールド ---
先日のロサンゼルス旅で訓市が任された仕事は・・・
昨年のマイアミに続いて2度目となる
リング上でのマイク・パフォーマンスに
会場を埋め尽くしたLAの人たちの反応は?
タキシードにボウタイの正装で挑んだ
訓市の“MC魂”が燃え上がる!
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「旅」と「音楽」に関するエピソードや思い出の
“お便り”をお待ちしています。
「旅先で聴きたい曲」のリクエストも大歓迎!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
番組サイトの「Message」から送信してください。
訓市がセレクトした“お便り”の中から
毎週1通を厳選して、
「番組オリジナルTシャツ」をプレゼント!
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Sing For The Dumped (Japanese Version) / Ben Folds Five
Free Bird / The Orb
Summer Breeze / Jackie Mittoo
Redondo Beach / Patti Smith
夢の駅 / ザ・ブルーハーツ
The Child / Alex Gopher
Elderly Woman Behind The Counter In A Small Town (Acoustic Version) / Pearl Jam
Rose In The Dark / Cleo Sol
Lovely Day / Robert Glasper
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
KUNICHI was talking
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先日、ニューヨークに行った時の話はしたんですけども、その後、ニューヨークからロサンゼルスへと向かいました。国内ですが6時間のフライトで時差の関係があるので、ニューヨークを早朝に出て、ロスに着いたのが午前11時。1日がやたらと長くなってしまうので、やっとニューヨーク時間に体が慣れたところにまた時差が来ます。こういうのを国内で感じると、メジャーリーグで全米を転戦してる選手の人たちってどうやって管理してるのかなと。東京から大阪、そして福岡に行くのにいちいち時差があったらどれだけ辛いかっていう。例えば東京と福岡で時差が4時間あったら結構辛くないですか。まあそれは置いといて、ロスに向かったのは昨年末にマイアミで開催された日本の女子プロの新団体「スケバンワールド」の試合があるからです。突然、無茶ぶりでリングアナウンサーをやらされた12月のマイアミ。もうないだろうと思っていたら、「これから毎回、必ずあなたよ。何を言ってるの?」という感じで有無を言わさぬ展開で、「次はLAよ」と強引に呼ばれたのです。会場はロスのダウンタウンにある古いホテルの1階にあるコンサートホール。90年代に謎のオーナーが現金で買ってからずっと放置されているという物件。どうやってこんなところ見つけたの?とも思いましたけど、まだこんな物件があるんだという場所にありました。東京で言ったら新宿とか新橋あたりの大きなホテルが角地にあるとして、それがずっと放置されてる感じです。そしてそのホテルの1階にあるホール。頭上にはドーム型のガラス天井でステンドグラスで彩られていて、四方はバルコニー席がある本格的なもの。2000人という収容人数はマイアミの時と同じですが、マイアミの場合、高速の高架下にあるスケートパークでやったので、野外の音とかそういうのが一緒になってなんとなく盛り上がってる雰囲気を作りやすかったんですけども、ここは違うと思いました。お客さんが入ったら、その目線と耳が完全にリング上のみに注がれるってやつです。参ったなと思っていたら、友人の主催者は「今日、今まで話していた私たちの新しいビジネスパートナーになりそうな投資家とか、そういう社長さんが全員来るのよ」って。「ありえないぐらい大物も来ることになったし、つまり今後の私たちの生活がこの試合にかかってるからよろしくね」と簡単に言われてしまいました。つまり、何を言おうとしてるかと言うと、「スベるな!」ということです。スベってはいけない。そう言われると早口で余計なことをついまくし立てちゃったりする人たちがいますけども、それは一番ダメな対処法です。スベってはいけない雰囲気の時こそ、余計なことは言わず、ゆっくり喋って、ゆっくり動けばいいんです。リハをやりながら「登場曲を決めてください」と言われた頃に僕は、「今晩はひとつ、しつこく行こう」とぼんやり考えていました。
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「しつこく行こう」というのは、つまりゆっくりと反応があるまで同じことを繰り返せばいいということです。アメリカ人の前で喋ったりとかスピーチしたことがある人は分かると思うんですけども、最初はあんまり反応がなくてもしつこく煽っていくとどんどん勝手に乗っていってくれる。つまり、十分に乗ってくれるまでしつこく煽ればいいのです。「登場曲はまず、日本の曲がいいな。それでもって、アメリカ人も知っている曲」ということで布施明バージョンの「マイウェイ」をかけました。ディッキーズさんがこの日のために…という訳ではないんですが、1点もので50歳の誕生日に作ってくれたタキシードに棒タイを着て出ろというリクエストがあったので、タキシードには「マイウェイ」しかないじゃないですか。こう、皆さん歌おうとしたら歌詞が日本語で歌えないっていうところで、1人ニヤニヤしていたんですけども、あっという間に本番が来て、袖でちゃちゃっとタバコを吸った後、花道を「マイウェイ」ともに歩きリングに上がる。ああ神聖な俺の血と汗と涙が染み込んだリング…というわけでは全くないんですけども、リングに上がってスポットライトを浴びるとそんな気分になってくるから不思議です。そして、「猪木さん、見てますか…ダーっとかましますよ!」という気分にもなってくるから不思議です。「さあ、ここでアメリカンキッズに闘魂でも見せてやるか」と思いまして「are you ready!!」と煽りました。間を開けて繰り返すだけで、やがてホールはものすごい大歓声に包まれました。本当にアメリカ人ってこういう時、最高だと思います。というわけで5試合、1時間半の試合は全て大盛り上がり。あっという間に終わりました。マイアミも良かったんですけどもロスのお客さんのノリは本当に素晴らしかったです。まあライブとかに行ってもロスでバンドを見たり、ヒップホップのライブを見てもすっごい楽しいんですけども、日本でもああならないかなと。僕は日本で映画とかのトークショーとかに借り出されたことがあるんですが、ま、そういう時って皆さん本当に真面目で頷きながら聞いてくれて、何なら3分の1ぐらいメモを取ってたりするんですが、そうなると何かちょっと笑わそうと思っても、これウケるかな?と思って見たら、だいたい皆さんメモを取ってた顔を上げて、「ハ?」みたいな。「何を言った?」みたいな目で見られるんですよ。もうあの時のステージって本当にツライですからね。自分も何事もなかったようにスルーしたりするんですが。まあ、もともとは僕は人前で話すのが仕事でもなければ好きでもなかったんですけども、あまり緊張しないたちというか、言われた通りにやれてしまうので勘違いされることが多いんですよね。ほとんど断ってるんですけど、こういうところで話しませんかとか。今回も終わった瞬間に「お疲れ様。次は9月末かな」と言われました。まだやるの?っていう感じなんですが、アメリカのどこかならいいのかなと思います。同じ街でなければ同じことを喋ってもしばらく飽きられなそうですし。まあじゃあ、あと全米20カ所ぐらい行くかみたいな、“MC魂”が謎に生まれた今回のロサンゼルスでした。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。