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Let's travel! Grab your music
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『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
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#511 --- つい足が向いてしまう“コンビニ”---
テーマは「コンビニ」
誰にとっても当たり前の存在で、
無くてはならない「コンビニ」・・・
その有り難さについて訓市が語る。
帰宅直前に足を踏み入れて
店員さんと交わす会話の思い出
もし、行きつけのコンビニが
????????してしまったら・・・
さらに、番組宛に届いた“お便り”を
訓市がセレクトして紹介!
リクエスト曲や選曲オーダーにもお応えします。
独断で選んだ“今夜の一枚”には
番組特製オリジナルTシャツをプレゼント!
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「旅」と「音楽」に関するエピソードや思い出の
“お便り”をお待ちしています。
「旅先で聴きたい曲」のリクエストも大歓迎!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
番組サイトの「Message」から送信してください。
訓市がセレクトした“お便り”の中から
毎週1通を厳選して、
「番組オリジナルTシャツ」をプレゼント!
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
Fly Like An Eagle / Steve Miller Band
Broken Drum (Boards Of Canada Remix) / Beck
Sentado A Beira Do Caminho / Erasmo Carlos & Roberto Carlos
Woman In Chains / Tears For Fears
Piece Of Future (Demo) / フィッシュマンズ
The Paperstud / The Savage Young Taterbug
Theme From A Summer Place / Percy Faith
Untitled 1 / Sigur Ros
Dawn Chorus / Thom Yorke
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
KUNICHI was talking
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コンビニは僕が小さい時には無かったんですけど、小さい頃っていうのは東京の中でも色んなところに商店街があったり、色んなお店が近所にありました。僕が小さい頃住んでいた街の家から100メートル、200メートル歩いたところには八百屋さんや魚屋さん、肉屋さん、色々ありました。天井から紐でザルをぶら下げて、そこにお金を入れて、それがレジ。お使いに行って10円足りなかったりしてもおまけしてくれたりしてました。小さい時に顔を覚えてもらって「またおいでね」と言われれば、なんかすごく嬉しくて、またそこで買わなければと思ったものです。都会暮らしというのは他人に関心を持たない、冷淡だという人もいますが、実はそんなことなかったんだよって今でも思います。まあそれっていうのはだいたいが個人商店の話なんですけども。同じ人が毎日そこで働いてるわけで、何度か目の前を通ったり、通ううちに顔馴染みになる。そのうち挨拶したり、僕はそういうのがわりと好きで、海外に行ってもよく前を通ったり、通ううちにお店の人とだいたい仲良くなります。よく行くニューヨークのダウンタウンにあるカフェではいつの間にかレシートを見たら値段が安くなっていました。書いてあるんですけど、ローカル=地元の人向けディスカウントっていうのがあるんですよ。「お前はよく来るから観光客じゃなくてローカル扱いだから」と言われてとても嬉しくなりました。こういうのは東京にあってもいいのかなって思います。と言うのも最近、海外からの観光客がどこにでもいるじゃないですか。いつもは常連さんだけだった落ち着いたバーとかにもSNSとかの影響で観光客が溢れるようになりました。もう混んでて行きたくねーな〜なんて思う常連さんに、この地元割引なんてのがあれば、また行こうかなとも思うじゃないですか。それ以外にもニューヨークでは古着屋さんで頼んでないのに安くしてくれたり、バーで最初の1杯が店の奢りになったり。そういうことされると張り切って余計に飲んじゃうじゃないですか。しかも友達を連れて儲けさせてあげなきゃと思ったり。僕がニューヨークが好きな理由の1つにこういうやり取りがダウンタウンではできるからなんですけども。つまり僕が好きなお店っていうのは個人経営の店ばかりだということに気がつきました。毎日ほぼ同じ人たちが一生懸命に働いているところで、自分の仕事にプライドがあるところ。そういうお店に自分が一生懸命働いて稼いだお金を払いたい。チェーン店ですと働く人たちのシフトが頻繁に変わりすぎて顔が覚えられなかったり、何より勝手なサービスっていうのはできないですよね。けれど残念ながら個人経営の店っていうのは、ここ東京でもニューヨークでも減ってきてる気がします。東京の場合ですと後継者問題なんていうのもありますし、家賃が上がって払えなくなったり、働くバイトの人が見つからなかったり。先ほども話しましたけど都知事選とかあって、次は4年後ですっていうニュースとかを見るにつけ、そもそも4年後の東京ってどうなっちゃってるんだろう。都心ら辺にはチェーン店ばかりが生き残るようになってしまうのかなと、そう思います。癖の強い店主がいて、他に替えがきかないような店。そんな店がたくさん残っていたらとても嬉しいんですけれど。
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「訓市君はチェーン店が嫌いなのか?」そういうふうに言われがちなこともあるんですけども、まぁ基本面白くないなと思うので、あまり思い入れがないっていうのが正直な答えですが、中には例外もあります。僕は家の近所にあるコンビニが大好きなんですよ。そこは昼はマネージャーのようなおじさんがいて、いつもニコニコして挨拶をしてくれて、とても気持ちのいい人です。それで夜には夜専用機のようなまた違うおじさんがいて、その人もとても良い人です。僕はまぁ週8日くらい飲んでるんですけども、だいたい酔っ払って千鳥足で家にたどり着く前にタバコが切れるとか、小腹が減ったぞ、今の時期だとザルそばとかおにぎりでも食べてから寝ないと!と思ってまるでゴキブリホイホイに吸い寄せられるゴキブリのようにそのコンビニに行ってしまうんですよ。まあ他のお客さんなんか絶対いない時間帯なんですが、するとおじさんが奥から出てきて、「今日もだいぶ飲みましたね」と笑いながら迎えてくれるんです。毎回そこで軽い立ち話とかをします。逆にたまに夜中過ぎくらい、12時過ぎとか1時ぐらいに寄ったりすると、「今日はどうしたんですか?早いですね」なんて話にもなり。「や、早いんですけど、飲み始めたのが夕方の5時で」なんて話をすると、「何時間飲んでるんですか。たまには早く寝ないとですよ」と心配されたり。なんか家に帰る前にこういうやり取りがあると、箸休めと言うかホッとするわけですよ。「お、ちゃんと喋れる程度に意識があるぞ」と、そういう確認もできますし、お店に入ってレジに向かうと何も言わなくてもマルボロゴールドを取ってきてくれたり、もう阿吽の呼吸なんです。このコンビニ、実際にはファミマなんですが、もうこうなってくると僕にとっては個人商店のようなもので大好きになりました。大好きになったと言っても品揃えは全然好みじゃないんですよ、はっきり言って。今の時期ですとアイスが食べたいってなるんですが、僕の大好きな赤城のブラックアイスはここじゃなくて離れた所にあるセブンイレブンにあります。けれども赤城のブラックを我慢してでもこのお店で売り上げに貢献しようと思う何かがこのファミマにはあります。それも一重に店員さんたちが良い人で親切だからです。なんですが、最近店に行くと何だか商品が少ない気がする。嫌な予感がしたのですが、わざと聞かずにいました。そしたら先日、向こうの方から「実はここ閉まるんですよ」と言われて言葉をなくしてしまいました。「建物が老朽化したということで、もうすぐお終いなんです。長い間お世話になりました」と。「全然古くないじゃないですか。この建物のどこが老朽化してるんだ」。思わずマネージャーさんに言ってしまいましたけども、まあ、それで色々また考え込んでしまったんですが、僕チェーン店が嫌いなわけでも個人商店だけが好きなわけでもなくて、結局はその場所で働いてる人たちによるんだなと思いました。そういうコミュニケーションを取れる人たちがいるお店が減ってきたんだなということに気づきました。目を見て挨拶してきてくれたり、ちょっとした声をかけてくれたり、自分が仕事をする時はそういうことをちゃんとしようとまた肝に命じました。そしてそれはラジオを聴いてるリスナーの皆さんたちも、暑くなったり疲れていると挨拶とかそういうのがぞんざいになってきますけど、言われた方は嬉しいものです。近所のファミマの皆さん、今までありがとうございました。また、東京のどこかの街でフラッとファミマに入った時、挨拶できたら嬉しいです。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。