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Let's travel! Grab your music.
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『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
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#513 --- バンコクで出会った地元の若者たち ---
先日、仕事で訪れたバンコク・・・
ここ何年間か手がけてきたプロジェクトが完成し、
そのオープンを祝して各国から集合した
友人たちと過ごしたバンコクの夜。
自身が手がけたレコードバーで催された
DJイベントで出会った地元の若者たちの様子を眺めながら、
訓市が頭に思い描いたシーンとは?
放送500回を記念して製作した
オリジナルTシャツのプレゼントも継続中!
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「旅」と「音楽」に関するエピソードや思い出の
“お便り”をお待ちしています。
「旅先で聴きたい曲」のリクエストも大歓迎!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
番組サイトの「Message」から送信してください。
訓市がセレクトした“お便り”の中から
毎週1通を厳選して、
「番組オリジナルTシャツ」をプレゼント!
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
All Things Must Pass (Anthology 3 Version) / The Beatles
Line By Line / Prep
Poetry / The RH Factor feat. Q-Tip & Erykah Badu
Skiptracing / Mild High Club
Lily Of Da Valley / Dragon Ash
The One / Kodaline
All The World Loves Lovers / Prefab Spraut
Slip Into Something More Comfortable / Kinobe
Visit Croatia / Alabaster DePlume
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
KUNICHI was talking
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バンコクに行ってきました。以前、レコードバーとジャズラウンジがくっついたお店とタイレストランのデザインを手掛けたのですけども、同じオーナーがセレクトショップのオープンから10年経ったということで、場所を移動してリニューアルオープンしたいから、そのデザインをやってくれないかと依頼を受けて働き出して、もう1年以上ですかね、やっとそのお店がオープンする。そして元々のその会社の10周年のお祝いを兼ねてというのが理由でした。何度もこの番組でも話していますけどもバンコクというのは僕にとって、とても馴染みの深い街です。今の20代とか若い世代にとってどんな印象なんでしょうね。僕ら90年代育ち、格安航空券というものが登場して気軽に世界を旅をするということの恩恵を受けた者たちにとって、タイ・・・そして、バンコクというのは駆け込み寺というか、アジアを旅するのに必要不可欠な街でした。カオサンロードという安宿街があって、そこにはトラベルエージェントがもう無数に軒を連ねていました。バンコクまでの往復チケットが4万円。これ、格安航空とかじゃないですよ。普通の航空会社ので。とにかくバンコクまで行けばなんとかなったのです。1泊数百円の宿。天井でガタガタ言う扇風機を眺めながら、暑くて寝付けない夜をどのくらい過ごしたかって言うと、もう数え切れないんですけども、個室に寝るなんて本当に夢で・・・。ただ、同じ部屋で出会ったヨーロッパから来たバックパッカーとずいぶん仲良くもなりました。一緒にインドに行った友達とかもいますし。本当に疲れている時だけエアコン付きの部屋に贅沢して泊まろうと言って涼しい部屋で寝れる時の感動って、皆さんにどうやったら伝わるんでしょうかね。これ天国じゃないかっていう。もちろん、最近流行りの南京虫というのを初体験したのもこちらの街でした。朝から好きなものを食べまくって、トゥクトゥクに乗って適当に過ごして、酒を飲む。冷えたシンハービールに合成酒のラムですね。原料が何だか分からない。でも汗まみれで飲むと、どんな高級なバーで飲むより美味しかった気がします。世界1周チケットも、乗り継ぎの嵐ですけども10万円台から買えました。信じられますか、世界一周が10万円って。ちょっとしたバイトしてお金を貯めたら、すぐバンコク。そんな友達がずいぶん周りにいた気がします。インスタなどのSNSで見る景色より本物の景色を見られる旅がわりと身近にありました。写真見せて、「いいな」って言うより、「じゃあ俺も行こっかな」って言って、パッと行ける感じです。そんな思い出深い街、バンコクで仕事ができるようになったのですから、人生って不思議なものです。仕事相手がチケットを手配してくれてバンコクに行く。タイムマシーンがあったら20歳の自分に教えてあげたいです。「肉体労働とか、1晩にカクテル100杯とか作らなくてもバンコクに行ける大人に君はなれるんだよ」って。絶対信じてくれないと思いますけどね。なので、この歳になっても、こうやって呼ばれる時に飛行機に乗るとしみじみとかみしめてしまうんですけども。感謝してます、と。
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去年の夏の終わりにその物件の確認をしに行って以来のバンコクでしたが、1年と経たないうちに更に高層ビルが増えていました。円安も進んでるような気がしますし、昔の感覚が抜けていないで、綺麗めな場所でご飯を食べるととんでもない値段になります。ご飯はやはりストリートフードが安くて美味しいので、そこで済ませれば大丈夫なのですが・・・。今回は友達の店の10周年ということで、共通の色々な友達がアジアから集まりました。ジャカルタでクラブをやってるパーティー集団やら、同じくインドネシアのバリでホテルもやってる仲間、シンガポールのファッション系の旧友に香港のご飯屋さんのシェフ。そこにロサンゼルスからアジア系のDJやタトゥーアーティストも来て、スピーカーを作ったデヴォンだけがニューヨークから来た非アジア系。これだけアジア系が集まるっていうのも面白かったんですけども、毎晩会ってご飯を食べたりお酒を飲んでいたのですが、本当に感慨深いものがありました。先ほど話した90年代のタイ、アジアですけども、当時は旅行に来てる若いアジア人といえばほぼ、と言うか絶対日本人だけ。バックパッカー時代にアジアの友達ができたことは、そういう意味ではありませんでした。お店の人とかはありましたけどね。それが今では日本人より他のアジア人の旅行客の方がはるかに出歩いてますし、出会いもあります。彼らにとってバンコクは飛行機で2、3時間という、まるでちょっと遠い国内観光の感覚で集まってくるのです。僕はどこか勝手に東京は世界に名だたる大都市で、アジアの中心なんだと思いながら育ってきた気がします。欧米先進国の中でただ1人アジアから来てる代表、それが日本なんだぜ。そんな空気というのは90年代まで確かにあったと思います。けれど今は本当に違うんだなって思いました。日本はアジアの中の一国であり、みんな仲間でフラットな感じになってるんだなと強く思いました。僕の海外の友人というのは昔は偏っていて、ほぼアメリカ人とヨーロッパ。それもイギリスとかフランス、イタリアだけみたいな感じでしたけども、今となっては気づけばアジア各地の国にまんべんなく知り合いや友人がいるようになってきました。時代は変わっていくのです。ということで、これからの若い人たちはアジアが更に身近な国々として留学する先になったり、仕事先となったりするというのがどんどん増えていくと思います。学生のうちにやっぱりハワイでのんびりしてみたいとか、パリを歩いてみたいとかも良いですけど、お金を貯めて色んなアジアの国を回ってみるのもすごく良いんじゃないかと思います。もう本当に変わらないんですよ、日本。なんかそういう意味では・・・。何で強く思ったかって言うと、その僕と仲間が数年前に設計したジャズラウンジでのリスニングパーティーでレコードを聴く時にそう思ったんですね。スピーカーを設計した友人のデヴォンが選ぶジャズレコード。目を輝かせて聞くタイの若者たち。それはまるで、渋谷のレコードバーで眺める若い日本人の子と同じ雰囲気でした。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。