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Let's travel! Grab your music.
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『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。
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#519 --- 今、改めて“寿命”について考える ---
50歳を過ぎた訓市が今、
考えている「寿命」について語る。
そもそも、改めて「寿命」について
考えるようになった「きっかけ」とは?
誰もが避けて通ることはできない「寿命」...
訓市はどのように向き合っているのか?
今を生きる全ての人たちに向けて、
一つの考え方を提示します。
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「旅」と「音楽」に関するエピソードや思い出の
“お便り”をお待ちしています。
「旅先で聴きたい曲」のリクエストも大歓迎!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
番組サイトの「Message」から送信してください。
訓市がセレクトした“お便り”の中から
毎週1通を厳選して、
「番組オリジナルTシャツ」をプレゼント!
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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛
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MUSIC STREAM
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
A Little Spice (Gang Starr Remix) / Loose Ends
G.O.D. (Gaining One's Definition) / Common
Another Day / 少年ナイフ
I'd Do It Again / Violette Wautier
Lululu / Home
Tunnel / The Dining Rooms
Shhh / Miles Davis
Checo Y Moi / Yuuf
6 Feet Under / Kenzie
ON AIR NOTES
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。
KUNICHI was talking
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「寿命」というものがありますが、皆さんはそれをどう思っていますか。番組をやっていると、いろんな方から”お便り”をいただきます。まだ10代の学生さんから、それこそ80代の方まで。音楽とお便りを通じて旅というのを軸に、バラバラな方たちがそれこそ性別や年齢を超えて、同じ1時間を過ごすというのは何とも贅沢というか非日常的な時間だなと思っています。そんなバラバラな僕たち全員が等しく、いつかは迎える平等なものに「死」というものがあります。こればっかりはどうすることもできず、今こうして話している僕も、聞いてくれている皆さんも、いつかは必ず死にます。それがいつか?分からないというところに、ものすごく不安を感じる人もいれば、ただそのいつか死ぬということが人生を豊かにしてくれるんだなあと思うこともあります。終わりの無い物語なんていうのは本当につまらないと思います。自分の物語が完結するまで僕らはあくせく働きながら、ああでもないこうでもないと言ったり、泣いたり笑ったりしながら過ごすわけです。苦労の無い人生も無ければ、楽しいだけの人生も無いと思います。僕は51パーセント笑える楽しい人生だったらいいなと思って毎日を暮らしています。なぜなら、51パーセントを超えれば統計学的には“笑える楽しい人生”だったと言えるわけですから。今のところ、それはとても上手く行ってるような気がします。ちょっと嫌なことがあったら飲みに行ったり、くだらないコントをビデオで見たり。寝る前に少しでも笑えればそれは良い1日だったと思える・・・ 性分では無いんですけども、そういう風にしないで寝ることはしないと決めていますので。なので、もう随分と、「ああ、今日1日なんて嫌な日だ」というのを思って無いなと勝手に思ってます。そんな僕が何で今日いきなり寿命の話なんかをしようかと思ったかと言うと、今年に入って40そこそこの知人が2人も亡くなったからなんですね。僕よりも10歳若い。僕がこのラジオを始めたのが41歳の時ですから、そこからの10年というのは短いようでとても長く楽しい時間でした。それまでやってきたことがやっと形になるというか、身に付いたというか、色んなことにトライできるようになったり、関わる仕事の業界のしきたりみたいのが色々あってやりづらいなと思っていたんですが、それを無視し続けて働けるようになった時代。自分のiPhoneの写真を見れば41歳から今までの写真が全部そこにはあります。あんなこともした、あんな所にも行った。これも全部この10年のことかと驚くくらい色んな所に行って、たくさんの思い出が残りました。
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41歳から今までの10年って物凄くいろんなことをした。そう考えると、41歳で人生を終えてしまった知人はさぞ無念だったと思います。死なずにいたら、どれだけのことがそれからの10年で出来たことか。しかも2人ともとてもバイタリティーのある人たちだったので、本当にいろんなことを形に出来たと思います。海外へたくさん赴き、そこで吸収したことを東京を拠点に形にして行った人たちでした。これまでの日本に無いものをどんどん作り上げるのだろうと僕は思っていましたから、病でその可能性を突然断たれてしまったということは本当に無念だったと思うんです。けれども41歳のその終わりが来た日までの人生というのには悔いが無さそうな2人でした。色んなことを手掛ける姿をどこかあっぱれと思っていましたし、その死を聞いた時は人生を祝福してあげないとなと思いました。量より質ではないですが、自分がやりたいことを自分らしく濃く生きたのだとしたら、悲しいことですけど、やはり祝福したいなと。そうやって考えてるうちに、やっぱり自分もそういう風に生きて行きたいなと改めて思ったわけです。世界的に長寿の民族と言われてますが、日本人の平均寿命というのは全員にあるわけではありません。あくまで平均です。極端に短い人も、ものすごい長い人もいての平均です。そしてそれはやっぱりいつやって来るかも分からない。僕らは準備をしておかなければならないと思います。と言うのも、何も終活や断捨離を今から始めろっていうわけじゃないですけども、意識を常にするというのは必要なんじゃないのかなと。僕は、私は今の毎日、これでいいのかなと迷ったら、いつ死ぬか分からないと考える。僕の場合それが極端に言ってキリギリスの生活に人生の片足を突っ込んでるような気もします。それでいいとも言えないんですけども、せめて心はキリギリスでいたいと思うんですよね。アリではなくて。特に若い皆さんの人生は季節で言うと春とか初夏なわけですよ。ワクワクする時期で、色んなものをたくさん見て感じて、これから自分がどう生きて行きたいのか、そのための地図と時刻表を作る時期です。経験と思い出っていうのはそのための食べ物・栄養だと思うんですよ。以前も番組で話したことがありますが、僕らバブルの頃に10代を迎えた90年代の頭ですけど、そういう者と今現在の同年代の人たち、お小遣いというか持ってる金額ってあんまり変わらないらしいんですよね。けれど時代感って言うんでしょうか、街に漂う雰囲気とか未来に対しての希望をどういう風に持てるかっていうのが違う。僕らの頃は有り金を全て使い切ってバイトすりゃいいとか、なんとかなるさっていう時代でしたが、今はお金が余分に少しでもあったら貯蓄に回すという人がとても多いらしいです。自分に投資ということでお金は大切に使わなければいけませんけども、色んな所に行ったり食べたり、世界を感じるために使ってみてください。一度の人生、後悔が無いように。
野村訓市
1973年東京生まれ。幼稚園から高校まで学習院、大学は慶応大学総合政策学部進学。
世界のフェスティバルを追ってのアメリカ、アジア、ヨーロッパへの旅をしたトラベラーズ時代を経て、99年に辻堂海岸に海の家「SPUTNIK」をプロデュース。世界86人の生き方をたったひとりで取材した「sputnik:whole life catalogue 」は伝説のインタビュー集となっている。
同名で「IDEE」よりインテリア家具や雑誌なども制作。現在は「TRIPSTER」の名で幅広くプロデュース業をする傍ら、ブルータス等の雑誌などで執筆業も行う。