ON AIR DATE
2024.10.13
BACKNUMBER
  • J-WAVE
    EVERY SUNDAY 20:00-20:54



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 Let's travel! Grab your music.


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TUDOR logo


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『TRAVELLING WITHOUT MOVING』・・・
「動かない旅」をキーワードに旅の話と、
旅の記憶からあふれだす音楽をお届けします。
ナヴィゲーターは世界約50ヶ国を旅した野村訓市。

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#523 --- レジェンドであり、今も現役! ---

訓市がリスペクトした憧れの存在であり、
伝説かつ現役のアーティスト、
フューチュラについて語る。

初めて会ったのは1999年・・・
その時の第一印象や今でも覚えているエピソード。
取材相手のブッキングに難航する中、
ひとりぼっちの訓市がニューヨークで
いかにしてフューチュラと繋がることができたのか?

先日の初トルコ訪問に滞在中、
彼と一緒に過ごした充実した日々について語る。

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毎週1名の方には、
「500回オンエア記念Tシャツ」をプレゼント。

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番組スタートから11年目に入って、
いよいよPodcastがスタート!
毎週日曜日の20時に最新版をアップします。
こちらも聴いてください〜

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「旅」と「音楽」に関するエピソードや思い出の
“お便り”をお待ちしています。
「旅先で聴きたい曲」のリクエストも大歓迎!
手紙、ハガキ、メールで番組宛てにお願いします。
番組サイトの「Message」から送信してください。

訓市がセレクトした“お便り”の中から
毎週1通を厳選して、
「番組オリジナルTシャツ」をプレゼント!

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宛先は・・・
〒106-6188
株式会社 J-WAVE
TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING 宛

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2024.10.13

MUSIC STREAM

旅の記憶からあふれだす音楽。
動かなくても旅はできる。
ミュージック・ストリームに
身をゆだねてください。
1

Loving You / Michael Jackson

2

Books Are Burning / XTC

3

Lost In Your Eyes / Debbie Gibson

4

Time's Running Away / Kelly Jones

5

Flow / Gagle

6

Strings Of Eden / Alex Kassian

7

Tuesday / Toro y Moi

8

So, Soo Pretty / LANY

9

Past Lives / Borns

2024.10.13

ON AIR NOTES

野村訓市は、どこで誰に会い、
どんな会話を交わしたのか。
何を見たのか、何を聞いたのか。
その音の向こうに何があったのか。


KUNICHI was talking

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先日の放送で、イスタンブールに行った話をしたのですが、今回はそこに一緒に行ったアーティストの「フューチュラ」について話したいと思います。リスナーの皆さんでストリートアートとかカルチャーが好きな人はその名前を聞いたことがあると思うんですが、ほとんどの人はまあ知らないかもしれません。その名前を聞いたことがありますか?70年代にニューヨークの地下鉄で、スプレー缶を使ってグラフィティを描き始めた最小期のスターの1人で、今は世界中のギャラリーで個展をしたり、ナイキで靴とかをデザインをしたりコラボで洋服を作ったり。“現役バリバリ”のアーティストなんですけども、グラフィティの世界でもアートの世界でも“レジェンド”として尊敬を集める人です。「フューチュラ」、本名はレニーというのですが、僕が彼に初めて出会ったのは1999年のことですから、もう気づいたら25年ぐらいの付き合いになります。その頃の僕にとってフューチュラっていうのは、カルチャーの神話の中の人みたいな感じで、もちろんまったく接点もありませんでした。彼はグラフィティーで有名なだけじゃなくって、パンクバンドのクラッシュのジャケットをデザインしたり、ツアーでライブでペインティングしたり。かと思うとニューヨークでピストバイク、競輪の自転車と同じブレーキの無い自転車でバイクメッセンジャーをしていた人でもあり、90年代にイギリスで人気のあったレーベル、「MO’ WAX」のジャケットをたくさん手掛けたりと、その活動は嫌でも目に入ってくるっていう感じで。作品を目にしたり雑誌で見る度に、「いやーすごいレジェンドだなぁ」と思っていたんですが。この番組で話したこともありますが、『sputnik』というインタビュー雑誌を作ることになってニューヨークにいた時のことです。当時知り合いの家に居候して、携帯もないので毎日ネットカフェに行って取材させてくださいというメールを無料メールのホットメールから送る日々。もちろん無視されまくった訳で、時間だけが過ぎて取材ができないと落ち込む日々だったんですが、道で知り合った人からわらしべ長者のように色んな人に繋がってインタビューが出来るようになりました。そのうち、ラッセルという当時ソーホーのスプリングストリートでサーというお店兼事務所を持ってる人と仲良くなりました。「お前は携帯も何もないのなら、好きな時にこの事務所に来て電話をかけるなりメールしていいぞ」というありえないようなオファーをしてくれました。ニューヨークで、しかもソーホーのど真ん中で、こんな親切な人っているのか。見てくれがロシアンマフィアみたいな人だったんで信じていいのか迷いましたけども、本当に親切にしてもらって今でも思い出す度に感謝しています。ラッセルの事務所と同じ通りにすごく安いスライスピザ屋があって、そこで1ドル少々のピザを食べてからその事務所に行って電話を借りたりしていました。そこで働く日系人の女の子に「このしょっちゅう来る金のなさそうな日本人はいったい誰なんだ。」そんな顔を最初はされていましたが、そのうち喋るようになりました。これが以前もお話ししましたけども、名前がじゅんちゃんと言って、今は歌手として活躍されてるJUJUさんです。もう格好もバリバリのニューヨーカーというか、地元乗りで「YO!」っていう感じでアメリカ人だと思っていたので、日本人だと聞いてびっくりした覚えがありますけども。そんなこんなで毎日勝手に使っている時に、ある日ラッセルがいて「インタビューは誰としたいんだい。誰か紹介してやろうか。」といきなり電話をし始めた相手がフューチュラでした。


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いきなりラッセルがアポをとってくれまして、翌日、僕は緊張しながらフューチュラのスタジオへお邪魔することになりました。グラフィティのレジェンドで、ヒップホップの発展をつぶさに見てきた神様。ギャング乗りの怖い人だったら嫌だなあ。ところが着くと、文字通り両手を上げてハグしながら迎えてくれました。とにかくお喋りで、ユーモアがあるというかギャグを欠かしませんし。すごく優しくて、レジェンドぶったところなど1ミリもない。スタジオでは渋いヒップホップとかがかかってるんだろうという僕の予想も大きく裏切られました。なんとテクノ、トランスがかかっていたのです。「フューチュラはこういう音楽を聞くの?」と聞いたら、「最近知り合った子に教えられてね。良いよね、これ。」って。そう言われた時のことを、僕は今でもよく覚えています。日本で雑誌とかメディアで仕事をしていると気付くのですが、ついついこちら編集が望むキャラクターに相手をしてしまいがちだからです。フューチュラだったら、渋いエピソードばかり前書きで書き、いかにすごいレジェンドで、そのジャンルの完璧な人であるとか。僕がそれまでに読んだインタビューには、彼がいかにユーモアがある人であるとか、その冗談を書いてあるものは1つもありませんでした。たぶん、編集やライターが勝手にエディットしたんだと思います。本当の人物像をちゃんと知らせたいな…。そう思うようになったきっかけがフューチュラでした。それ以来、ちょこちょこいろんなとこで会うようになりました。ニューヨークでも、東京でも、パリでも。そして、いつも全く変わらず「ヨーブロ!」という感じで、両手を挙げてこちらを迎え入れてくれます。今回、イスタンブールでホテルも一緒で、朝起きてコーヒーを飲みながらタバコを吸ってるとフューチュラが降りてくる。69歳で、まだキャメルの両切りを吸ってるんですよ。フィルターなしの。それもかなりのヘビースモーカーで、煙草を吸いながら昔のことを1つ聞くと10返してくれる。バスキアはどういう人だったとか、キース・ヘリングと何を一緒にしたとか聞けば、彼らは5、6歳下だと。「そうだな、アート仲間はもう40人以上先に死んでしまったな。でも俺は100歳まで描くぞ。うん、描ける気がする。」そうやってラッパーのように早口で喋る彼を見ていると、まるで現代の葛飾北斎のように思えてきました。北斎は確か80歳くらいの時に「ようやく絵が上手くなってきた。100歳の頃にはもっと上手く描けるぞ。」みたいなことを言っていた人です。フューチュラも一緒かなと。もともとフリーハンドでスプレー缶を使い真円を描くのが世界1うまいと言われていましたが、年を重ねてさらに上手くなってますし、これからもずっと彼の描く新しいアートと話を聞いていきたいなと思いました。それにしても、人生の間であらゆるシーンに顔を出していて、面白いエピソードが本当に死ぬほどありました。誰かその半生をドラマにしてくれませんかね。Netflixさん、お願いします。