at home QUIET POETRY
一日の終わりに、一編の詩を。
詩人の菅原敏が 街にそっと詩を注ぐ 真夜中のひととき。
新たな街、新たな言葉との出会いをナビゲートします。
菅原敏の詩の世界をご紹介
2020.02.18
東京・六本木から西麻布。
どの街にも良い顔と悪い顔があって、この街をダーティタウンと呼ぶ人もいればアートの街と呼ぶ人もいる。
陸の孤島、西麻布まで船をこぎだせば今夜も空になった酒樽が島の周りにプカプカと浮いている。
さながら海賊がラム酒を飲むように。この辺りにはいい酒場も多いし、悪い酒場も多い。
そんないくつもの顔を持った街の港から、そろそろと船に乗り込んで遠い異国の世界へゆこう。
今夜は、少々飲み過ぎてしまった六本木界隈のカモメたちに、この一編の詩を。
『夜のかもめ』菅原敏
これ以上なにを望むのか
地球で最も楽な暮らしを
手に入れた男は
日がな砂浜 波と砕けて
ずっと100年 コカコーラ
そろそろ潮どき
海にこぎだし
夜はこうかい
おまえのスカート
みたいにふくらむ
ふねの帆が
風をはらんで
遠い街のパナマ帽
まわる地球を指先の上
2020.05.20
『古いホテル』
2020.05.11
『タンザニア』
2020.05.05
『ピーターラビット』
2020.04.30
『ふたつ重ねて』
2020.04.29
『森の生活』
2020.04.14
『すべて悲しき若者たち』
2020.04.08
『街の素顔』
2020.03.30
『裏窓』
2020.03.24
『4月のふたり』
2020.03.17
『背中に気をつけろ』
2020.03.09
『Tea for Two(二人でお茶を)』
2020.03.03
『食卓に溺れる』
2020.02.27
『甘い生活』
2020.02.25
『白と黒』
2020.02.18
『夜のかもめ』
2020.02.11
『バスタブの音楽』
2020.01.30
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