at home QUIET POETRY
一日の終わりに、一編の詩を。
詩人の菅原敏が 街にそっと詩を注ぐ 真夜中のひととき。
新たな街、新たな言葉との出会いをナビゲートします。
菅原敏の詩の世界をご紹介
2020.04.14
今夜はここ、国技館のある両国から。
高校時代、寮生活をしていた私の元には年に数回、相撲観戦のお土産として
渡される力士チョコが実家から送られて来るのでした。
力士をかたどった大きなチョコレートが二体、中央に置かれ、上下左右には
アーモンドチョコレートやホワイトチョコレートがコーティングされた
レーズンなど。
寮の友人たちは「また力士チョコがきた!」と言って
たわいのない話を朝までしながら、ムシャムシャと私の部屋でチョコレートを食べていた。
その後、何度か両親や祖父母に連れられて相撲観戦にも行ったが、
私にとって両国の街は、どこかしら懐かしい高校時代の寮生活と繋がっています。
今夜、この街と、二体の力士チョコ、そして17歳の私たちに注ぐ
一編の詩はこちら。
「すべて悲しき若者たち」菅原敏で
若いなんて馬鹿なだけだね
それでもさ ちきしょう僕の若さは
何に支払い どこに置いてきて
しまったんだろう
深く息を吐いて まじまじと見つめる
かつて そこにあったはずのもの
空気のようにまとっていた
微笑みにも 傲慢さにも似た
シャツを脱いでしまった
どこへでも足音高らかに
歩いていけたはずなのに
終わることはないと信じて
笑っていた僕たちは
写真の中にも もういない
何も知らなかったあの頃の
軽い足取り ふわりふわり
思い出し
小石を川に蹴り落としたら
夏がくる
2020.05.20
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