2017.8.12

波多野裕文（People In The Box）「Jeff Buckley」

30才という若さでこの世を去った天才シンガーソングライター。「天使の歌声」と評された美しい声と巧みなギターの演奏テクニックは彼の死後も多くの音楽ファンの魂を揺さぶり続けています。
生前に発表された唯一のオリジナルアルバム「Grace」は、いまもその名の通り、気高く孤高の輝きを放ち続けています。そんなジェフ・バックリィの魅力について語ってくれるのはPeople In The Boxの波多野裕文さんです。

『ジェフ・バックリィの魅力を一言で言い表すのは難しい。その簡単に言い表せないところが、彼の音楽の魅力だと僕は思っている。

テレキャスター一本の弾き語りのなかに、ツェッペリンが、ニーナシモンが、ボブ・ディランが、ヌスラット・ファテ・アリハーンが次々と立ち上がってくる。
その音楽には、過去から連綿と続いてきた音楽の歴史への畏敬と、その連なりの先へと踏み出そうとする気概に溢れている。
表面的な目新しさとは対極にありながら、これまで感じたことのないような匂いを発する音楽。
系譜の先にありながら孤立を守り続ける音楽。僕は聴いた感覚をうまく形容する言葉が見つからないということに、この音楽からの興奮と安心を深く感じる。』