<近況:ナウシカをカバーしました。>
「2ヶ月ぶりです。近況ですが、実は細野(晴臣)さんのトリビュート・アルバムという企画がありまして、僕も参加させてもらっています。いろんなアーチストが細野さんの好きな曲をカバーするんだけど、僕はね…「風の谷のナウシカ」の主題歌をやらせてもらってます。安田成美さんと嶺川貴子さんが歌ってましたが、僕は嶺川さんのバージョンで(笑)。それから、まだ発表できないんですが、映画のサントラのプリプロダクションなんかもやっています。そしてこの番組のオーディション・コーナーから、コトリンゴさんが、一足早くデビューです。声がささやき系で、ピアノがバリバリ弾けて、しかも上手いんですよ。今年の6月のロハス・クラシックに、急遽出てもらって、そしたらそれを聴いた方たちがビックリしてね。ポンポンとデビューすることが決まりました。」
<ツアー終了:alva noto + ryuichi sakamoto -insen->
「『insen(インセン)』3度目のツアーですが、まずオーストラリアの南、メルボルンで3公演。もうね、変な街でね(笑)、気温が月曜には30度くらいあるのに、土日には13度とか…寒暖の差が激しい。それでまたビルの中は、ものすごく冷房をつけるのね、中ではTシャツで居るのに(笑)。その後はマカオに向かって、マカオって“カジノ”のイメージだったんだけど、行ってみたら、ポルトガルの植民地時代の名残ある古い町並みがすごく良かったです。狭い路地を歩いてると、500年くらい前に建てられた教会があったりね。そんな中に、ホントにケバケバしい人口タウンがあって…、面白いんだけど。で、日本には、マカオから香港〜台北〜福岡を経由して、山口県に入っていったという(笑)。山口情報芸術センターは素晴らしかったです。そして大阪、東京。昨日の香港でツアーが終わりました。カールステン(alva noto)とも話してるんだけど、もうやりませんよ。これで終わりにしようね、って言ってますから。ツアーの模様を収めたDVDもありますけど、あれはやっぱり生で観ないと分からないからなぁ…。なんてね、ひどい事言ってますけど(笑)。番組では、メルボルン公演のライブ音源をオンエアしちゃいました」
■教授&カールステン・ニコライ
サイン入りツアー・ポスターを2名さまにプレゼント。
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当選者の発表は発送をもってかえさせていただきます。 |
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<GUEST:漫画家・浦沢直樹さん>
今回、番組ゲストにお迎えしたのは、漫画家・浦沢直樹さん。1960年1月2日生まれ、東京都府中市出身。代表作に、『YAWARA!』『MONSTER』 『20世紀少年』『PLUTO』などがある。教授も大ファン。
「あの、マンガってストーリーが長いじゃないですか。ストーリーが出来てから、描き出すんですか」
「映画の予告編みたいなのが、まず頭の中にあるんですよ。そうすると、この映画はどんな映画なんだろう。このシーンが出てくるってどういう映画なんだろう…って考えていって」
「やっぱり画(え)が浮かぶんですね」
「坂本さんの前で音楽の話もどうかと思いますが、サビみたいなのが先に浮かんでて、いかに良い道筋でサビに辿り着くか…みたいな感覚に近いんですよね」
「マンガは幾つくらいから描いてるんですか」
「記憶だと、小学校にあがる前。手塚(治虫)さんのマネをして新聞広告の裏に描いてましたね。手塚さんのサイン入りで(笑)」
「僕のマンガ初体験は、小学校1年か2年。創刊から12号くらいの『少年マガジン』だったかな…それを初めて買ったんですよ。まだ中とじで。ドキドキしながら」
「僕は『ジャングル大帝』と『鉄腕アトム』、この2冊が家にありました」
「あぁ…それでグっと絵に惹かれちゃったんですかね」
「鉄腕アトムっていうロゴを見るだけで、もう未来なんですよね。手塚文字って言いますか、独特の未来感がありましたね」
「ロゴも独特でしたよね。1960年代の日本って高度経済成長の真っ盛りで、新幹線、テレビ、東京タワー…。昭和のいい頃ですよね」
「手塚マンガには、世の中がもうすぐこうなる…っていう期待感がありましたよね」
「キャラクターの名前の付け方もスゴイですよね。アトムとかプルートとか…」
「ゲジヒトっていうロボット刑事が出てくるんですが、ドイツ語で、顔とか表情っていう、もっと深い意味では、アイデンティティまである、という(笑)」
「紐解いていくとスゴイですね」
「これがねぇ、描いていくと(ダ・ヴィンチ・コードならぬ)『テヅカ・コード』っぽいんですよ。ワザとやったのかなぁ…っていう事がすごく多いです」
□ストライク・ゾーンを広げろ
「バカみたいな質問ですけど、浦沢さんが人生で出会った一番好きな音楽は何ですか」
「中学の頃からずっとボブ・ディランなんですよ。“雷に打たれる”っていう形容詞がそのまんまだったですね」
「へぇ(笑)ボブ・ディランとは渋いですね」
「最初、ラジオでかかったのをカセットに録ったんですよ。で、理解したくて、毎晩聴いたんですよね。分かんない自分が悔しくて。そしたらある時に突然、天地がひっくり返るような感覚があって…」
「その世界にポンと飛び込んだ感じですね」
「言ってる言葉も意味も分からなかったんですが、この人、世界中にケンカを売ってるんだな…って」
「あああ、それが分かったっていうね」
「20歳くらいのときに、今度はプリンスで同じような状態で、異物感があって」
「あれっ…と思う訳でしょ?何だこれって。でも理解しようとするんですね」
「最近の若い人って、“それ、オレのストライク・ゾーンですよ”ってよく言う(笑)。もうね、お前のストライク・ゾーンって何だよ、広げろよ、って。自分で取りに行けよ、って思いますよね」
□10代に得たもので人生が決まる
「僕はね常々、“10代のときに何を蓄えたか”で、人生が決まると思ってるんですよ」
「坂本さんもですか。僕もそうですよ(笑)」
「僕なんか10代で得たもので、残りの人生を食ってるようなもんですよ」
「ぼくは、中学の時のボブ・ディランと、手塚先生の『火の鳥』ですね。もう完全に雷鳴…雷に打たれた、その感じ。そしてその時こそが、その人の“成人式”なんだと思ってます」
「その人格形成の時ですよね」
「その後、きっとその人の生き方は、そうなっちゃうんだから…」
「それが『火の鳥』でしたか」
「大宇宙の法則のような、マクロな「未来編」と、彫刻師にグっと寄っていくミクロな「鳳凰編」。あの2つの話は、僕にとっての北極星になった感じですね。あそこを見ていれば間違わない、っていう」
「そうなんですか、スゴイなぁ。アレですか、アシスタントさんも多いんですか」
「今は5人です。マンガ家ってのは、引きこもり系が多いので、みんなで向かい合ってやってます」
「パーテーションもないんですか」
「しかも面白い話をしろ、って言いながら(笑)。話を聞いてて、それでオチは何だ、って言いながら…。若いのがヒーヒー言ってますよ」
「道場みたいじゃないですか(笑)」
「いやでもね…最終的にはユーモアだと思うんですよね、もの作りって。なんかシリアスになっちゃ、良いものが作れないって思いますね」
<サカモト的オススメをいくつか>
大竹伸朗さんは、かつてデビッド・ホックニーに師事していたで、コラージュやゴミやガラクタを使ったオブジェなどで有名な作家。『全景』は12月24日まで開催。教授曰く…
「現代の日本のペインターの中で一番力があると思っています。YMOをやっている時代に、彼はロンドンに居て、ニューウェーブ・バンドをやっているんです。バンドもやっていたんだけど(音楽も悪くない)、本職のビジュアル・アートが凄いんですよ。一般的にあまり知られてないかもしれないけど、こんな日本のアーティストが居るんだ、っていうことを知ってもらいたい」
■『 不都合な真実』(原題:AN INCONVINIENT TRUTH)
「それから、みなさんにぜひ見ていただきたい映画があります。『不都合な真実』という邦題なんですが、アメリカの元副大統領アル・ゴアさんが、いろんな街に出かけて、ラップトップ片手に環境問題をレクチャーするドキュメンタリー映画です。この映画を観ていてね、あの2000年の大統領選が、地球環境の分かれ目だったのかな…とさえ思ってしまうような映画です。2007年1月の公開に先駆けて特別試写会を行います。ぜひ観てください」
J-WAVE radio sakamoto special preview〜『不都合な真実』
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<オーディション総評>
今回のオーディションは、音楽作品73本/絵画1/映像2/パフォーマンス1/文学1/説教(キリスト教)1/stoprokkashoのREMIXが2。ということで、割とバラエティが豊富で、おもしろかったですよね。曲によっては長い時間じっくりと聴いてもらいたいので、ぜひ後で公開されるPodcastingのオーディションを聴いてほしい。オンエアよりも長く聴く事ができるんでね。それにしても、お説教は…あれは作品だったのかなぁ(笑)。
オーディション・コーナーで紹介した作品はこのサイトでも試聴できます。またコーナーは、全体を世界へ向けてポッドキャスティングでインターネット配信しています。すでに著作権管理団体に登録している作品の応募は受け付けられませんので、オーディションに応募される方はご注意下さい。
※オーディション応募作品をじっくりと聴けるポッドキャスティングは近々このサイトにUPされます。お楽しみに! |
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